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第10章 位相編
それだけ
<古野白楓季視点>
手を掴まれた状態で、武上君の連続攻撃を受ける吾妻。
それなのに、対処できている。
「だあ!」
「……」
本当に恐ろしい手練れだわ。
けど、そんな彼も徐々に……。
「っ!」
吾妻の顔から余裕が消えた!
「くっ!?」
そうよね。
近接され動きを制限された状態での連続攻撃なのよ。
あの男でも簡単には対処できないだろうから。
ただ……。
吾妻の動きが少し鈍いような?
これは?
やっぱり、幸奈さんの異能の効果があったってこと?
それなら、完全に勝機だわ。
「だぁぁ!」
「ぐっ!」
徐々に武上君の攻撃が当たり始めてる。
「だらぁぁ!」
いける。
これは、いける!
さっきまで残っていた不安が嘘のよう。
今は自信が湧くばかり。
本当に我ながら……。
「古野白ぉ、いいかぁ?」
そうだ。
次は私の番ね。
「ええ!」
吾妻の手を捕らえている間に決着の一発を。
「……炎弾!」
吾妻の背後に回り込んで、放炎!
「!?」
もちろん、吾妻は避けようとするけど。
武上君が動きを抑え込み……。
爆裂!
炎弾が吾妻の背中に命中した!!
最高の手応え。
完璧だわ。
それなのに……。
「えっ?」
真中に命中したはずの炎が、もう消えている?
ダメージを受けているようにも見えない?
それどころか、炎弾が炸裂した衝撃に乗じて吾妻が武上君の手から逃れてしまった。
「どうして……」
*****************************
「功己さん、話は済んだんですか?」
「ああ、終わったよ」
「功己はちゃんと聞いてました?」
「……どうだろうな」
有馬少年との対話も終了し、今は公園の外で待っていた幸奈と合流したところ。
「功己は功己さんと違って素直じゃないからなぁ」
「彼も俺なんだぞ」
「うぅ、そうですけど……」
とはいえ、ここは位相の過去世界。
完全に同一とはいえないか。
「やっぱり、全然違いますよぉ。ほんと、5年で変わるものなんですね」
「……」
「でも、5年後の功己が功己さんみたいになるなんて……楽しみです!」
「……」
わるい。
それは保証できないんだ。
「そ、れ、で、どんな話をしたんです? まさか、未来の話とか?」
「そういう話はしていない。幸奈にも言った通り、未来の話なんてするもんじゃないからな」
「未来から来た功己さんがそれを言ってもなぁ」
確かに、説得力ないか。
「けど、未来の話でないなら何なんです? まさか、わたしの話?」
「いや、それも違う」
「未来の話でも、わたしの話でもない?」
「……少し注意してほしいことを話しただけだ。幸奈が気にするようなことじゃないな」
「ふーん、そうなんですね」
そう。
有馬少年に話したのは、ちょっとしたこと。
ただ、それだけなんだよ。
手を掴まれた状態で、武上君の連続攻撃を受ける吾妻。
それなのに、対処できている。
「だあ!」
「……」
本当に恐ろしい手練れだわ。
けど、そんな彼も徐々に……。
「っ!」
吾妻の顔から余裕が消えた!
「くっ!?」
そうよね。
近接され動きを制限された状態での連続攻撃なのよ。
あの男でも簡単には対処できないだろうから。
ただ……。
吾妻の動きが少し鈍いような?
これは?
やっぱり、幸奈さんの異能の効果があったってこと?
それなら、完全に勝機だわ。
「だぁぁ!」
「ぐっ!」
徐々に武上君の攻撃が当たり始めてる。
「だらぁぁ!」
いける。
これは、いける!
さっきまで残っていた不安が嘘のよう。
今は自信が湧くばかり。
本当に我ながら……。
「古野白ぉ、いいかぁ?」
そうだ。
次は私の番ね。
「ええ!」
吾妻の手を捕らえている間に決着の一発を。
「……炎弾!」
吾妻の背後に回り込んで、放炎!
「!?」
もちろん、吾妻は避けようとするけど。
武上君が動きを抑え込み……。
爆裂!
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最高の手応え。
完璧だわ。
それなのに……。
「えっ?」
真中に命中したはずの炎が、もう消えている?
ダメージを受けているようにも見えない?
それどころか、炎弾が炸裂した衝撃に乗じて吾妻が武上君の手から逃れてしまった。
「どうして……」
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「功己さん、話は済んだんですか?」
「ああ、終わったよ」
「功己はちゃんと聞いてました?」
「……どうだろうな」
有馬少年との対話も終了し、今は公園の外で待っていた幸奈と合流したところ。
「功己は功己さんと違って素直じゃないからなぁ」
「彼も俺なんだぞ」
「うぅ、そうですけど……」
とはいえ、ここは位相の過去世界。
完全に同一とはいえないか。
「やっぱり、全然違いますよぉ。ほんと、5年で変わるものなんですね」
「……」
「でも、5年後の功己が功己さんみたいになるなんて……楽しみです!」
「……」
わるい。
それは保証できないんだ。
「そ、れ、で、どんな話をしたんです? まさか、未来の話とか?」
「そういう話はしていない。幸奈にも言った通り、未来の話なんてするもんじゃないからな」
「未来から来た功己さんがそれを言ってもなぁ」
確かに、説得力ないか。
「けど、未来の話でないなら何なんです? まさか、わたしの話?」
「いや、それも違う」
「未来の話でも、わたしの話でもない?」
「……少し注意してほしいことを話しただけだ。幸奈が気にするようなことじゃないな」
「ふーん、そうなんですね」
そう。
有馬少年に話したのは、ちょっとしたこと。
ただ、それだけなんだよ。
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