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第3話 面談
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面談当日。
面談場所である総合病院に向かうと、応接室のような小さな部屋に通された。
立会人の優しそうな顔をしたベータのおばさんと二人で、ちょっと古い革のソファに座ってアルファが入ってくるのを待つ。
緊張する。あー……俺、変じゃないかな?
服装は結局、友達と一緒に選んで、お店の人にも「オメガの方が面談用に買っていかれますよ」とアドバイスをもらった白いカットソーとグレーでキレイ目のロングカーディガン。スタイルがよく見えると言われた黒い細身のパンツ。友達と店員さんには「ミチくんのために作られた服かと思った」とまで言われたから、それなりに良い感じなんだと思う。
選ぶのに三時間もかけて二人には申し訳なかったけど「ミチくんのためだから気にしないで! 着せ替え楽しかったし」「もし運命の番だったら相手の顔が見たいから写真の一枚でも撮ってきて。お礼はそれでいい」と言うだけだった。感謝。大好き。何ていい友達。
大事な友達と三時間かけて選んだ服が間違いの訳がない。
でも、襟、開きすぎじゃないかな……首のフェロモンが解りやすいのが良いって言われたけど、だらしなく見えない?
それに、いつも少し顔にかかっている長めの前髪を顔が見えやすいように緩く分けたのも落ち着かない。
香水とか柔軟剤とか、フェロモンが解りにくくなるものは避けたし、昨日の夜はヨナちゃんにもらったシートマスクもしたし、爪もちゃんと整えたし、あと、えっと、それと……。
「春野さん、リラックスして。どんなに格好や言うことを気にしても、運命かどうかわかるのは一瞬なんだから」
「あ……そう、ですよね」
ベータのおばさんが優しく背中を叩いてくれるし、色々な体験談を見ても「会うだけでわかる」とだけ書いてあるけど……やっぱり第一印象が良い方がいいし……。
――コンコンコン
うだうだと考えてしまっている間にドアがノックされた。
あ、うわ、いよいよだ。
「どうぞ」
「失礼します」
おばさんが返事をして、男の人の声が返ってくる。
やばい。ドキドキする。人生でこんなにドキドキしたの、初めてだ。
――ガチャ
ドアが開いて、まずは向こうの立会人のベータのおじさんが入ってくる。
その後ろに……
あれ?
なんか……
「あ……?」
「っ……!」
良い匂いがすると思った瞬間、体が、ブワっと……なんて言ったらいいか解らないけど、震えるというか、沸き立つというか、なに? なにこれ?
入ってきた人の顔が、体が、すごくすごくかっこよく見える。
ツーブロックっぽい黒髪で、整った男らしい彫の深い顔だけど、優しそうな感じもして……背、高いな、深いグレーのスーツの上からでもスタイルが良いのが解るし。マッチョとかじゃないけどガッシリとした男らしい引き締まった体、かっこいい。すごくアルファっぽい。
今まで見たどんな人より、大好きな芸能人より、イケメンで有名なアイドルより、誰よりもかっこいい。
目が離せない。
「……」
「……」
相手の人も、少し驚いたような顔でずっと俺のこと見てくれている。
どうしよう。何か言わなきゃ。
自己紹介もちゃんと考えて来たのに。
でも……だめだ。もう、目の前の人がとにかく素敵で……素敵だなってことしか考えられない。
「ふふふ。この瞬間が見られるから、立会人しているのよね」
「ははっ、僕もそうですよ」
俺たちの隣で、立会人のおばさんとおじさんが嬉しそうに笑っていた。
面談場所である総合病院に向かうと、応接室のような小さな部屋に通された。
立会人の優しそうな顔をしたベータのおばさんと二人で、ちょっと古い革のソファに座ってアルファが入ってくるのを待つ。
緊張する。あー……俺、変じゃないかな?
服装は結局、友達と一緒に選んで、お店の人にも「オメガの方が面談用に買っていかれますよ」とアドバイスをもらった白いカットソーとグレーでキレイ目のロングカーディガン。スタイルがよく見えると言われた黒い細身のパンツ。友達と店員さんには「ミチくんのために作られた服かと思った」とまで言われたから、それなりに良い感じなんだと思う。
選ぶのに三時間もかけて二人には申し訳なかったけど「ミチくんのためだから気にしないで! 着せ替え楽しかったし」「もし運命の番だったら相手の顔が見たいから写真の一枚でも撮ってきて。お礼はそれでいい」と言うだけだった。感謝。大好き。何ていい友達。
大事な友達と三時間かけて選んだ服が間違いの訳がない。
でも、襟、開きすぎじゃないかな……首のフェロモンが解りやすいのが良いって言われたけど、だらしなく見えない?
それに、いつも少し顔にかかっている長めの前髪を顔が見えやすいように緩く分けたのも落ち着かない。
香水とか柔軟剤とか、フェロモンが解りにくくなるものは避けたし、昨日の夜はヨナちゃんにもらったシートマスクもしたし、爪もちゃんと整えたし、あと、えっと、それと……。
「春野さん、リラックスして。どんなに格好や言うことを気にしても、運命かどうかわかるのは一瞬なんだから」
「あ……そう、ですよね」
ベータのおばさんが優しく背中を叩いてくれるし、色々な体験談を見ても「会うだけでわかる」とだけ書いてあるけど……やっぱり第一印象が良い方がいいし……。
――コンコンコン
うだうだと考えてしまっている間にドアがノックされた。
あ、うわ、いよいよだ。
「どうぞ」
「失礼します」
おばさんが返事をして、男の人の声が返ってくる。
やばい。ドキドキする。人生でこんなにドキドキしたの、初めてだ。
――ガチャ
ドアが開いて、まずは向こうの立会人のベータのおじさんが入ってくる。
その後ろに……
あれ?
なんか……
「あ……?」
「っ……!」
良い匂いがすると思った瞬間、体が、ブワっと……なんて言ったらいいか解らないけど、震えるというか、沸き立つというか、なに? なにこれ?
入ってきた人の顔が、体が、すごくすごくかっこよく見える。
ツーブロックっぽい黒髪で、整った男らしい彫の深い顔だけど、優しそうな感じもして……背、高いな、深いグレーのスーツの上からでもスタイルが良いのが解るし。マッチョとかじゃないけどガッシリとした男らしい引き締まった体、かっこいい。すごくアルファっぽい。
今まで見たどんな人より、大好きな芸能人より、イケメンで有名なアイドルより、誰よりもかっこいい。
目が離せない。
「……」
「……」
相手の人も、少し驚いたような顔でずっと俺のこと見てくれている。
どうしよう。何か言わなきゃ。
自己紹介もちゃんと考えて来たのに。
でも……だめだ。もう、目の前の人がとにかく素敵で……素敵だなってことしか考えられない。
「ふふふ。この瞬間が見られるから、立会人しているのよね」
「ははっ、僕もそうですよ」
俺たちの隣で、立会人のおばさんとおじさんが嬉しそうに笑っていた。
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