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第32話 お泊り2回目2
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中イキをきめた翌日。
朝起きてからまた、アキヤさんに甲斐甲斐しくお世話をしてもらった。
着替えさせてくれて、朝食にフレンチトーストを作ってくれて、移動は全部お姫様抱っこ。
「股関節に良いマッサージ調べたから」
前回よりは下半身のにぶい痛みはマシなんだけど……動画サイトで見て覚えたという本格的なマッサージまでしてくれたお陰で、昼前には普通に歩けるようになった。
よかった。
今日はアキヤさんに予定があって、一緒にいられるのは午前中いっぱいだから。
◆
「アキヤさん、今日の試合ってスタメンなんですよね?」
予定というのは、アキヤさんが趣味で続けているフットサルチームの練習試合。
二時からの試合なのに、午前中は俺の世話をして、今、車で家まで送ってくれている。
最初は「俺がミチくんの体に負担をかけているんだから試合を休んで一緒にいる」と言われたけど、それはさすがに断った。大事にしてくれているのは嬉しいけど、趣味や友達も大事にして欲しい。
「そう。でもフットサルってサッカーよりもたくさん交代するし、交代後再出場もアリだからスタメンっていってもそんなにすごくないよ」
「そうなんですか? でも、アキヤさんすごく上手そう」
アキヤさんの運動神経がいいかどうか知らないけど、絶対にかっこいい気がする。
かっこよくスポーツに取り組むアキヤさん……観たい。すごく観たい……!
「あの、もしよかったら俺、見学したいなー……とか」
……正直、「いいよ」と言ってもらう気満々で言った。
アキヤさんだってまだ俺と離れたくないみたいだし。
うぬぼれがひどいけど、ダイニングからリビングのソファまでのたった三メートルをお姫様抱っこで運んでくれるような人だから……というのは、俺の自信過剰だったみたいだ。
「だめ。絶対にだめ!」
ちょうど赤信号で車を停めたアキヤさんが、かなり強めの声で否定する。
「え? あ、ご、ごめんなさい……」
あれ? 俺、何か失礼な言い方した?
アキヤさんにこんな風に言われるなんて思っていなくて体がすくむ。
「あ、あ! ちがう、そうじゃなくて……」
俺が萎縮してしまったのを見て、今度はアキヤさんが慌てて……信号が青に変わったのに発車が遅れて、後続車にクラクションを鳴らされてしまった。
「あの、だから……」
アキヤさんが車を走らせながら一度深呼吸して、落ち着いた口調で再び口を開いた。
「今のチーム、アルファ専門コースがある大学で所属していたサッカーサークルのメンバーで組んでいるんだ。だから……メンバーはほとんどアルファなんだ」
なんだ。そういうことか。
強張っていた体の力が抜ける。
「あぁ、じゃあオメガが行ったら迷惑ですよね」
俺だって、オメガの友達だけで集まっているところに急にアルファが来たら落ち着かない。
そういうことなら納得だ。
「迷惑と言うか……俺が心配で無理」
「心配?」
俺は納得したのに、アキヤさんは説明を続ける。
「番契約前の、大事なオメガを他の未番のアルファに見せるの、信頼している友達アルファでも、マジで無理。番がいるアルファならいいけど……チームの半分は未番アルファだから、本当、絶対に無理!」
「あ、あぁ……そういう?」
落ち着いたと思ったアキヤさんの口調がまた強くなる。
そんなに俺を見せるのが、というか……俺を万が一取られないか、心配なんだ?
「だから、番契約した後で来て欲しい。それからなら、むしろみんなに自慢したいから来て欲しい」
嫉妬だ。
独占欲だ。
えー……アキヤさん、かっわいい!
「ふふっ。わかりました。ヒート後の楽しみにしています」
「その時には、めちゃくちゃかっこいいところが見せられるように、今日の試合も、練習も、頑張るよ」
どんどん重くなるアキヤさんの愛情が、心地よくてたまらなかった。
朝起きてからまた、アキヤさんに甲斐甲斐しくお世話をしてもらった。
着替えさせてくれて、朝食にフレンチトーストを作ってくれて、移動は全部お姫様抱っこ。
「股関節に良いマッサージ調べたから」
前回よりは下半身のにぶい痛みはマシなんだけど……動画サイトで見て覚えたという本格的なマッサージまでしてくれたお陰で、昼前には普通に歩けるようになった。
よかった。
今日はアキヤさんに予定があって、一緒にいられるのは午前中いっぱいだから。
◆
「アキヤさん、今日の試合ってスタメンなんですよね?」
予定というのは、アキヤさんが趣味で続けているフットサルチームの練習試合。
二時からの試合なのに、午前中は俺の世話をして、今、車で家まで送ってくれている。
最初は「俺がミチくんの体に負担をかけているんだから試合を休んで一緒にいる」と言われたけど、それはさすがに断った。大事にしてくれているのは嬉しいけど、趣味や友達も大事にして欲しい。
「そう。でもフットサルってサッカーよりもたくさん交代するし、交代後再出場もアリだからスタメンっていってもそんなにすごくないよ」
「そうなんですか? でも、アキヤさんすごく上手そう」
アキヤさんの運動神経がいいかどうか知らないけど、絶対にかっこいい気がする。
かっこよくスポーツに取り組むアキヤさん……観たい。すごく観たい……!
「あの、もしよかったら俺、見学したいなー……とか」
……正直、「いいよ」と言ってもらう気満々で言った。
アキヤさんだってまだ俺と離れたくないみたいだし。
うぬぼれがひどいけど、ダイニングからリビングのソファまでのたった三メートルをお姫様抱っこで運んでくれるような人だから……というのは、俺の自信過剰だったみたいだ。
「だめ。絶対にだめ!」
ちょうど赤信号で車を停めたアキヤさんが、かなり強めの声で否定する。
「え? あ、ご、ごめんなさい……」
あれ? 俺、何か失礼な言い方した?
アキヤさんにこんな風に言われるなんて思っていなくて体がすくむ。
「あ、あ! ちがう、そうじゃなくて……」
俺が萎縮してしまったのを見て、今度はアキヤさんが慌てて……信号が青に変わったのに発車が遅れて、後続車にクラクションを鳴らされてしまった。
「あの、だから……」
アキヤさんが車を走らせながら一度深呼吸して、落ち着いた口調で再び口を開いた。
「今のチーム、アルファ専門コースがある大学で所属していたサッカーサークルのメンバーで組んでいるんだ。だから……メンバーはほとんどアルファなんだ」
なんだ。そういうことか。
強張っていた体の力が抜ける。
「あぁ、じゃあオメガが行ったら迷惑ですよね」
俺だって、オメガの友達だけで集まっているところに急にアルファが来たら落ち着かない。
そういうことなら納得だ。
「迷惑と言うか……俺が心配で無理」
「心配?」
俺は納得したのに、アキヤさんは説明を続ける。
「番契約前の、大事なオメガを他の未番のアルファに見せるの、信頼している友達アルファでも、マジで無理。番がいるアルファならいいけど……チームの半分は未番アルファだから、本当、絶対に無理!」
「あ、あぁ……そういう?」
落ち着いたと思ったアキヤさんの口調がまた強くなる。
そんなに俺を見せるのが、というか……俺を万が一取られないか、心配なんだ?
「だから、番契約した後で来て欲しい。それからなら、むしろみんなに自慢したいから来て欲しい」
嫉妬だ。
独占欲だ。
えー……アキヤさん、かっわいい!
「ふふっ。わかりました。ヒート後の楽しみにしています」
「その時には、めちゃくちゃかっこいいところが見せられるように、今日の試合も、練習も、頑張るよ」
どんどん重くなるアキヤさんの愛情が、心地よくてたまらなかった。
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