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第35話 ピロートーク
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ショッピングモールから帰った、ヒート一週間前の夜。
「ミチくん、大丈夫?」
「はい……アキヤさん、良かったですか?」
「あぁ。すごく良かったよ」
コンドームの処理を終えたアキヤさんが、優しく俺の体を抱きしめてくれる。
今日は横を向いて片足をアキヤさんの肩にかける体位で、結合は深かったけど体が少し離れていたから、改めて肌が触れ合うのが気持ちいいし、フェロモンもしっかり感じてほっとする。
「もう中イキも上手にできるようになったね。ミチくん天才だね」
「ん……アキヤさんも、どの体位でもできるようになって、すごいです」
今日まで何度もセックスをした。
未経験から始めた俺も、今ではもう自分の感じる場所がちゃんとわかるし、結腸で感じることも中イキすることも一回のセックスで五回くらいイくこともできるようになった。前や後ろ、上や下、色々な体位のセックスも経験して、それぞれの体位での楽しみ方も練習した。
……後ろからの体位は、アキヤさんの方が俺の項のフェロモンを感じすぎて、興奮しすぎて、慣れるまでちょっと大変だったけど……それももう、アキヤさんは上手くできるようになった。
「来週、楽しみだね」
「はい。ヒートが楽しみなんて……俺、初めてです」
ヒートは苦しいものとしか思っていなかったけど、きちんと準備をして運命の相手と迎えるヒートは、今まで感じていた不安や嫌悪感は微塵もない。
「俺も楽しみだよ。ミチくんのヒートに合わせて巣ごもりするのも……番になるのも……楽しみだけど……」
「……? アキヤさん?」
アキヤさんが俺を抱きしめる腕の力を強くする。
俺を求めてくれているんだなと思うけど……なぜか顔はちょっと不安そうだ。
「ねぇミチくん。本当に俺が番で大丈夫?」
「……え?」
アキヤさんの不安そうな顔と、自信なさげな言葉にドキっとした。
「ミチくんみたいなオメガの中のオメガって感じの素敵な子に、俺なんか……ミチくんなら、もっとレベルの高いアルファだって捕まえられると思うのに……」
「アキヤさん……」
いつも優しく俺への愛情を向けてくれるアキヤさんが、こんなに自信のない、不安そうな態度をとるのは珍しい。
でも、俺、これ知ってる。
「アキヤさん……もしかして番ブルー?」
「……え? え? ……あ、あー……そうか。そういうのあるんだっけ? でも、番ブルーとか関係なく、客観的に考えて俺ってミチくんに釣り合ってないというか……」
うん。
すっごい既視感。
番ブルーはオメガが特になりやすいけど、アルファでなる人も珍しくはないんだよね……。
「ふ、ふふっ」
「ミチくん……?」
思わず笑ってしまうと、アキヤさんは益々不安な顔をする。
あぁ、ごめんなさい。そうじゃないんです。
「アキヤさん。俺も少し前に、友達に『俺ってアキヤさんみたいな素敵な人に釣り合わない』って言っていました」
「は? どこが? 俺の方が……あ、でも……番ブルーってそういうことか」
「そうなんです。俺も友達に『番ブルーだよ』って指摘されて、気付いたんです。それと……」
番ブルーと自覚してから、考え方に気を付けたり、番ブルーについてたくさん調べた。
大切な友人たちのアドバイスを生かすためにも。
それで、すごく素敵なことを知ったんだ。
「アキヤさん知っています? 番ブルーになりやすい人の特長」
「特長? えっと……相手に対して劣等感があるとか、格差があるとか……だっけ?」
「はい。それもあるんですけど、最近の研究ではそれ以上に……」
アキヤさんのまだ不安そうな顔に両手を添える。
ちょっと情けない感じのこの顔もュンと来るけど、やっぱり俺はアキヤさんの笑顔が好きだから……。
「相手のことが好きなほど、なりやすいらしいですよ」
「好きなほど……?」
「はい。好きすぎて、相手の幸せを願い過ぎて、なっちゃうんだってバース医の研究結果が最近出たんです」
「じゃあ……」
アキヤさんの不安そうで強張った顔が少し緩んだ。
「はい。俺、番ブルーになっちゃうくらいアキヤさんが大好きです」
「ミチくん……」
「アキヤさんも、番ブルーになってしまうくらい俺が好きなんですね? 嬉しい」
「あ……」
「俺、アキヤさんと一緒にいるのが幸せです。だから、俺の番はアキヤさん以外考えられません。アキヤさんが良いです」
「あ……あ、あぁ。俺も!」
俺の言葉にアキヤさんの顔が一気に笑顔になった。
すごいなぁ。
アルファらしいアルファなのに、俺の言葉一つで、不安にも笑顔にもなっちゃうんだ。
なんかもう……愛しくてたまらない。
「ふふっ。アキヤさん」
「ん、ミチくん」
俺から軽いキスをすると、アキヤさんからは軽いキスを三回も返された。
来週はいよいよヒート。
そして番契約。
俺もアキヤさんも、もう不安はない。
「ミチくん、大丈夫?」
「はい……アキヤさん、良かったですか?」
「あぁ。すごく良かったよ」
コンドームの処理を終えたアキヤさんが、優しく俺の体を抱きしめてくれる。
今日は横を向いて片足をアキヤさんの肩にかける体位で、結合は深かったけど体が少し離れていたから、改めて肌が触れ合うのが気持ちいいし、フェロモンもしっかり感じてほっとする。
「もう中イキも上手にできるようになったね。ミチくん天才だね」
「ん……アキヤさんも、どの体位でもできるようになって、すごいです」
今日まで何度もセックスをした。
未経験から始めた俺も、今ではもう自分の感じる場所がちゃんとわかるし、結腸で感じることも中イキすることも一回のセックスで五回くらいイくこともできるようになった。前や後ろ、上や下、色々な体位のセックスも経験して、それぞれの体位での楽しみ方も練習した。
……後ろからの体位は、アキヤさんの方が俺の項のフェロモンを感じすぎて、興奮しすぎて、慣れるまでちょっと大変だったけど……それももう、アキヤさんは上手くできるようになった。
「来週、楽しみだね」
「はい。ヒートが楽しみなんて……俺、初めてです」
ヒートは苦しいものとしか思っていなかったけど、きちんと準備をして運命の相手と迎えるヒートは、今まで感じていた不安や嫌悪感は微塵もない。
「俺も楽しみだよ。ミチくんのヒートに合わせて巣ごもりするのも……番になるのも……楽しみだけど……」
「……? アキヤさん?」
アキヤさんが俺を抱きしめる腕の力を強くする。
俺を求めてくれているんだなと思うけど……なぜか顔はちょっと不安そうだ。
「ねぇミチくん。本当に俺が番で大丈夫?」
「……え?」
アキヤさんの不安そうな顔と、自信なさげな言葉にドキっとした。
「ミチくんみたいなオメガの中のオメガって感じの素敵な子に、俺なんか……ミチくんなら、もっとレベルの高いアルファだって捕まえられると思うのに……」
「アキヤさん……」
いつも優しく俺への愛情を向けてくれるアキヤさんが、こんなに自信のない、不安そうな態度をとるのは珍しい。
でも、俺、これ知ってる。
「アキヤさん……もしかして番ブルー?」
「……え? え? ……あ、あー……そうか。そういうのあるんだっけ? でも、番ブルーとか関係なく、客観的に考えて俺ってミチくんに釣り合ってないというか……」
うん。
すっごい既視感。
番ブルーはオメガが特になりやすいけど、アルファでなる人も珍しくはないんだよね……。
「ふ、ふふっ」
「ミチくん……?」
思わず笑ってしまうと、アキヤさんは益々不安な顔をする。
あぁ、ごめんなさい。そうじゃないんです。
「アキヤさん。俺も少し前に、友達に『俺ってアキヤさんみたいな素敵な人に釣り合わない』って言っていました」
「は? どこが? 俺の方が……あ、でも……番ブルーってそういうことか」
「そうなんです。俺も友達に『番ブルーだよ』って指摘されて、気付いたんです。それと……」
番ブルーと自覚してから、考え方に気を付けたり、番ブルーについてたくさん調べた。
大切な友人たちのアドバイスを生かすためにも。
それで、すごく素敵なことを知ったんだ。
「アキヤさん知っています? 番ブルーになりやすい人の特長」
「特長? えっと……相手に対して劣等感があるとか、格差があるとか……だっけ?」
「はい。それもあるんですけど、最近の研究ではそれ以上に……」
アキヤさんのまだ不安そうな顔に両手を添える。
ちょっと情けない感じのこの顔もュンと来るけど、やっぱり俺はアキヤさんの笑顔が好きだから……。
「相手のことが好きなほど、なりやすいらしいですよ」
「好きなほど……?」
「はい。好きすぎて、相手の幸せを願い過ぎて、なっちゃうんだってバース医の研究結果が最近出たんです」
「じゃあ……」
アキヤさんの不安そうで強張った顔が少し緩んだ。
「はい。俺、番ブルーになっちゃうくらいアキヤさんが大好きです」
「ミチくん……」
「アキヤさんも、番ブルーになってしまうくらい俺が好きなんですね? 嬉しい」
「あ……」
「俺、アキヤさんと一緒にいるのが幸せです。だから、俺の番はアキヤさん以外考えられません。アキヤさんが良いです」
「あ……あ、あぁ。俺も!」
俺の言葉にアキヤさんの顔が一気に笑顔になった。
すごいなぁ。
アルファらしいアルファなのに、俺の言葉一つで、不安にも笑顔にもなっちゃうんだ。
なんかもう……愛しくてたまらない。
「ふふっ。アキヤさん」
「ん、ミチくん」
俺から軽いキスをすると、アキヤさんからは軽いキスを三回も返された。
来週はいよいよヒート。
そして番契約。
俺もアキヤさんも、もう不安はない。
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