83 / 100
第83話 救国の英雄
しおりを挟む
王都の復活は瞬く間に王国全土へと伝わっていった。
絶望の淵にあった人々にとって、それはまさに神の福音だった。王都が救われたというニュースは人々の心に再び希望の灯をともし、呪詛への恐怖に打ち勝つ勇気を与えた。
そしてその奇跡を成し遂げた者たちの名が、熱狂と共に民衆の間で語られ始めた。
辺境の楽園『エデン』より来たりし救国の英雄たち。
あらゆる呪いを浄化する真の聖女セレスティア。
そしてその奇跡を支え、導いたとされる謎の青年リアム。
俺たちの名前は吟遊詩人たちの歌に乗って、瞬く間に王国中に広まっていった。
王宮は俺たちを最大級の賓客として遇した。
国王は玉座の間で、俺たちの前に深く頭を下げた。それは一国の王が臣下ではない者に示すには、あり得ないほどの最大限の謝罪と感謝の表明だった。
「リアム殿、セレスティア殿、そして英雄の皆様。このご恩は言葉では言い尽くせぬ。あなた方はこの国を、いや、この世界を救った真の救世主だ」
国王は俺に侯爵の位と、王都で最も肥沃な領地を与えようとした。セレスティアには国教会の最高位である大司教の座を。他の仲間たちにも望むだけの金銀財宝と名誉ある地位を約束した。
だが俺たちはその全てを丁重に、しかしきっぱりと断った。
「陛下。我々が望むのは富でも名誉でもありません。ただこの世界に一日も早く平和が戻ること。そして我々の故郷であるエデンに、仲間たちと共に無事に帰ること。それだけです」
俺のあまりにも欲のない言葉に、国王もその場にいた大臣たちも、ただただ感嘆の息を漏らすだけだった。
俺たちは英雄として、民衆から熱狂的な歓迎を受けた。
俺たちが王宮の外に出れば道は黒山の人だかりで埋め尽くされ、俺たちの名を呼ぶ歓声が地鳴りのように響き渡った。花びらが舞い、人々は涙を流して俺たちに感謝の言葉を捧げた。
「聖女様! ありがとうございます!」
「リアム様! あなたが我らが聖人様か!」
その熱狂の渦の中心で、俺は少しだけ居心地の悪さを感じていた。
俺は英雄になどなりたくなかった。
ただ仲間と自分たちの居場所を守りたかっただけだ。そのために目の前の苦しむ人々を、見過ごすことができなかっただけだ。
「リアム様はすごい人気ですわね」
隣を歩くセレスティアが嬉しそうに微笑む。彼女は人々から心からの感謝を向けられることに、純粋な喜びを感じているようだった。
「ふん。騒がしいだけよ。それより早くあの魔将とやらを片付けて、エデンに帰りたいわ」
ルナリエルはうんざりしたように呟く。
「わー! なんだかお祭りみたいです!」
アイリスはその賑わいを無邪気に楽しんでいた。
仲間たちの反応は様々だった。だが俺たちの心は一つだった。
この戦いを終わらせる。そして必ずエデンへ帰る。
王宮には俺たちのために、最高司令部となる作戦室が用意された。
そこには王国の騎士団の生き残りや、各地から集まった智将たちが集結し対ヴラド戦略を練っていた。
だが彼らの議論はほとんど意味をなさなかった。ヴラドの呪詛という常識外れの力の前では、これまでのどんな戦術も兵法も通用しないからだ。
結局全ての作戦の立案は、俺とソフィア、そしてダリウスに一任されることになった。
「敵の本体、魔将ヴラドは現在、陥落させた城塞都市ガレリアに留まっているようです。そこを拠点とし呪詛の範囲を、徐々に拡大させているものと推測されます」
ソフィアが地図の上に駒を置きながら、冷静に戦況を分析する。
「ならば話は早い。我々が直接ガレリアに乗り込み、ヴラドの首を獲る。それ以外に道はない」
ダリウスが簡潔に、そして力強く結論を述べた。
その意見に異論を唱える者はいなかった。
これは軍と軍がぶつかり合う総力戦ではない。
世界を救う力を持つたった一つのパーティーが、諸悪の根源である魔王軍幹部に挑む一点突破の電撃戦なのだ。
作戦は決まった。
明日、俺たちはフレアに乗り、決戦の地ガレリアへと飛ぶ。
その夜。
俺は王宮の一室で一人、窓の外に広がる王都の夜景を眺めていた。
呪いが浄化され街には再び無数の灯りが戻ってきている。その一つ一つの灯りの下に人々の暮らしがある。
(……守れるだろうか)
俺は自分の手のひらを見つめた。
この何の力も持たない、ただの掌。
だがこの手は仲間たちの力を、無限に引き出すことができる。
俺は英雄ではない。救世主でもない。
だが俺には最強の仲間たちがいる。
俺は彼女たちを信じよう。
そして彼女たちが信じてくれる俺自身を、信じよう。
俺が静かに決意を固めていた、その時だった。
王都の中央広場。
人々が奇跡の復活を祝い、ささやかな祝宴を開いていたその輪の中心。
空間がぐにゃりと歪んだ。
まるで黒いインクを水に垂らしたかのように闇の渦が生まれ、そこから一人の男が音もなく姿を現した。
漆黒の鎧。夜そのものを切り取ったかのような巨大な翼。
その場にいた誰もが、一瞬でその男の正体を理解した。
「――こんばんは、人間どもよ」
その声は広場にいる全ての者たちの脳に直接響き渡った。
「我が呪詛をこうも綺麗に浄化してくれる人間がいたとはな。少し驚いたぞ」
魔将ヴラド。
彼はたった一人で、王都のそのど真ん中に姿を現したのだ。
広場は一瞬で、歓声から絶叫へと変わった。
人々がパニックに陥り、逃げ惑う。
その光景をヴラドは、心底楽しそうに見下ろしていた。
「さて。俺の可愛いペットたちを掃除してくれたお礼参りに来たわけだが……」
彼の血のように赤い瞳が、群衆の中から正確に一つの場所を捉えた。
王宮の、俺がいる窓を。
『――どこにいる、聖人様? さあ顔を見せろ。お前と遊んでやろう』
その声は他の誰にも聞こえない。
ただ俺の脳にだけ直接響き渡った、挑戦状だった。
平和な祝宴の只中に唐突に現れた、絶対的な絶望。
俺たちの本当の戦いは、俺たちが想像していたよりも遥かに早く、そして唐突に始まろうとしていた。
絶望の淵にあった人々にとって、それはまさに神の福音だった。王都が救われたというニュースは人々の心に再び希望の灯をともし、呪詛への恐怖に打ち勝つ勇気を与えた。
そしてその奇跡を成し遂げた者たちの名が、熱狂と共に民衆の間で語られ始めた。
辺境の楽園『エデン』より来たりし救国の英雄たち。
あらゆる呪いを浄化する真の聖女セレスティア。
そしてその奇跡を支え、導いたとされる謎の青年リアム。
俺たちの名前は吟遊詩人たちの歌に乗って、瞬く間に王国中に広まっていった。
王宮は俺たちを最大級の賓客として遇した。
国王は玉座の間で、俺たちの前に深く頭を下げた。それは一国の王が臣下ではない者に示すには、あり得ないほどの最大限の謝罪と感謝の表明だった。
「リアム殿、セレスティア殿、そして英雄の皆様。このご恩は言葉では言い尽くせぬ。あなた方はこの国を、いや、この世界を救った真の救世主だ」
国王は俺に侯爵の位と、王都で最も肥沃な領地を与えようとした。セレスティアには国教会の最高位である大司教の座を。他の仲間たちにも望むだけの金銀財宝と名誉ある地位を約束した。
だが俺たちはその全てを丁重に、しかしきっぱりと断った。
「陛下。我々が望むのは富でも名誉でもありません。ただこの世界に一日も早く平和が戻ること。そして我々の故郷であるエデンに、仲間たちと共に無事に帰ること。それだけです」
俺のあまりにも欲のない言葉に、国王もその場にいた大臣たちも、ただただ感嘆の息を漏らすだけだった。
俺たちは英雄として、民衆から熱狂的な歓迎を受けた。
俺たちが王宮の外に出れば道は黒山の人だかりで埋め尽くされ、俺たちの名を呼ぶ歓声が地鳴りのように響き渡った。花びらが舞い、人々は涙を流して俺たちに感謝の言葉を捧げた。
「聖女様! ありがとうございます!」
「リアム様! あなたが我らが聖人様か!」
その熱狂の渦の中心で、俺は少しだけ居心地の悪さを感じていた。
俺は英雄になどなりたくなかった。
ただ仲間と自分たちの居場所を守りたかっただけだ。そのために目の前の苦しむ人々を、見過ごすことができなかっただけだ。
「リアム様はすごい人気ですわね」
隣を歩くセレスティアが嬉しそうに微笑む。彼女は人々から心からの感謝を向けられることに、純粋な喜びを感じているようだった。
「ふん。騒がしいだけよ。それより早くあの魔将とやらを片付けて、エデンに帰りたいわ」
ルナリエルはうんざりしたように呟く。
「わー! なんだかお祭りみたいです!」
アイリスはその賑わいを無邪気に楽しんでいた。
仲間たちの反応は様々だった。だが俺たちの心は一つだった。
この戦いを終わらせる。そして必ずエデンへ帰る。
王宮には俺たちのために、最高司令部となる作戦室が用意された。
そこには王国の騎士団の生き残りや、各地から集まった智将たちが集結し対ヴラド戦略を練っていた。
だが彼らの議論はほとんど意味をなさなかった。ヴラドの呪詛という常識外れの力の前では、これまでのどんな戦術も兵法も通用しないからだ。
結局全ての作戦の立案は、俺とソフィア、そしてダリウスに一任されることになった。
「敵の本体、魔将ヴラドは現在、陥落させた城塞都市ガレリアに留まっているようです。そこを拠点とし呪詛の範囲を、徐々に拡大させているものと推測されます」
ソフィアが地図の上に駒を置きながら、冷静に戦況を分析する。
「ならば話は早い。我々が直接ガレリアに乗り込み、ヴラドの首を獲る。それ以外に道はない」
ダリウスが簡潔に、そして力強く結論を述べた。
その意見に異論を唱える者はいなかった。
これは軍と軍がぶつかり合う総力戦ではない。
世界を救う力を持つたった一つのパーティーが、諸悪の根源である魔王軍幹部に挑む一点突破の電撃戦なのだ。
作戦は決まった。
明日、俺たちはフレアに乗り、決戦の地ガレリアへと飛ぶ。
その夜。
俺は王宮の一室で一人、窓の外に広がる王都の夜景を眺めていた。
呪いが浄化され街には再び無数の灯りが戻ってきている。その一つ一つの灯りの下に人々の暮らしがある。
(……守れるだろうか)
俺は自分の手のひらを見つめた。
この何の力も持たない、ただの掌。
だがこの手は仲間たちの力を、無限に引き出すことができる。
俺は英雄ではない。救世主でもない。
だが俺には最強の仲間たちがいる。
俺は彼女たちを信じよう。
そして彼女たちが信じてくれる俺自身を、信じよう。
俺が静かに決意を固めていた、その時だった。
王都の中央広場。
人々が奇跡の復活を祝い、ささやかな祝宴を開いていたその輪の中心。
空間がぐにゃりと歪んだ。
まるで黒いインクを水に垂らしたかのように闇の渦が生まれ、そこから一人の男が音もなく姿を現した。
漆黒の鎧。夜そのものを切り取ったかのような巨大な翼。
その場にいた誰もが、一瞬でその男の正体を理解した。
「――こんばんは、人間どもよ」
その声は広場にいる全ての者たちの脳に直接響き渡った。
「我が呪詛をこうも綺麗に浄化してくれる人間がいたとはな。少し驚いたぞ」
魔将ヴラド。
彼はたった一人で、王都のそのど真ん中に姿を現したのだ。
広場は一瞬で、歓声から絶叫へと変わった。
人々がパニックに陥り、逃げ惑う。
その光景をヴラドは、心底楽しそうに見下ろしていた。
「さて。俺の可愛いペットたちを掃除してくれたお礼参りに来たわけだが……」
彼の血のように赤い瞳が、群衆の中から正確に一つの場所を捉えた。
王宮の、俺がいる窓を。
『――どこにいる、聖人様? さあ顔を見せろ。お前と遊んでやろう』
その声は他の誰にも聞こえない。
ただ俺の脳にだけ直接響き渡った、挑戦状だった。
平和な祝宴の只中に唐突に現れた、絶対的な絶望。
俺たちの本当の戦いは、俺たちが想像していたよりも遥かに早く、そして唐突に始まろうとしていた。
28
あなたにおすすめの小説
貴族に無茶苦茶なことを言われたのでやけくそな行動をしたら、戦争賠償として引き抜かれました。
詰んだ
ファンタジー
エルクス王国の魔法剣士で重鎮のキースは、うんざりしていた。
王国とは名ばかりで、元老院の貴族が好き勝手なこと言っている。
そしてついに国力、戦力、人材全てにおいて圧倒的な戦力を持つヴォルクス皇国に、戦争を仕掛けるという暴挙に出た。
勝てるわけのない戦争に、「何とか勝て!」と言われたが、何もできるはずもなく、あっという間に劣勢になった。
日を追うごとに悪くなる戦況に、キースへのあたりがひどくなった。
むしゃくしゃしたキースは、一つの案を思いついた。
その案を実行したことによって、あんなことになるなんて、誰も想像しなかった。
元公務員、辺境ギルドの受付になる 〜『受理』と『却下』スキルで無自覚に無双していたら、伝説の職員と勘違いされて俺の定時退勤が危うい件〜
☆ほしい
ファンタジー
市役所で働く安定志向の公務員、志摩恭平(しまきょうへい)は、ある日突然、勇者召喚に巻き込まれて異世界へ。
しかし、与えられたスキルは『受理』と『却下』という、戦闘には全く役立ちそうにない地味なものだった。
「使えない」と判断された恭平は、国から追放され、流れ着いた辺境の街で冒険者ギルドの受付職員という天職を見つける。
書類仕事と定時退勤。前世と変わらぬ平穏な日々が続くはずだった。
だが、彼のスキルはとんでもない隠れた効果を持っていた。
高難易度依頼の書類に『却下』の判を押せば依頼自体が消滅し、新米冒険者のパーティ登録を『受理』すれば一時的に能力が向上する。
本人は事務処理をしているだけのつもりが、いつしか「彼の受付を通った者は必ず成功する」「彼に睨まれたモンスターは消滅する」という噂が広まっていく。
その結果、静かだった辺境ギルドには腕利きの冒険者が集い始め、恭平の定時退勤は日々脅かされていくのだった。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
神眼のカードマスター 〜パーティーを追放されてから人生の大逆転が始まった件。今さら戻って来いと言われてももう遅い〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「いいかい? 君と僕じゃ最初から住む世界が違うんだよ。これからは惨めな人生を送って一生後悔しながら過ごすんだね」
Fランク冒険者のアルディンは領主の息子であるザネリにそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
父親から譲り受けた大切なカードも奪われ、アルディンは失意のどん底に。
しばらくは冒険者稼業をやめて田舎でのんびり暮らそうと街を離れることにしたアルディンは、その道中、メイド姉妹が賊に襲われている光景を目撃する。
彼女たちを救い出す最中、突如として【神眼】が覚醒してしまう。
それはこのカード世界における掟すらもぶち壊してしまうほどの才能だった。
無事にメイド姉妹を助けたアルディンは、大きな屋敷で彼女たちと一緒に楽しく暮らすようになる。
【神眼】を使って楽々とカードを集めてまわり、召喚獣の万能スライムとも仲良くなって、やがて天災級ドラゴンを討伐するまでに成長し、アルディンはどんどん強くなっていく。
一方その頃、ザネリのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
ダンジョン攻略も思うようにいかなくなり、ザネリはそこでようやくアルディンの重要さに気づく。
なんとか引き戻したいザネリは、アルディンにパーティーへ戻って来るように頼み込むのだったが……。
これは、かつてFランク冒険者だった青年が、チート能力を駆使してカード無双で成り上がり、やがて神話級改変者〈ルールブレイカー〉と呼ばれるようになるまでの人生逆転譚である。
悪役令嬢扱いで国外追放?なら辺境で自由に生きます
タマ マコト
ファンタジー
王太子の婚約者として正しさを求め続けた侯爵令嬢セラフィナ・アルヴェインは、
妹と王太子の“真実の愛”を妨げた悪役令嬢として国外追放される。
家族にも見捨てられ、たった一人の侍女アイリスと共に辿り着いたのは、
何もなく、誰にも期待されない北方辺境。
そこで彼女は初めて、役割でも評価でもない「自分の人生」を生き直す決意をする。
『ゴミ溜め場の聖女』と蔑まれた浄化師の私、一族に使い潰されかけたので前世の知識で独立します
☆ほしい
ファンタジー
呪いを浄化する『浄化師』の一族に生まれたセレン。
しかし、微弱な魔力しか持たない彼女は『ゴミ溜め場の聖女』と蔑まれ、命を削る危険な呪具の浄化ばかりを押し付けられる日々を送っていた。
ある日、一族の次期当主である兄に、身代わりとして死の呪いがかかった遺物の浄化を強要される。
死を覚悟した瞬間、セレンは前世の記憶を思い出す。――自分が、歴史的な遺物を修復する『文化財修復師』だったことを。
「これは、呪いじゃない。……経年劣化による、素材の悲鳴だ」
化学知識と修復技術。前世のスキルを応用し、奇跡的に生還したセレンは、搾取されるだけの人生に別れを告げる。
これは、ガラクタ同然の呪具に秘められた真の価値を見出す少女が、自らの工房を立ち上げ、やがて国中の誰もが無視できない存在へと成り上がっていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる