聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ

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024. 辺境の冬と癒しの奇跡

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辺境の冬は、容赦なくその厳しさを増していた。降り積もった雪は大地を厚く覆い、冷たい風が絶えず吹き付ける。砦も村も、白い静寂の中に閉ざされたかのようだった。しかし、そんな厳しい状況の中でも、リリアーナの存在は、人々にささやかな温もりと活気を与え続けていた。

砦の騎士たちは、彼女の作る滋養スープとハーブティーのおかげで、厳しい冬の任務にも高い士気と体力を維持していた。村人たちも、リリアーナに教わった知恵を活かし、乏しい食料を分け合い、寄り添いながら冬を耐え忍んでいた。彼女が分け与えた保存食や、体調を崩した者へのハーブティーは、まさに命綱となっていた。リリアーナ自身も、フェンと共に小屋で暖を取りながら、保存食の管理や、春に向けた畑作りの計画を練るなど、静かに、しかし前向きに日々を送っていた。

アレクシス・フォン・ヴァルテンベルクは、執務室の窓から雪景色を眺めながら、リリアーナがもたらした変化を冷静に分析していた。彼女の力は、疑いようもなく本物であり、辺境領にとって計り知れない価値を持つ。それは、彼が当初から期待していたことでもあった。

しかし、彼が予想していなかったのは、彼女の影響力が、単なる物理的な効果(体力回復や士気向上)に留まらないことだった。彼女は、そのお人好しとも言える性格と、ひたむきな行動によって、閉鎖的で疑り深かった辺境の人々の心を、少しずつ解きほぐし、繋ぎ合わせている。それは、力や権威だけでは決して成し得ない、ある種の「奇跡」のようにアレクシスには思えた。

そして、彼自身もまた、その「奇跡」の影響から逃れられずにいた。毎日届けられるハーブティーは、彼の心身を確実に癒し、これまで経験したことのない穏やかさをもたらした。忘れられない味と香りは、彼の日常に深く浸透し、無意識のうちに、その作り手であるリリアーナへの関心を高めていた。

(……あの女は、ハーブティー以外にも、色々なものを作っているようだな……)

報告によれば、彼女はジャムや燻製肉などの保存食を作り、それを村人たちに分け与えているという。騎士たちの間でも、「リリアーナ嬢が個人的に作る保存食は、スープとはまた違った美味さがあるらしい」という噂が囁かれていた。

(……保存食……か)
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