隣の席のクールな銀髪美少女、俺にだけデレるどころか未来の嫁だと宣言してきた

夏見ナイ

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第55話 無意識の本音、あるいは嫉妬の肯定

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「お前がそう思ってくれるの、正直すごく嬉しい」

俺のありのままの言葉。
それを聞いた雪城さんは驚いたように、ぴたりと涙を止めた。
潤んだ大きな碧色の瞳が、信じられないというように俺の顔をじっと見つめている。
「……嬉しい?」
彼女のか細い声が問いかける。
「はい。未来のデータによれば、嫉妬という感情は相手に不快感を与える可能性が87%以上とされていますが……」
「未来のデータはもういい」
俺は彼女の言葉を優しく遮った。
「俺は嬉しいんだよ。お前が俺のためにヤキモチ焼いてくれてるってことが」
俺はもう照れなかった。
ただ、自分の心にある温かくてくすぐったいこの感情を、正直に伝えるだけだ。
「俺だって同じだから」
「え……?」
彼女の瞳がさらに大きく見開かれる。
その純粋な驚きに満ちた顔を見て、俺の口は勝手に動き始めていた。
自分でも何を言っているのか分からなかった。
ただ、心の奥底にずっと溜め込んでいた言葉にならない感情が、堰を切ったように溢れ出してきていた。

「俺も、冬花が他の男と話してると、なんかモヤモヤする」

言ってしまってからハッと我に返った。
俺は今、何て言った?
冬花、と。
初めて彼女のことを名前で呼んでしまった。
そして自分の醜い嫉妬心を彼女に晒してしまった。
まずい。引かれるかもしれない。気持ち悪いと思われるかもしれない。
俺の顔からさっと血の気が引いていく。
だが、俺の心配とは裏腹に彼女は怒りも軽蔑もしなかった。
ただ呆然と、俺の言葉を反芻しているようだった。
「……優斗さんが、私に……?」
「あ、いや、今のはその……!」
俺が慌てて取り繕おうとした、その時だった。

彼女の、いつもは血の気のない透き通るように白い頬が。
まるで夕焼けの空のように、じわじわと真っ赤に染まっていくのを俺は見た。
その変化はあまりにも鮮やかで、あまりにも劇的だった。
「……」
彼女は何も言えない。
ただ潤んだ瞳で俺の顔を見つめたまま、完全にフリーズしてしまっていた。
そのあまりにも初々しくて、あまりにも可愛い反応に、俺は自分の心臓がドクンと大きく、そして甘く跳ねるのを感じた。
ああ、そうか。
俺はこんなにも彼女のことが好きだったんだ。
彼女の些細な表情の変化一つで、こんなにも心が揺さぶられてしまうほどに。

「……それは」
長い、長い沈黙の後。
彼女がようやく絞り出した声は、蚊の鳴くような小さな、小さな声だった。
「それは、つまり……。あなたが私以外の人間と、私があなた以外の人間と親しくすることを、お互いに望んでいないということ、ですか……?」
彼女は確認するように、おずおずと尋ねてくる。
俺はもうごまかさなかった。
ただ真っ直ぐに彼女の目を見て、こくりと頷いた。
「……ああ。多分、そういうことなんだと思う」
俺がそう認めた瞬間。
彼女の真っ赤だった顔が、さらにぼんっと限界を超えて赤くなった。
そして次の瞬間、彼女は両手で自分の顔を覆ってしまった。
「……っ!」
指の隙間から見える耳まで真っ赤に染まっている。
そのあまりにも分かりやすい、全身全霊の照れの表現。
俺はもう愛おしさが爆発しそうだった。

俺は思わず手を伸ばしていた。
そして顔を覆っている彼女の小さな手に、そっと自分の手を重ねる。
「……冬花」
俺はもう一度彼女の名前を呼んだ。
今度ははっきりと意識して。
俺の手に触れられた彼女の体が、びくりと大きく震える。
彼女はゆっくりと顔を覆っていた手を下ろした。
そこに現れたのは、涙と羞恥と、そして今まで見たこともないような歓喜に満ちた、ぐしゃぐしゃの、でも最高に美しい顔だった。
俺たちの間にあった冷たくて分厚い氷の壁が、完全に溶けてなくなった瞬間だった。
俺の無意識に漏らした本音。
それはどんな理屈よりも、どんな謝罪の言葉よりも雄弁に、彼女の心を溶かしてくれたのだ。
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