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第74話:祝福の婚約発表
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皇帝の裁可が下りてから、皇城はかつてないほどの祝賀ムードに包まれた。
宰相を筆頭とする文官たちは、アシュレイ皇太子と聖女リリアーナの公式な婚約発表に向けて昼夜を問わず準備を進めた。それはただの王族の婚約発表ではない。帝国を救った二人の英雄の結びつきを、大陸全土に知らしめるための壮大な国家事業だった。
リリアーナは、その渦の中心にいながらもどこか夢見心地で、現実感がなかった。
マーサに導かれ、皇室御用達のデザイナーたちによるドレスの採寸や宝飾品のデザインの打ち合わせに追われる毎日。差し出される豪華な絹の生地も、目も眩むような宝石も、少し前までの自分とはあまりにもかけ離れた世界のものだった。
「わたくしが……皇太子妃に……」
夜、一人で部屋に戻ると彼女はそっと自分の手のひらを見つめた。
虐げられ、不要だと言われたこの手。
その手をアシュレイは「宝物だ」と言って握りしめてくれる。
その事実だけで、彼女はどんな困難にも立ち向かえる気がした。
そして、婚約発表の日。
帝都エルミリアは再び建国祭のような熱気に包まれていた。
皇城の正門前には広場を埋め尽くすほどの民衆が集まっている。彼らは皆、帝国の新たな光となる二人の姿を一目見ようと詰めかけていたのだ。
リリアーナは日の光を反射して淡く輝く純白のドレスに身を包んでいた。
髪にはアシュレイが初めて贈ってくれた勿忘草の髪飾りと、皇太子妃の証である小さなティアラが輝いている。隣に立つアシュレイもまた純白の軍服に身を包み、その姿は神話の光の神のようだった。
二人は皇帝アルフォンスと共に、皇城のバルコニーに姿を現した。
その瞬間、広場を埋め尽くした民衆から地鳴りのような大歓声が湧き上がった。
「アシュレイ皇子、万歳!」
「聖女リリアーナ様、万歳!」
「お二人のご婚約、おめでとうございます!」
旗が振られ、花びらが舞う。
その熱狂的な祝福の光景に、リリアーナは思わず圧倒され一歩後ずさりそうになった。
その時、隣に立つアシュレイがそっと彼女の手を握った。
『俺がいる』
その無言のメッセージが彼女に勇気を与えてくれる。リリアーナは彼の手を強く握り返し、顔を上げて民衆の祝福に応えた。
やがて皇帝が手を上げると、あれほどの歓声が嘘のように静まり返った。
皇帝は威厳に満ちた声で、高らかに宣言した。
「聞け、我が愛すべき帝国の民よ! 本日、ここに我が息子アシュレイと帝国の聖女リリアーナの婚約が、正式に成立したことを宣言する!」
再び、割れんばかりの歓声が湧き上がる。
「この結びつきはただの婚姻ではない! 我が帝国が聖女の祝福を受け、未来永劫に渡り光と繁栄の道を歩むことを示す神聖なる誓約である! 皆の者、声の限りに二人を祝福せよ!」
民衆の熱狂は最高潮に達した。
誰もが二人の婚約を自分自身の喜びとして祝福していた。
氷の皇子に温かい光をもたらした聖女。
絶望の淵にあった帝国を奇跡の力で救った聖女。
彼女が未来の国母となる。その事実に、民衆は心からの喜びと未来への確かな希望を感じていた。
アシュレイはそんな民衆の熱狂を静かに受け止めながら、隣に立つリリアーナを見つめた。
日の光を浴びて輝く彼女の横顔は、あまりにも美しくそして神々しかった。
彼は握っていた彼女の手にそっと力を込めた。
リリアーナもまた彼を見上げ、幸せに満ちた微笑みを返す。
二人の間にもはや言葉はいらない。
民衆の祝福の歓声が、最高の祝福の言葉となって二人を包み込んでいた。
帝都エルミリアは、その日一日祝賀の鐘の音と人々の喜びの歌声に満ち溢れていた。
氷の皇子と聖女の婚約。
それは帝国の歴史に燦然と輝く、新たな一ページの始まり。
そして、この輝かしい光が遠い闇に潜む者たちの嫉嫉と焦りを極限にまで高めていることを、まだ誰も知る由もなかった。
輝かしい祝福の日は同時に、最後の戦いの幕開けを告げる運命の日でもあったのだ。
宰相を筆頭とする文官たちは、アシュレイ皇太子と聖女リリアーナの公式な婚約発表に向けて昼夜を問わず準備を進めた。それはただの王族の婚約発表ではない。帝国を救った二人の英雄の結びつきを、大陸全土に知らしめるための壮大な国家事業だった。
リリアーナは、その渦の中心にいながらもどこか夢見心地で、現実感がなかった。
マーサに導かれ、皇室御用達のデザイナーたちによるドレスの採寸や宝飾品のデザインの打ち合わせに追われる毎日。差し出される豪華な絹の生地も、目も眩むような宝石も、少し前までの自分とはあまりにもかけ離れた世界のものだった。
「わたくしが……皇太子妃に……」
夜、一人で部屋に戻ると彼女はそっと自分の手のひらを見つめた。
虐げられ、不要だと言われたこの手。
その手をアシュレイは「宝物だ」と言って握りしめてくれる。
その事実だけで、彼女はどんな困難にも立ち向かえる気がした。
そして、婚約発表の日。
帝都エルミリアは再び建国祭のような熱気に包まれていた。
皇城の正門前には広場を埋め尽くすほどの民衆が集まっている。彼らは皆、帝国の新たな光となる二人の姿を一目見ようと詰めかけていたのだ。
リリアーナは日の光を反射して淡く輝く純白のドレスに身を包んでいた。
髪にはアシュレイが初めて贈ってくれた勿忘草の髪飾りと、皇太子妃の証である小さなティアラが輝いている。隣に立つアシュレイもまた純白の軍服に身を包み、その姿は神話の光の神のようだった。
二人は皇帝アルフォンスと共に、皇城のバルコニーに姿を現した。
その瞬間、広場を埋め尽くした民衆から地鳴りのような大歓声が湧き上がった。
「アシュレイ皇子、万歳!」
「聖女リリアーナ様、万歳!」
「お二人のご婚約、おめでとうございます!」
旗が振られ、花びらが舞う。
その熱狂的な祝福の光景に、リリアーナは思わず圧倒され一歩後ずさりそうになった。
その時、隣に立つアシュレイがそっと彼女の手を握った。
『俺がいる』
その無言のメッセージが彼女に勇気を与えてくれる。リリアーナは彼の手を強く握り返し、顔を上げて民衆の祝福に応えた。
やがて皇帝が手を上げると、あれほどの歓声が嘘のように静まり返った。
皇帝は威厳に満ちた声で、高らかに宣言した。
「聞け、我が愛すべき帝国の民よ! 本日、ここに我が息子アシュレイと帝国の聖女リリアーナの婚約が、正式に成立したことを宣言する!」
再び、割れんばかりの歓声が湧き上がる。
「この結びつきはただの婚姻ではない! 我が帝国が聖女の祝福を受け、未来永劫に渡り光と繁栄の道を歩むことを示す神聖なる誓約である! 皆の者、声の限りに二人を祝福せよ!」
民衆の熱狂は最高潮に達した。
誰もが二人の婚約を自分自身の喜びとして祝福していた。
氷の皇子に温かい光をもたらした聖女。
絶望の淵にあった帝国を奇跡の力で救った聖女。
彼女が未来の国母となる。その事実に、民衆は心からの喜びと未来への確かな希望を感じていた。
アシュレイはそんな民衆の熱狂を静かに受け止めながら、隣に立つリリアーナを見つめた。
日の光を浴びて輝く彼女の横顔は、あまりにも美しくそして神々しかった。
彼は握っていた彼女の手にそっと力を込めた。
リリアーナもまた彼を見上げ、幸せに満ちた微笑みを返す。
二人の間にもはや言葉はいらない。
民衆の祝福の歓声が、最高の祝福の言葉となって二人を包み込んでいた。
帝都エルミリアは、その日一日祝賀の鐘の音と人々の喜びの歌声に満ち溢れていた。
氷の皇子と聖女の婚約。
それは帝国の歴史に燦然と輝く、新たな一ページの始まり。
そして、この輝かしい光が遠い闇に潜む者たちの嫉嫉と焦りを極限にまで高めていることを、まだ誰も知る由もなかった。
輝かしい祝福の日は同時に、最後の戦いの幕開けを告げる運命の日でもあったのだ。
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