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第78話:「二人で未来を掴む」
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リリアーナの決意の言葉に、アシュレイの心は激しく揺さぶられた。
しかし、その揺さぶりはすぐに冷たい怒りへと変わった。
「馬鹿を言うな」
彼の声は、絶対零度まで下がっていた。
「あの場所がどれほど危険か分かっているのか。闇の教団の本拠地だぞ。お前のような……」
彼は言いかけて言葉を飲み込んだ。「お前のような女」という言葉が、どれほど彼女を傷つけるか、今の彼には分かっていたからだ。
しかし、その躊躇いが彼の怒りをさらに煽った。
「とにかく、ならん! 断じて許さん! お前は俺が守るべき存在だ。戦場に連れて行くなど、本末転倒だ!」
アシュレイの怒声が部屋に響き渡る。それは彼女の身を案じるが故の、必死の叫びだった。
だが、リリアーナはその激しい怒りにも一歩も引かなかった。
彼女はアシュレイの前にさらに一歩踏み出した。そして、彼の目を真っ直ぐに見つめ返す。
「では、殿下はわたくしを信じてくださらないのですか」
その声は静かだったが、鋭い刃のようにアシュレイの心に突き刺さった。
「わたくしの覚醒した力を。そして、あなた様をお守りしたいというこの想いを。信じてはいただけないのですか」
その問いに、アシュレイは言葉に詰まった。
信じていないわけがない。誰よりも彼女の力の強大さと、その想いの深さを知っているのは自分自身だ。
だからこそ、失いたくない。危険な目に遭わせたくない。
その一心だった。
リリアーナは、そんな彼の葛藤を見透かすように静かに続けた。
「わたくしは、あなた様が傷つく姿をただ安全な場所から見ていることなど、耐えられません。もしあなた様が倒れたら、わたくしは一人で生きてはいけない。それならば、たとえ一瞬でもあなたの隣で共に戦って死ぬ方がましです」
その言葉は、あまりにも純粋で、そして壮絶なまでの愛情に満ちていた。
それは彼が彼女に捧げた誓いと、全く同じ重さを持つ魂の誓いだった。
アシュレイは、彼女の揺るぎない瞳からもう目を逸らすことができなかった。
この女は、本気だ。
自分がどれだけ反対しようと、彼女の決意は変わらないだろう。
そして、彼女をここに縛り付けて戦場へ向かったとしても、それは彼女の心を殺すことと同じだと彼は悟った。
愛するとは、相手を鳥かごに閉じ込めて守ることではない。
相手の意志を尊重し、その覚悟を信じ、共に嵐の中を飛ぶことなのだと。
長い、長い沈黙の後。
アシュレイは、ふっと深く息を吐いた。
それは敗北を認めた溜息であり、同時に、愛する女性の強さに対する最大の敬意を込めた溜息だった。
彼の表情から怒りの色が消え、代わりに深い覚悟の色が浮かんだ。
「……ならば、約束しろ」
彼の声は低く、そして厳粛だった。
「何があっても、俺のそばを離れるな。俺の指示には絶対に従え。そして……必ず、二人で生きて帰る。これを破ることは絶対に許さん」
それは、彼女の同行を認める言葉だった。
リリアーナの瞳から、安堵と喜びの涙が一筋こぼれ落ちた。
「はい……!」
彼女は力強く頷いた。
「約束します。あなた様と、二人で未来を掴むことを」
その言葉を聞いたアシュレイは、たまらないというように彼女の体を強く抱きしめた。
「……愚かな女だ」
彼の声は震えていた。
「そして、誰よりも愛おしい」
二人は、互いの覚悟と未来への誓いを固い抱擁で確かめ合った。
それは、もはや皇子と聖女の関係ではない。
同じ戦場に立ち、同じ未来を目指す、対等なパートナーとしての魂の契りだった。
決戦の前夜。
二人の運命は再び、そして今度は完全に一つになった。
ただ待つ未来でも、ただ守る未来でもない。
二人で共に、その手で未来を掴み取る。
その揺るぎない誓いを胸に、二人は夜明けを待つ。
大陸の運命を懸けた、最後の戦いの始まりを。
しかし、その揺さぶりはすぐに冷たい怒りへと変わった。
「馬鹿を言うな」
彼の声は、絶対零度まで下がっていた。
「あの場所がどれほど危険か分かっているのか。闇の教団の本拠地だぞ。お前のような……」
彼は言いかけて言葉を飲み込んだ。「お前のような女」という言葉が、どれほど彼女を傷つけるか、今の彼には分かっていたからだ。
しかし、その躊躇いが彼の怒りをさらに煽った。
「とにかく、ならん! 断じて許さん! お前は俺が守るべき存在だ。戦場に連れて行くなど、本末転倒だ!」
アシュレイの怒声が部屋に響き渡る。それは彼女の身を案じるが故の、必死の叫びだった。
だが、リリアーナはその激しい怒りにも一歩も引かなかった。
彼女はアシュレイの前にさらに一歩踏み出した。そして、彼の目を真っ直ぐに見つめ返す。
「では、殿下はわたくしを信じてくださらないのですか」
その声は静かだったが、鋭い刃のようにアシュレイの心に突き刺さった。
「わたくしの覚醒した力を。そして、あなた様をお守りしたいというこの想いを。信じてはいただけないのですか」
その問いに、アシュレイは言葉に詰まった。
信じていないわけがない。誰よりも彼女の力の強大さと、その想いの深さを知っているのは自分自身だ。
だからこそ、失いたくない。危険な目に遭わせたくない。
その一心だった。
リリアーナは、そんな彼の葛藤を見透かすように静かに続けた。
「わたくしは、あなた様が傷つく姿をただ安全な場所から見ていることなど、耐えられません。もしあなた様が倒れたら、わたくしは一人で生きてはいけない。それならば、たとえ一瞬でもあなたの隣で共に戦って死ぬ方がましです」
その言葉は、あまりにも純粋で、そして壮絶なまでの愛情に満ちていた。
それは彼が彼女に捧げた誓いと、全く同じ重さを持つ魂の誓いだった。
アシュレイは、彼女の揺るぎない瞳からもう目を逸らすことができなかった。
この女は、本気だ。
自分がどれだけ反対しようと、彼女の決意は変わらないだろう。
そして、彼女をここに縛り付けて戦場へ向かったとしても、それは彼女の心を殺すことと同じだと彼は悟った。
愛するとは、相手を鳥かごに閉じ込めて守ることではない。
相手の意志を尊重し、その覚悟を信じ、共に嵐の中を飛ぶことなのだと。
長い、長い沈黙の後。
アシュレイは、ふっと深く息を吐いた。
それは敗北を認めた溜息であり、同時に、愛する女性の強さに対する最大の敬意を込めた溜息だった。
彼の表情から怒りの色が消え、代わりに深い覚悟の色が浮かんだ。
「……ならば、約束しろ」
彼の声は低く、そして厳粛だった。
「何があっても、俺のそばを離れるな。俺の指示には絶対に従え。そして……必ず、二人で生きて帰る。これを破ることは絶対に許さん」
それは、彼女の同行を認める言葉だった。
リリアーナの瞳から、安堵と喜びの涙が一筋こぼれ落ちた。
「はい……!」
彼女は力強く頷いた。
「約束します。あなた様と、二人で未来を掴むことを」
その言葉を聞いたアシュレイは、たまらないというように彼女の体を強く抱きしめた。
「……愚かな女だ」
彼の声は震えていた。
「そして、誰よりも愛おしい」
二人は、互いの覚悟と未来への誓いを固い抱擁で確かめ合った。
それは、もはや皇子と聖女の関係ではない。
同じ戦場に立ち、同じ未来を目指す、対等なパートナーとしての魂の契りだった。
決戦の前夜。
二人の運命は再び、そして今度は完全に一つになった。
ただ待つ未来でも、ただ守る未来でもない。
二人で共に、その手で未来を掴み取る。
その揺るぎない誓いを胸に、二人は夜明けを待つ。
大陸の運命を懸けた、最後の戦いの始まりを。
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