Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ

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第84話 新しい仲間たち

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村の広場に戻ると、祭りを楽しんでいた村人たちが何事かとアレンたちの周りに集まってきた。
「アレン、どうしたんだ?入り口の方で誰か泣いていたようだが……」
村長のバルトロが心配そうに尋ねる。

「……何でもありません」
アレンは無理に笑顔を作って答えた。
「少し昔の知り合いに会っただけです。もう行きましたから」
その言葉に、村人たちはそれ以上深くは突っ込まずそれぞれの持ち場へと戻っていった。だが、ソフィアとカイはアレンのそのぎこちない笑顔の裏にある隠された痛みに気づいていた。

四人は、広場の隅にある大きな樫の木の木陰へと向かった。そこが彼らの定位置だった。
リーナは何かを察したのか、黙ってアレンの隣に座り、その手に自分の小さな手を重ねた。その温もりがアレンのささくれだった心を少しだけ癒してくれた。

しばらく重い沈黙が続いた。
それを破ったのはソフィアだった。彼女は腕を組んだまま、まるで自分に言い聞かせるように低い声で言った。

「……気にすることはない」

その言葉は、明らかにアレンに向けられていた。
「あんたは何も間違っていない。あの女がどれだけ惨めな姿を晒そうと、どれだけ涙を流そうと、それはあんたが気に病むことじゃない。全部あいつらが自分で蒔いた種だ」

そのどこまでも真っ直ぐで不器用な言葉が、アレンの心にすとんと落ちた。
そうだ。ソフィアの言う通りだ。
これは彼らの問題なのだ。自分の問題ではない。

カイも静かに口を開いた。
「……俺もそう思う」
彼は遠い目をして空を見上げた。
「俺も復讐に囚われ、お前たちの忠告を聞かずに死にかけた。あの時、もしお前が見捨てていたら俺は今ここにいない。だが、お前は俺を見捨てなかった。それが『仲間』ということだ」

彼はアレンに視線を戻した。
「あの女は、それを(仲間であること)を放棄した。ならばその結果を受け入れるのは当然のことだ。お前が罪悪感を抱く必要などどこにもない」

二人の力強い言葉。
それはアレンが一人で抱え込もうとしていた過去の重荷を、まるで自分のことのように分かち合い、共に背負おうとしてくれているかのようだった。

(……ああ、そうか)

アレンは、ようやく気づいた。
自分はもう一人ではないのだ。
自分の痛みは、もはや自分だけのものではない。このかけがえのない仲間たちの痛みでもあるのだ。
そして、彼らの存在が自分の弱さを支え、強くしてくれている。

「……ありがとう、二人とも」
アレンの口から、偽りのない心からの感謝の言葉が漏れた。
「少し昔のことを思い出して、らしくもなく感傷的になっていたようだ。だが、もう大丈夫だ」

彼は顔を上げた。その瞳にはもう迷いの色はなかった。
「俺にはあんたたちがいる。リーナがいる。この村がある。俺が守るべきものは過去じゃない。今、ここにある未来だ」

その言葉に、ソフィアは満足げに頷き、カイはかすかに口元を緩めた。
リーナもアレンの顔にいつもの穏やかさが戻ったのを見て、ほっとしたように満面の笑みを浮かべた。

そうだ。これが自分の新しい仲間たち。新しい家族なのだ。
彼らがいれば、もう何も怖くない。
どんな過去の傷も乗り越えていける。

アレンは村の入り口の方を、もう一度だけ静かに見つめた。
リリアはもうそこにはいなかった。
彼女がこの後どうするのか。それはアレンの知るところではない。
彼女の人生は彼女自身のものだ。
自分の行いの結末は自分で受け入れるしかない。
かつて自分がそうしてきたように。

アレンは過去に完全に背を向けた。
そして、目の前にいる新しい仲間たちの顔を愛おしそうに見つめた。
ソフィアの不器用だが、誰よりも熱い正義感。
カイの寡黙だが、誰よりも深い仲間への思い。
リーナの全てを包み込むような、純粋で無垢な優しさ。

これこそが、自分が本当に手に入れたかった宝物なのだ。
【熾天の剣】では決して手に入れることのできなかった、本物の絆。

アレンの心は温かい光で満たされていた。
もう迷わない。
彼を苦しめる資格があるのは過去の亡霊などではない。
ただ、この新しい仲間たちだけなのだから。
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