外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ

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第58話 信じがたい再会

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工房の扉を開けたガイアスの目に、まず飛び込んできたのは、壁にかけられた武具や道具の数々だった。
一つ一つの品が、まるで内側から光を放っているかのように、神々しいオーラをまとっている。見たこともないほど滑らかに磨き上げられた剣の刀身。どんな衝撃にも耐えうるであろう、重厚な輝きを放つ盾。それらが、無造作に、しかし誇らしげに壁に並べられていた。
ガイアスは、ゴクリと唾を飲んだ。噂は、本物だ。ここには、間違いなく本物の「神の職人」がいる。

そして、彼は工房の奥へと視線を移した。
そこに、職人らしき後ろ姿があった。
金床に向かい、リズミカルに槌を振るう、若い男。その背中は、特別大きいわけではないが、自信と充実感に満ち溢れているのが、後ろ姿からでも伝わってくる。

(この男が、神の職人か……)
ガイアスは、用意していた台詞を思い出そうとした。自分の不遇を語り、同情を引いて、仕事を依頼する。そのはずだった。

「いらっしゃいませ。何かお困りごとですか?」

その男が、ゆっくりとこちらに振り返った。
その顔を見た瞬間、ガイアスの思考は、完全に停止した。

そこに立っていたのは、見間違えるはずもない。
自分たちが「外れスキル」「役立たず」と蔑み、全てを奪って王都から追放した、あのアルトだった。

「……は?」
ガイアスの口から、間抜けな声が漏れた。
嘘だ。何かの間違いだ。同姓同名の、別人だ。
そう思おうとした。だが、あの頃よりも少しだけ精悍になった顔つき、穏やかだが芯の強さを感じさせる瞳は、紛れもなく、あのアルトのものだった。

「……アルト? なぜ、お前が、ここに……?」
かろうじて絞り出した声は、ひどくかすれていた。

アルトは、ガイアスの姿を認めると、一瞬だけ驚いたように目を見開いた。だが、すぐに落ち着きを取り戻し、静かな声で答えた。
「ガイアス……さん。ずいぶん、久しぶりですね。そんな姿で、どうしたんですか?」
その声には、かつてのような怯えや卑屈さはない。ただ、純粋な驚きと、少しばかりの同情が混じっているだけだった。

その態度が、ガイアスの混乱をさらに加速させた。
なぜだ。なぜ、追放したはずのお前が、こんな場所で、こんな立派な工房を構えている?
なぜ、あの役立たずだったお前が、人々から『神の職人』などと呼ばれている?
なぜ、俺はこんなにも落ちぶれて、お前はそんなにも満ち足りた顔をしている?

理解が、追いつかない。
現実が、受け入れられない。

ガイアスは、工房の中を、まるで夢遊病者のように見回した。
並べられた神話級の武具。使い込まれた、しかし最高の状態を保っている道具の数々。そして、工房の隅のソファに、何事かとこちらを見ている、二人の息をのむような美少女の姿。

一人は、陽光を編み込んだような金髪に、慈愛に満ちた紫の瞳を持つ、聖女リリア。
もう一人は、月光のような銀髪に、この世のものとは思えぬ気品を漂わせる、謎の少女。

その二人が、まるでアルトを守るかのように、彼の両脇を固めている。
それは、ガイアスがこれまでの人生で見た、どんな光景よりも、信じがたいものだった。

「……どういう、ことだ……?」

ガイアスの口から、再び、力のない疑問の言葉がこぼれ落ちた。
彼は、自分が必死の思いでたどり着いた希望の場所が、実は、自らが捨て去った過去そのものであったという、あまりにも残酷な真実を前に、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
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