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第七十九話 最終決戦へ
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キメラ・ロードが放つ穏やかで温かい緑色の光。それは死闘で傷ついた英雄たちの体を、奇跡のように癒していった。
カエデの砕けた鎧は元の輝きを取り戻し、ゼノンの深い傷も瞬く間に塞がっていく。MPを使い果たしたゴブにも活力が戻り、恐怖で震えていたリオの心にも安らぎが訪れた。
「……信じられん。これは最高位の神官が使う蘇生の秘術に匹敵する……」
ゼノンは、自らの体が全快していくのを確かめながら驚愕の声を漏らした。
やがて光が収まった時、俺たちと生き残ったフロンティアの仲間たちは全員が完全に回復していた。
一同は静かに佇むキメラ・ロードを、畏敬の念のこもった目で見つめていた。破壊の化身であると同時に、生命を育む慈愛の女神でもある。この伝説の獣は、まさに万能の王だった。
だが、勝利の喜びに浸る者はいなかった。
バルガンが瓦礫の中で立ち上がり、静かに仲間たちの名を呼んでいく。返ってくる声はあまりにも少なかった。
百人を超えた連合の軍勢は、今や三十人にも満たない。半数以上がメフィストのたった一撃で、デスペナルティを受けてアステリアへと強制送還されてしまったのだ。
「……すまねえ、みんな」
バルガンは天を仰ぎ、声を震わせた。その巨躯にはリーダーとして仲間を守りきれなかった痛切な悔しさが滲んでいた。
俺も胸が締め付けられるようだった。彼らは、俺が伝説を創造するための時間を稼ぐためにその身を犠牲にしたのだ。この勝利は、あまりにも多くの仲間の敗北の上に成り立っている。
「……下を向いている暇はない」
静寂を破ったのはカエデだった。
「彼らは私たちに未来を託した。その想いを無駄にしないためにも、私たちは前に進まなければならない」
彼女の言葉に、生き残った者たちの瞳に再び闘志の火が宿った。
俺たちはアビスの隠れ家へと帰還し、そして最後の作戦会議を開く。
「メフィストは必ず倒さなければならない。奴がいる限り、この世界のどこにも安息の地はないだろう」
バルガンの言葉に、全員が頷く。
問題は、どうやって奴の居場所を突き止めるかだった。
その時、リオが一枚の暗号化された羊皮紙をテーブルの上に広げた。
「これはガノバスのドロップ品の中にあったギルドの内部文書。私のスキルでなんとか解読してみたんだけど……とんでもないことが書かれてたよ」
彼女は、ゴクリと喉を鳴らした。
「パンデモニウムの真の本拠地はこのアビスじゃない。彼らの本拠地は……空にある」
「空、だと?」
ゼノンが訝しげに眉をひそめる。
「うん。このアビスの遥か上空。アステリアの街からも見えないほどの超高高度。そこに古代の技術で作られた巨大な浮遊要塞が存在するらしい。それこそが奴らの城……『天空要塞パンデモニウム』だよ」
天空要塞。そのあまりにも壮大な響きに、誰もが言葉を失った。
奴らは奈落の底から、天空の玉座へと俺たちを誘っているのだ。
「どうやって、そこへ?」
カエデが尋ねる。
「普通の飛行モンスターでは、その高度までたどり着くことすらできないはずだ」
「そこで出番ってわけだ」
静かに聞いていたゼノンが不敵に笑った。彼の隣にはデスペナルティから復活したワイバーンのイグニスが、主の言葉を待つように控えている。
「俺のイグニスとそこの石ころバード。この二頭がいれば大抵の空は飛べるだろう」
「それに、これを見て」
リオが、もう一つピエロが遺した仮面のアイテムを指差した。
「この仮面には要塞の入り口の座標データが隠されてたんだ。これを使えば、要塞の目の前までテレポートできるかもしれない」
道は示された。
最後の決戦の舞台は天空。
バルガンが、生き残ったフロンティアのメンバーたちに向き直った。
「……ここから先は今までとは次元が違う本当の死地だ。正直、生きて帰れる保証はない。それでも、俺たちと共に来てくれるか?」
彼の問いに、誰一人として否と答える者はいなかった。
「当たり前だ!」
「仲間の仇は俺たちが討つ!」
「最後まで付き合わせてもらうぜ、英雄殿!」
彼らの瞳には、恐怖を乗り越えた揺るぎない覚悟が宿っていた。
俺は自分の隣に立つ伝説の獣王を見上げた。
キメラ・ロードは俺の決意を感じ取ったかのように、その三つの頭を静かに、そして力強く縦に振った。
「決まりだな」
俺は仲間たちに向かって言った。
「これより俺たちフロンティアは、パンデモニウムとの最終決戦に移行します」
その声はもう震えていなかった。
仲間たちの想いを、その犠牲を全て背負って戦うという絶対的な覚悟がそこにはあった。
「目標は敵本拠地、天空要塞パンデモニウム。目的はギルドマスター、メフィストの討伐、及びギルドの完全壊滅」
俺は一度言葉を区切り、仲間たちの顔を一人一人見渡した。
カエデ、リオ、ゴブ。バルガン、そしてゼノン。
最高の仲間たちがここにいる。
「――最終決戦へ。行きましょう、皆さん」
俺の言葉に、全員が力強く頷いた。
アビスの薄暗いアジトの中で、最後の反撃の狼煙が天に向かって静かに、そして力強く上がった。
俺たちの長かった戦いの本当の終わりが、すぐそこに迫っていた。
カエデの砕けた鎧は元の輝きを取り戻し、ゼノンの深い傷も瞬く間に塞がっていく。MPを使い果たしたゴブにも活力が戻り、恐怖で震えていたリオの心にも安らぎが訪れた。
「……信じられん。これは最高位の神官が使う蘇生の秘術に匹敵する……」
ゼノンは、自らの体が全快していくのを確かめながら驚愕の声を漏らした。
やがて光が収まった時、俺たちと生き残ったフロンティアの仲間たちは全員が完全に回復していた。
一同は静かに佇むキメラ・ロードを、畏敬の念のこもった目で見つめていた。破壊の化身であると同時に、生命を育む慈愛の女神でもある。この伝説の獣は、まさに万能の王だった。
だが、勝利の喜びに浸る者はいなかった。
バルガンが瓦礫の中で立ち上がり、静かに仲間たちの名を呼んでいく。返ってくる声はあまりにも少なかった。
百人を超えた連合の軍勢は、今や三十人にも満たない。半数以上がメフィストのたった一撃で、デスペナルティを受けてアステリアへと強制送還されてしまったのだ。
「……すまねえ、みんな」
バルガンは天を仰ぎ、声を震わせた。その巨躯にはリーダーとして仲間を守りきれなかった痛切な悔しさが滲んでいた。
俺も胸が締め付けられるようだった。彼らは、俺が伝説を創造するための時間を稼ぐためにその身を犠牲にしたのだ。この勝利は、あまりにも多くの仲間の敗北の上に成り立っている。
「……下を向いている暇はない」
静寂を破ったのはカエデだった。
「彼らは私たちに未来を託した。その想いを無駄にしないためにも、私たちは前に進まなければならない」
彼女の言葉に、生き残った者たちの瞳に再び闘志の火が宿った。
俺たちはアビスの隠れ家へと帰還し、そして最後の作戦会議を開く。
「メフィストは必ず倒さなければならない。奴がいる限り、この世界のどこにも安息の地はないだろう」
バルガンの言葉に、全員が頷く。
問題は、どうやって奴の居場所を突き止めるかだった。
その時、リオが一枚の暗号化された羊皮紙をテーブルの上に広げた。
「これはガノバスのドロップ品の中にあったギルドの内部文書。私のスキルでなんとか解読してみたんだけど……とんでもないことが書かれてたよ」
彼女は、ゴクリと喉を鳴らした。
「パンデモニウムの真の本拠地はこのアビスじゃない。彼らの本拠地は……空にある」
「空、だと?」
ゼノンが訝しげに眉をひそめる。
「うん。このアビスの遥か上空。アステリアの街からも見えないほどの超高高度。そこに古代の技術で作られた巨大な浮遊要塞が存在するらしい。それこそが奴らの城……『天空要塞パンデモニウム』だよ」
天空要塞。そのあまりにも壮大な響きに、誰もが言葉を失った。
奴らは奈落の底から、天空の玉座へと俺たちを誘っているのだ。
「どうやって、そこへ?」
カエデが尋ねる。
「普通の飛行モンスターでは、その高度までたどり着くことすらできないはずだ」
「そこで出番ってわけだ」
静かに聞いていたゼノンが不敵に笑った。彼の隣にはデスペナルティから復活したワイバーンのイグニスが、主の言葉を待つように控えている。
「俺のイグニスとそこの石ころバード。この二頭がいれば大抵の空は飛べるだろう」
「それに、これを見て」
リオが、もう一つピエロが遺した仮面のアイテムを指差した。
「この仮面には要塞の入り口の座標データが隠されてたんだ。これを使えば、要塞の目の前までテレポートできるかもしれない」
道は示された。
最後の決戦の舞台は天空。
バルガンが、生き残ったフロンティアのメンバーたちに向き直った。
「……ここから先は今までとは次元が違う本当の死地だ。正直、生きて帰れる保証はない。それでも、俺たちと共に来てくれるか?」
彼の問いに、誰一人として否と答える者はいなかった。
「当たり前だ!」
「仲間の仇は俺たちが討つ!」
「最後まで付き合わせてもらうぜ、英雄殿!」
彼らの瞳には、恐怖を乗り越えた揺るぎない覚悟が宿っていた。
俺は自分の隣に立つ伝説の獣王を見上げた。
キメラ・ロードは俺の決意を感じ取ったかのように、その三つの頭を静かに、そして力強く縦に振った。
「決まりだな」
俺は仲間たちに向かって言った。
「これより俺たちフロンティアは、パンデモニウムとの最終決戦に移行します」
その声はもう震えていなかった。
仲間たちの想いを、その犠牲を全て背負って戦うという絶対的な覚悟がそこにはあった。
「目標は敵本拠地、天空要塞パンデモニウム。目的はギルドマスター、メフィストの討伐、及びギルドの完全壊滅」
俺は一度言葉を区切り、仲間たちの顔を一人一人見渡した。
カエデ、リオ、ゴブ。バルガン、そしてゼノン。
最高の仲間たちがここにいる。
「――最終決戦へ。行きましょう、皆さん」
俺の言葉に、全員が力強く頷いた。
アビスの薄暗いアジトの中で、最後の反撃の狼煙が天に向かって静かに、そして力強く上がった。
俺たちの長かった戦いの本当の終わりが、すぐそこに迫っていた。
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