M.M.O. - Monster Maker Online

夏見ナイ

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第九十四話 絆という素材

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『マスターは紛い物なんかじゃありません』
ゴブの魂の叫び。それが混沌に飲み込まれかけていた俺の意識を、強く現実に引き戻した。

そうだ。俺はまだ負けていない。
俺には最強の相棒がいる。最高の仲間たちがいる。
そして俺にはモンスターメイカーとして、最後の、そして最大の切り札が残っている。

メフィストの力は魂を「喰らい」、強制的に結合させる混沌の力。
ならば俺が為すべきは、その対極。
魂を「繋ぎ」、その意志の力で一つになる調和の力。

「……面白い」
混沌の竜王の中からメフィストの嘲笑が響く。
「まだ何かを企んでいるのかね?無駄な足掻きを」

俺は答えない。
ただ静かに目を閉じた。
そして俺の意識を極限まで広げていく。

俺の意識は、傷つき倒れている仲間たちの魂へと触れた。

カエデ。
その魂は白銀の炎のように気高く、そして決して折れることのない正義の輝きを放っていた。
『ユー、お前の力は道を切り開く力だ。迷うな、前へ進め』

リオ。
その魂は翠玉色の宝石のようにどこまでも明るく、そしてどんな困難の中にも商機と希望を見つけ出す不屈の輝きを放っていた。
『ユーさんならできる!だって、あなたが創るものはいつだって私たちの想像を超えてくるんだから!』

バルガン。
その魂は大地そのもののように雄大で温かく、そして仲間を守るためならばその身を盾とすることも厭わない不動の輝きを放っていた。
『旦那の背中は俺たちが守ってやる!だから、あんたはあんたのやるべきことをやれ!』

ゼノン。
その魂は孤高の恒星のように誇り高く、そして自らの信念を何者にも曲げることのない灼熱の輝きを放っていた。
『……フン。紛い物使いがどこまでやれるか、最後まで見届けてやる』

そしてゴブ。
その魂は生まれたての純粋な水晶のようにどこまでも透き通り、そして創造主である俺への絶対的な信頼と愛情の輝きに満ちていた。
『マスター。僕たちは、ずっと一緒です』

彼らの想い。
彼らの魂。
それが俺の最後の創造のための、最高の「素材」。

俺は創造スキルを発動させた。
それはもはや俺個人のスキルではなかった。
仲間たちの魂と俺の魂が一つになって紡ぎ出す、共鳴の創造。

「なっ……!?」
メフィストが初めて狼狽の声を上げた。
俺を捕らえていた混沌の腕が、仲間たちの魂の輝きに焼かれるように霧散していく。

「馬鹿な!貴様、何をしている!?それは創造などではない!システムの根幹に干渉している!世界の理を破壊する気か!」
彼の焦りの声が響き渡る。

「違う」
俺は静かに答えた。
「俺は破壊なんかしない。俺は繋ぐだけだ。俺たちを一つに」

俺は混沌の竜王の、その禍々しい巨体を見据えた。
「お前はたくさんの魂を喰らった。だがその魂は決してお前のものにはなっていない。彼らは苦しみ、叫び、お前の内側からお前を蝕んでいる」
「お前の力は『心』を無視した、ただの強制的な足し算だ」

「俺たちの力は違う」
俺は仲間たちの温かい魂の光をその身に感じながら言った。

「俺たちの力は『心』で繋がる掛け算だ。一人一人の想いが共鳴し、増幅し、無限の力を生み出す」

「黙れ、黙れ、黙れえええええ!」
メフィストが狂ったように絶叫した。
カオス・バハムートの混沌の力が、嵐となって俺に襲いかかる。

だがその混沌は、もはや俺には届かない。
仲間たちの魂が俺の周囲に、光の障壁となって展開されていたからだ。

「さあ、始めようか。メフィスト」
俺は静かに、そして力強く宣言した。

「最後の創造(ラスト・クリエイション)を」

俺は諦めない。
俺は仲間たちの「想い」、共に戦ったモンスターたちの「魂」を素材として、創造の光を放つ。
この絶望的な世界に、俺たちの手で本当の奇跡を生み出すために。

俺の体が眩いばかりの純白の光に包まれていく。
それは混沌を祓う夜明けの光。
俺たちの最後の希望の輝きだった。
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