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日本語の解読
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右門のプレートに書いてある文字は日本語だった。俺はもちろん読めるけど他に読める人はいないだろうな。
左門にはこっちの世界の数字が刻まれている。
「な、なんて書いてあるんだ!?」
「読み上げるぞ。『菊に梅 牡丹に桜 藤に松 魔の流れにて 岩戸開きつ』だとさ」
上手いこと五七五七七になってるな。
「なっ!? ど、どういう意味だい!? そんなの聞いた事もないぞ!?」
似たような花はあった気もするが確かにこっちの世界ではそんな名前じゃなかった気がする。
ふむ‥‥‥これはおそらく『花暦』だな。
だとすれば‥‥‥。
「9、2、6、3、4、1の順に魔力を流すって事だろうな」
その通りに俺が魔力を流してみると‥‥‥。
ゴゴゴゴ‥‥‥!!!!
門が開いた。
「開いた‥‥‥! さすがはエドガーだ!!」
「そんなのもちろんです!」
だからティナ、なんでお前が偉そうなんだ。
遺跡ダンジョンの中にみんなで入る。
「‥‥‥ここからは気を抜くなよ。何が起きてもおかしくないからな」
セリスがみんなに注意を喚起する。
「エドガー様。風の精霊が‥‥‥調子悪いみたいです。申し訳ございません」
フルルが泣きそうな顔で訴えてきた。
「あぁ、きっとダンジョンのせいだろう。大丈夫さ、みんないるし!!」
精霊の種類によってはダンジョンで調子良くなるタイプもいる。
空気の流れの悪いこういう閉塞的な感じのタイプのダンジョンでは風精霊は本領発揮出来ないのだろうな。
逆に開けた草原ダンジョンなんかでは調子良くなるはずだ。
この階を過ぎたら開けてるダンジョン階かもしれないからそこは仕方ない。
セリスがフルルの肩に手をやる。
「こういうダンジョンはアタシ達に任せときな」
「‥‥‥すみません」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
キラーラット(歯の鋭い大きいネズミ)やスティールバット(冒険者の所持品を盗む蝙蝠)が現れたりしたが問題なくセリス達が討伐してくれた。
「‥‥‥ここはセーフティゾーンだな。ここで一時休憩しよう」
セリスの提案に皆賛同する。歩き続けて少々疲れた。
ダンジョンには各階にセーフティゾーンなるものがあるらしい。
ライオンみたいな彫像の口からきれいな水が出ていて飲めるらしい。
「じゃあ水を汲んできます」
「私も行くわ、フルルちゃん」
フルルとティナが水筒を持って汲みに行った。
こちらではマール達が手慣れた手つきで火を起こす。
「この感じだとボスが近くにいると思う。ここでしっかりと休んでいこう」
さすがは冒険者のリーダーだ、しっかりしてるな。
火を囲んで座り、水筒の水を飲む。保存食をみんなで分けて少しずつ食べる。いかにも冒険者らしい光景だ。
「エドガー様、以前作った保存食があったのでは?」
「あ、そうだな。このリュックの奥に‥‥‥あった!」
ゴソゴソと取り出したものは以前作った魔法の缶詰だ。二つ。
中身は‥‥‥なんだったっけな?
「なんだ、それは?」
「中に食べる物が入っているんだ。待ってろ、今開けるから」
蓋部分の魔法陣に魔力を魔力を流すと缶詰自体が温まり始める。
充分に温まったところで缶詰の蓋が開いた。
出汁っぽい香りが広がる。思い出した。これは『炊き込みご飯(モドキ)』の缶詰だ。
「!? すごい美味そうな匂いがするぞ!? なんだそれは!?」
興奮気味のセリスが近づいてくる。
ちょ、近いって。
「炊き込みご飯だよ、オリザと具材と出汁で炊いたんだ。試験的に作ったものだから試食して意見をくれると助かるよ」
それぞれに分けると量は二口分くらいだな。試食としては丁度良いだろう。
「!? うっま!! なんだよ、これ!? もっとくれよ!」
「ふむふむ、好評だな。すまんがそれしかもうないぞ」
「はうぅぅ‥‥‥」
がっかりしたセリス達は両手と膝を床につけてしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さて、充分休息出来ただろう。そろそろ行くか」
俺たちは立ち上がり、安全地帯を後にした。
左門にはこっちの世界の数字が刻まれている。
「な、なんて書いてあるんだ!?」
「読み上げるぞ。『菊に梅 牡丹に桜 藤に松 魔の流れにて 岩戸開きつ』だとさ」
上手いこと五七五七七になってるな。
「なっ!? ど、どういう意味だい!? そんなの聞いた事もないぞ!?」
似たような花はあった気もするが確かにこっちの世界ではそんな名前じゃなかった気がする。
ふむ‥‥‥これはおそらく『花暦』だな。
だとすれば‥‥‥。
「9、2、6、3、4、1の順に魔力を流すって事だろうな」
その通りに俺が魔力を流してみると‥‥‥。
ゴゴゴゴ‥‥‥!!!!
門が開いた。
「開いた‥‥‥! さすがはエドガーだ!!」
「そんなのもちろんです!」
だからティナ、なんでお前が偉そうなんだ。
遺跡ダンジョンの中にみんなで入る。
「‥‥‥ここからは気を抜くなよ。何が起きてもおかしくないからな」
セリスがみんなに注意を喚起する。
「エドガー様。風の精霊が‥‥‥調子悪いみたいです。申し訳ございません」
フルルが泣きそうな顔で訴えてきた。
「あぁ、きっとダンジョンのせいだろう。大丈夫さ、みんないるし!!」
精霊の種類によってはダンジョンで調子良くなるタイプもいる。
空気の流れの悪いこういう閉塞的な感じのタイプのダンジョンでは風精霊は本領発揮出来ないのだろうな。
逆に開けた草原ダンジョンなんかでは調子良くなるはずだ。
この階を過ぎたら開けてるダンジョン階かもしれないからそこは仕方ない。
セリスがフルルの肩に手をやる。
「こういうダンジョンはアタシ達に任せときな」
「‥‥‥すみません」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
キラーラット(歯の鋭い大きいネズミ)やスティールバット(冒険者の所持品を盗む蝙蝠)が現れたりしたが問題なくセリス達が討伐してくれた。
「‥‥‥ここはセーフティゾーンだな。ここで一時休憩しよう」
セリスの提案に皆賛同する。歩き続けて少々疲れた。
ダンジョンには各階にセーフティゾーンなるものがあるらしい。
ライオンみたいな彫像の口からきれいな水が出ていて飲めるらしい。
「じゃあ水を汲んできます」
「私も行くわ、フルルちゃん」
フルルとティナが水筒を持って汲みに行った。
こちらではマール達が手慣れた手つきで火を起こす。
「この感じだとボスが近くにいると思う。ここでしっかりと休んでいこう」
さすがは冒険者のリーダーだ、しっかりしてるな。
火を囲んで座り、水筒の水を飲む。保存食をみんなで分けて少しずつ食べる。いかにも冒険者らしい光景だ。
「エドガー様、以前作った保存食があったのでは?」
「あ、そうだな。このリュックの奥に‥‥‥あった!」
ゴソゴソと取り出したものは以前作った魔法の缶詰だ。二つ。
中身は‥‥‥なんだったっけな?
「なんだ、それは?」
「中に食べる物が入っているんだ。待ってろ、今開けるから」
蓋部分の魔法陣に魔力を魔力を流すと缶詰自体が温まり始める。
充分に温まったところで缶詰の蓋が開いた。
出汁っぽい香りが広がる。思い出した。これは『炊き込みご飯(モドキ)』の缶詰だ。
「!? すごい美味そうな匂いがするぞ!? なんだそれは!?」
興奮気味のセリスが近づいてくる。
ちょ、近いって。
「炊き込みご飯だよ、オリザと具材と出汁で炊いたんだ。試験的に作ったものだから試食して意見をくれると助かるよ」
それぞれに分けると量は二口分くらいだな。試食としては丁度良いだろう。
「!? うっま!! なんだよ、これ!? もっとくれよ!」
「ふむふむ、好評だな。すまんがそれしかもうないぞ」
「はうぅぅ‥‥‥」
がっかりしたセリス達は両手と膝を床につけてしまった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さて、充分休息出来ただろう。そろそろ行くか」
俺たちは立ち上がり、安全地帯を後にした。
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