アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

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新居編

ヴィクトール・メディシス卿

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 コンコンッ!! 
 再度ドアがノックされる。
 ルーナのスイッチが令嬢モードに切り替わる。

「ヴィクトール様がご入室されます!」
 ガーネットさんの声の後にガチャっとドアが開く。
 俺は片膝をついた『臣下の礼』という姿勢をとる。ルーナも頭を軽く下げスカートをつまむ姿勢で待つ。ソフィアは頭を軽く下げる程度だ。

 姿も雰囲気も引き締まった壮年の男性が入ってくる。この人がメディシス卿か。

「ヴィヴィアンよ、久しいな。息災そうでなによりだ」
「お父さま、ご無沙汰しております」

「で、そちらが例の‥‥‥」
のアルフレッドですわ」

 自己紹介をしようと思ったがルーナに手で制された。まだ俺のターンではないらしい。

「まったくじゃじゃ馬にも程があろう‥‥‥。まさか縁談を断ってまで連れて来たのが冒険者とは思わなんだわ」

 メディシス卿はこちらに向き直る。
「アルフレッドとやら。聞けばウィリスに決闘で勝ったそうだな?」
 ルーナの手が下ろされる。発言して良いという意味だろう。

「恐縮です。ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。お初にお目に掛かります、メディシス卿。ヴィヴィアン様と共に冒険者をしておりますアルフレッドと申します」
「っ! おぉ‥‥‥、これは丁寧に」
 メディシス卿は冒険者如きがこんな挨拶をしてくるとは思わなかったのだろう。驚いているようだ。

「この度はお招きいただき感謝の念に絶えません。今後とも格別のお引き立てをお願い申し上げます」
「ふはは! なかなか言うではないか。ふむ、ウィリスに勝ったというのもあるし、君に少し興味が湧いてきたよ」
 幸い、中々の好反応のようだ。

「こちらはほんの手土産でございます。どうぞお納めくださいませ」
「ふむ‥‥‥これは?」

「私が作成致しましたポーション各種を詰め合わせたものにございます」
 ハイポーションやマナポーションなどを箱に入るだけ詰めたものを側近の人に渡す。

「うむ‥‥‥ポーション類はいくらあっても良いものだからな。大切に使わせてもらうとしよう。そしてそちらの婦人は?」

「ルーナ‥‥‥いや、ヴィヴィアン殿の御尊父様。我はドラゴニュートのソフィアと申す」
「これは丁寧な挨拶痛み入る。ヴィクトール・メディシスである。まぁ、立ち話もなんだ。皆掛けてくれたまえ」
「はい、ありがとうございます」
 ソファに座るように促されたので従う。

「それでアルフレッドくんはウィリスにどのようにして勝ったのかね?」
「それはですね‥‥‥(かくかくしかじか)」
 竜の秘薬の件も含めて説明する。
 しかしグイグイと聞いてくるお貴族様だなぁ。

「‥‥‥お父さまは闘いを観るのが大好きなのよ。それこそ武闘会のメインスポンサーになってしまう程に‥‥‥」
 ルーナがこっそりと耳打ちしてきた。なるほどね。

「おお! そういえば王国武闘トーナメントが近いのだったな。どうだ、アルフレッドくんも出場してみんか?」

 王国武闘トーナメント‥‥‥、観た事はないけど聞いた事はあるぞ。王国の各領から代表者を選出して王都のコロシアムで最強を決める大会だったはずだ。

「お父さま!! アルはバトル系スキル持ちじゃねーん‥‥‥ないのですわよ!!」
 ルーナ、動揺して普段の言葉が漏れ出てるぞ。

 ヴィクトール様は聞き流す。
「なんにせよウィリスに勝てる者ならば間違いなくいいところまでいくだろう」
「そ、そうかもしれませんけど! アルは‥‥‥」

 俺は意を固めた。
「わかりました! トーナメントで勝ってみせます!!」
「アル!?」

「その報酬としてお嬢様をいただきます!」
「っ!?」

「‥‥‥ふははは!! 良かろう。優勝したらヴィヴィアンはキミのものだ。‥‥‥ウィリス!」
「はっ! こちらに」

「先方に伝えよ。事情が変わった、婚約は破棄、ヴィヴィアンを娶りたければトーナメントで勝利せよ、とな」
「御意」
 

「アル殿が出ると言うのなら我も出たいぞ!」
「ソフィア‥‥‥、お前が出て優勝したらややこしくなるだろう」

「我がアル殿と当たったら棄権すれば良かろう。我は強者と闘いたいんじゃ!」

「この領からの代表選手は二人だ。組み合わせ次第では二人とも本戦に出場出来よう」
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