アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

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新居編

ルーナの愚痴

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「‥‥‥みんな揃ってアタイを物みたいに扱いやがってよ」
 二爵家からの帰りの馬車の中。ルーナがぶつぶつ言ってる。口調は普段通りだが姿がいつもの冒険者モードでなく貴族令嬢モードなのでミスマッチだ。ちょっと可愛く思えた。

 ちなみにソフィアは自分で飛んで帰った。馬車でチンタラ帰ってられないとの事だ。

「それにしてもアル!! あんな約束しやがって! トーナメントに出るなんて正気かよ!?」
「あぁ、勿論さ。話が早くまとまって良かったよ」

「そんな話してんじゃないんだよ!! トーナメントなんて‥‥‥危ないじゃないか‥‥‥」
「俺だって冒険者だよ。危険は承知の上さ」

「だってそんな‥‥‥アタイのためになんて」

 珍しくしおらしいルーナ。
「まだトーナメント予選までに二カ月ある。うちのメンバーみんなに鍛えてもらうさ。ルーナよろしく頼むぞ」

「‥‥‥わかった!! めちゃくちゃ厳しく鍛えるからな、覚悟しておけよ!!」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 帰宅してメンバーにも事の次第を伝えた。みんな快く同意してくれた。

 スケジュール的にはこんな感じだ。
 朝起床したらランニング10キロ。ムーがランニング魔法陣とやらを作ってくれた。そこなら魔法陣の上でひたすら走るだけで広いスペースは必要ない。速度や負荷も自由に設定出来る。

 食事はタンパク質多めのメニューだ。ムーとミリアが用意してくれる。ソフィアが狩ってきたブッシュボアやビッグホーンディア(鹿に似た大きな角を持つ魔獣)の肉はムーとジャックが料理してくれた。

 午前はルーナ、ソフィアと格闘訓練。ルーナは木剣を使うが最初は手加減してくれていたが最近は本気で打ち込んでくる。以前は全く見えなかった剣筋も今はなんとか見えるようになってきた。
 ソフィアとは体術で主に組手。一撃が凄まじく重いので躱すのも逸らすのも必死だ。まともに喰らったらおそらくポーションを使う暇もなく召されてしまう。

 午後はアリウスと魔術訓練。俺の少ない魔力はどうしたら増やせるか? 答えは『使い切ってから回復させる』だ。

 だからひたすら魔力を使いまくる。六属性全て万遍なく発動させて偏りのないように。
 
 魔力を使い切って倒れたら自分で作ったマナポーションを飲んで復活。魔石はソフィアが狩ってくるのでいくらでも手に入るし、魔法水もアリウスが出してくれる。マナポーションの作成には魔力を消費しないのでいくらでも作れる。
 
 夕食の後はアリウス、ミリアと合成の実験。竜の秘薬(下)は臭いし持続時間が短い、(上)はデメリットが大きいからちょうどよく作れないかを検討していた。

 (下)と(上)を合成したら間をとって(中)になるのかとも思ったがそう上手くはいかなかった。ポーション二つでミドルポーションにはなるのにな。
 
 この合成というスキルは経験上良い物と悪い物で中くらいの物が出来るスキルではないのだ。

 つまり‥‥‥竜の秘薬(下)二つで竜の秘薬(中)が出来たのだ。出来るようになったというのが正確だろう。

 【竜の秘薬(中)】
 作成者の全能力を5分間超人化する。使用後は全身の筋肉痛に襲われ、寿命は一カ月縮む。筋肉痛から解放されるとステータスがアップする。

 瓶の蓋を開けてみたが匂いは問題なかった。以前もこの組み合わせは試したはずだが‥‥‥きっと合成レベルが上がって作れるようになったのだろうな。
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