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トーナメント地方予選編
予備予選後②
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「やぁ、キミたちかい? 初出場で本予選まで勝ち上がったっていうのは?」
ロイドさんが去ったあと、またもやいかにも貴族っぽい男たちが現れた。
「そうですけど、あなた方は?」
すると二人はポーズを変えた。
「我々は‥‥‥!」
「エイゾラム兄弟!!」
「最強無敵の‥‥‥!」
「冒険者貴族!!」
二人は話す度にポーズを変える。疲れないのだろうか?
「ワタシが兄のビリー!」
「わたしが弟のサイラス!!」
二人は「決まった!」という満足顔。だが何とも言えない空気が辺りを包んだ。
「‥‥‥はぁ、そうですか」
「貴族というのは本当に変人が多いんじゃの」
そのまとめ方は雑すぎるぞ、ソフィア。他の貴族の方に失礼だ。
「さて、何故話しかけたかというとだね」
「初めてのキミたちに棄権することを勧めに来たのだよ」
? 何を言ってるのだろうか?
「そちらの女がワタシと当たるのだろう?」
「ビリー兄は強いぞ!!」
「見た目はまぁまぁイケるじゃないか。その顔を傷つけるというのも心が痛むからねぇ」
「ビリー兄、優しい!!」
なるほど、ソフィアに対して棄権勧告に来たのか。でもな、多分それは逆効果だぞ。
「ほう、其方はそんなに強いのか。楽しみだの、是非戦ってみたいぞ」
ほらな。このバトルジャンキーが棄権なんかするはずがない。相手が強いなどと聞けば尚の事だ。
「な、なんなんだお前は!? 怪我させたくないから棄権しろと言ってるだろう? 何故この優しさが伝わらないんだ!?」
「そんなもの優しさでもなんでもないわ。我のことを思ってくれるのなら是非とも全力で闘って欲しいものじゃ」
ソフィアはそう言って拳を見せた。
「くっ‥‥‥、見た目はそこそこだから我らの性欲処理としてちょうど良いと思ったのに」
「もういい。我々の強さを見せつければもう少し素直になるかもしれん。行くぞ」
この場合の素直というのは『自分たちに従うようになる』という意味なのだろう。
ソフィアの場合はたとえ負けたとしてもそんな事にはならないと思うんだけどなぁ。
「終始失礼で愉快な連中であったの。我らも行くとしようかの、アル殿」
「あぁ、そうしよう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
本予選トーナメントはブロックの番号がそのまま戦う仕組みだそうだ。
「つまり、我はアル殿と決勝までは当たらないという訳じゃな」
「そうだな、トーナメントの山の反対側だからな」
ソフィアが1で俺が8だからお互い決勝まで勝ち上がれば戦うことになるけど。
「我の相手は先程の変人貴族の兄のほうじゃな」
「俺の相手はアランっていう7ブロックの選手だな」
辺りを見回す。みんなそこそこの身なりの中でみすぼらしい服装の男が一人。
頭に布を巻いて着ている服も簡素だ。おそらく彼がアランなんだろう。
先程の変人貴族兄弟に何か言われてるようだが‥‥‥。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おっす、オラは6ブロックを勝ち抜いたアランだ! アルフレッドってのはアンタけ?」
思ってた通りの人物がやはりアランだった。
「あぁ、そうだ。俺の次の次の対戦相手になるのかな」
「んだ! よろすく頼むべや」
なんというか訛りが強いな。どこの出身なんだろうか?
「さっきあの変人貴族兄弟に話しかけられてたみたいだけど?」
「んだなっす。出場辞退しろって言ってきたっぺや。ここまで勝って棄権するバカいなかんべなぁ?」
そりゃそうだ。あの兄弟もはや変人というよりもクズだな。
アランはそんなことどうでも良さそうでソフィアをガン見してる。
「しっかし随分とべっぴんさんだなや? アンタの女け?」
「そうじゃよ! ソフィアと申す」
「いや、違うだろ」
勝手に肯定すんな、ややこしくなるだろ。
「ほうかい。んじゃオラが狙っても別に問題ねー訳だな?」
「ふふーん、我の魅力は罪つくりじゃの。アル殿に勝てたら考えてやろう」
「ほんとけ!? オラ俄然やる気になってきたべ!」
「おい! 勝手に決めんなよ!」
「お主が頑張って勝てば何も問題ない話じゃよ。女に生まれたからには男たちに奪い合いされてみたいものじゃろ?」
知らないよ、女じゃないもん。
「お互い正々堂々と頑張るべ! んじゃあな!」
そう言うとアランは行ってしまった。
「俺たちも宿に帰るか」
「そうじゃな」
ロイドさんが去ったあと、またもやいかにも貴族っぽい男たちが現れた。
「そうですけど、あなた方は?」
すると二人はポーズを変えた。
「我々は‥‥‥!」
「エイゾラム兄弟!!」
「最強無敵の‥‥‥!」
「冒険者貴族!!」
二人は話す度にポーズを変える。疲れないのだろうか?
「ワタシが兄のビリー!」
「わたしが弟のサイラス!!」
二人は「決まった!」という満足顔。だが何とも言えない空気が辺りを包んだ。
「‥‥‥はぁ、そうですか」
「貴族というのは本当に変人が多いんじゃの」
そのまとめ方は雑すぎるぞ、ソフィア。他の貴族の方に失礼だ。
「さて、何故話しかけたかというとだね」
「初めてのキミたちに棄権することを勧めに来たのだよ」
? 何を言ってるのだろうか?
「そちらの女がワタシと当たるのだろう?」
「ビリー兄は強いぞ!!」
「見た目はまぁまぁイケるじゃないか。その顔を傷つけるというのも心が痛むからねぇ」
「ビリー兄、優しい!!」
なるほど、ソフィアに対して棄権勧告に来たのか。でもな、多分それは逆効果だぞ。
「ほう、其方はそんなに強いのか。楽しみだの、是非戦ってみたいぞ」
ほらな。このバトルジャンキーが棄権なんかするはずがない。相手が強いなどと聞けば尚の事だ。
「な、なんなんだお前は!? 怪我させたくないから棄権しろと言ってるだろう? 何故この優しさが伝わらないんだ!?」
「そんなもの優しさでもなんでもないわ。我のことを思ってくれるのなら是非とも全力で闘って欲しいものじゃ」
ソフィアはそう言って拳を見せた。
「くっ‥‥‥、見た目はそこそこだから我らの性欲処理としてちょうど良いと思ったのに」
「もういい。我々の強さを見せつければもう少し素直になるかもしれん。行くぞ」
この場合の素直というのは『自分たちに従うようになる』という意味なのだろう。
ソフィアの場合はたとえ負けたとしてもそんな事にはならないと思うんだけどなぁ。
「終始失礼で愉快な連中であったの。我らも行くとしようかの、アル殿」
「あぁ、そうしよう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
本予選トーナメントはブロックの番号がそのまま戦う仕組みだそうだ。
「つまり、我はアル殿と決勝までは当たらないという訳じゃな」
「そうだな、トーナメントの山の反対側だからな」
ソフィアが1で俺が8だからお互い決勝まで勝ち上がれば戦うことになるけど。
「我の相手は先程の変人貴族の兄のほうじゃな」
「俺の相手はアランっていう7ブロックの選手だな」
辺りを見回す。みんなそこそこの身なりの中でみすぼらしい服装の男が一人。
頭に布を巻いて着ている服も簡素だ。おそらく彼がアランなんだろう。
先程の変人貴族兄弟に何か言われてるようだが‥‥‥。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おっす、オラは6ブロックを勝ち抜いたアランだ! アルフレッドってのはアンタけ?」
思ってた通りの人物がやはりアランだった。
「あぁ、そうだ。俺の次の次の対戦相手になるのかな」
「んだ! よろすく頼むべや」
なんというか訛りが強いな。どこの出身なんだろうか?
「さっきあの変人貴族兄弟に話しかけられてたみたいだけど?」
「んだなっす。出場辞退しろって言ってきたっぺや。ここまで勝って棄権するバカいなかんべなぁ?」
そりゃそうだ。あの兄弟もはや変人というよりもクズだな。
アランはそんなことどうでも良さそうでソフィアをガン見してる。
「しっかし随分とべっぴんさんだなや? アンタの女け?」
「そうじゃよ! ソフィアと申す」
「いや、違うだろ」
勝手に肯定すんな、ややこしくなるだろ。
「ほうかい。んじゃオラが狙っても別に問題ねー訳だな?」
「ふふーん、我の魅力は罪つくりじゃの。アル殿に勝てたら考えてやろう」
「ほんとけ!? オラ俄然やる気になってきたべ!」
「おい! 勝手に決めんなよ!」
「お主が頑張って勝てば何も問題ない話じゃよ。女に生まれたからには男たちに奪い合いされてみたいものじゃろ?」
知らないよ、女じゃないもん。
「お互い正々堂々と頑張るべ! んじゃあな!」
そう言うとアランは行ってしまった。
「俺たちも宿に帰るか」
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