78 / 98
トーナメント地方予選編
宿に戻ると
しおりを挟む
「おう、おかえり! どうだった?」
宿に戻るとエントランスでルーナが出迎えてくれた。
「‥‥‥‥‥‥」
俺とソフィアは悲壮な顔で下を向く。
「え? ま、まさか‥‥‥!?」
ルーナが不安な表情になる。
「「イェーイ!!」」
俺とソフィアが同時に笑顔を上げてVサイン。こうすると宿に入る前から決めていたのだ。
「て、てめーら!! 驚かせやがったな!?」
ルーナが真っ赤な顔で怒り出す。
「言っとくけどコレの発案者はソフィアだからな?」
「普通に報告しても面白くないじゃろ? アル殿もノリノリだったじゃろが」
本当にこのドラゴニュートは人間臭さがハンパないな。こういうことをどこで覚えてきたのか?
「くっそぉぉ、お前ら。アタイのこと揶揄《からか》いやがって‥‥‥。アイツらに染まってきやがったな?」
「まぁ、それはさておき夕餉はなんじゃ? ルーナの薦める店とかはないのかの?」
「張本人のオメーがさておくんじゃねーよ、まったく。今日の晩飯は領都名物の『ペリロギ』の店に行くぜ」
「ペリロギ? とはなんじゃ?」
聞いたことあるな、たしか‥‥‥
「小麦粉の生地で具を包んで焼いたり茹でたりした料理だよな?」
「おっ! 正解だ、アル。知ってたのか?」
「名前だけな、食べたことはないよ」
「よーし! アタイが領都で一番の店に連れてってやる、エールにも合うぜ!!」
「おぉ! 楽しみじゃな、早う行こうぞ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「エールとペリロギ盛り合わせ、お待たせしましたー♪」
平民向けの大衆酒場のような店に入って注文したらすぐに出てきた。
今日はルーナがホスト役らしい。
「二人の勝利に‥‥‥」
「「「カンパーイ!!」」」
三人で杯を合わせ、それぞれが一気に呷る。
くぅぅぅぅ‥‥‥!!!! たまらないっ!
「さぁ、冷めないうちに食えよ」
「いただきまーす!」
一つを丸ごと口の中に入れる俺とソフィア。
!!!!?
「あっふ!? うっま、あっふい!!!」
「これはええの!!!! なるほど、エールに合うぞ!」
ドヤ顔のルーナ。
「だろう? それぞれ中身が違うからいろんな味が楽しめるんだ。どうだ、美味いだろ?」
「うむ、我は気に入ったぞ!! そこのお嬢、エールの代わりを三つじゃ!」
ソフィアが通りかかった店員さんに三人分エールのおかわりを頼んだ。気が利いてるけどさ、
「俺の分はまだあるぞ?」
「何を言うとる、我の分じゃ」
お前の分かよ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふー! 満腹じゃ!」
たらふく食べたソフィアが大きくなった腹を抱えて歩いている。そりゃそうなるよ、すごい食べてたもの。
宿に着いた。
「お客さん、すまないが三人とも連れなんだろ? 相部屋お願い出来ないかな? 料金は安くするんで」
急にお偉いさん(多分貴族)の従者さんの宿泊先を確保しないといけなくなったらしい。
「構わぬぞ」
「おいっ! 勝手に決めんな」
「アタイもいいぜ」
「ルーナまで‥‥‥」
「困ったときは助け合わぬとな」
「そりゃそうなんだけどさ‥‥‥」
さすがに女性二人と同じ部屋ってのはまずいだろうよ。
結果的に俺の意見は却下された。今は三人で部屋にいる。
更に問題が‥‥‥、ベッドが二つしかない。
「仕方ない、俺が床で寝るよ。女性を床になんて寝かせられない」
「我はベッド無しで寝る事の方が多いから構わぬ。我が床で寝よう」
「お前ら二人は明日も試合なんだからちゃんと寝ないとダメだ。二人がベッドを使え」
三者三様の理由でみんな譲らない。長らく揉めた結果ベッド二つをくっつけて三人で寝るという結論に。
「‥‥‥それでなんでこの配置なんだよ?」
俺が真ん中で左にソフィア、右にルーナが寝ることに。
「我は尻尾の関係で端でないと邪魔じゃろ?」
「アタイも端がいい」
「‥‥‥はぁぁ、わかったよ」
程よく酔っていたのもあって二人はあっという間に寝息を立て始めた。一方の俺は目が冴えてしまって‥‥‥。
「‥‥‥ちゃんと眠れるかなぁ」
宿に戻るとエントランスでルーナが出迎えてくれた。
「‥‥‥‥‥‥」
俺とソフィアは悲壮な顔で下を向く。
「え? ま、まさか‥‥‥!?」
ルーナが不安な表情になる。
「「イェーイ!!」」
俺とソフィアが同時に笑顔を上げてVサイン。こうすると宿に入る前から決めていたのだ。
「て、てめーら!! 驚かせやがったな!?」
ルーナが真っ赤な顔で怒り出す。
「言っとくけどコレの発案者はソフィアだからな?」
「普通に報告しても面白くないじゃろ? アル殿もノリノリだったじゃろが」
本当にこのドラゴニュートは人間臭さがハンパないな。こういうことをどこで覚えてきたのか?
「くっそぉぉ、お前ら。アタイのこと揶揄《からか》いやがって‥‥‥。アイツらに染まってきやがったな?」
「まぁ、それはさておき夕餉はなんじゃ? ルーナの薦める店とかはないのかの?」
「張本人のオメーがさておくんじゃねーよ、まったく。今日の晩飯は領都名物の『ペリロギ』の店に行くぜ」
「ペリロギ? とはなんじゃ?」
聞いたことあるな、たしか‥‥‥
「小麦粉の生地で具を包んで焼いたり茹でたりした料理だよな?」
「おっ! 正解だ、アル。知ってたのか?」
「名前だけな、食べたことはないよ」
「よーし! アタイが領都で一番の店に連れてってやる、エールにも合うぜ!!」
「おぉ! 楽しみじゃな、早う行こうぞ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「エールとペリロギ盛り合わせ、お待たせしましたー♪」
平民向けの大衆酒場のような店に入って注文したらすぐに出てきた。
今日はルーナがホスト役らしい。
「二人の勝利に‥‥‥」
「「「カンパーイ!!」」」
三人で杯を合わせ、それぞれが一気に呷る。
くぅぅぅぅ‥‥‥!!!! たまらないっ!
「さぁ、冷めないうちに食えよ」
「いただきまーす!」
一つを丸ごと口の中に入れる俺とソフィア。
!!!!?
「あっふ!? うっま、あっふい!!!」
「これはええの!!!! なるほど、エールに合うぞ!」
ドヤ顔のルーナ。
「だろう? それぞれ中身が違うからいろんな味が楽しめるんだ。どうだ、美味いだろ?」
「うむ、我は気に入ったぞ!! そこのお嬢、エールの代わりを三つじゃ!」
ソフィアが通りかかった店員さんに三人分エールのおかわりを頼んだ。気が利いてるけどさ、
「俺の分はまだあるぞ?」
「何を言うとる、我の分じゃ」
お前の分かよ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふー! 満腹じゃ!」
たらふく食べたソフィアが大きくなった腹を抱えて歩いている。そりゃそうなるよ、すごい食べてたもの。
宿に着いた。
「お客さん、すまないが三人とも連れなんだろ? 相部屋お願い出来ないかな? 料金は安くするんで」
急にお偉いさん(多分貴族)の従者さんの宿泊先を確保しないといけなくなったらしい。
「構わぬぞ」
「おいっ! 勝手に決めんな」
「アタイもいいぜ」
「ルーナまで‥‥‥」
「困ったときは助け合わぬとな」
「そりゃそうなんだけどさ‥‥‥」
さすがに女性二人と同じ部屋ってのはまずいだろうよ。
結果的に俺の意見は却下された。今は三人で部屋にいる。
更に問題が‥‥‥、ベッドが二つしかない。
「仕方ない、俺が床で寝るよ。女性を床になんて寝かせられない」
「我はベッド無しで寝る事の方が多いから構わぬ。我が床で寝よう」
「お前ら二人は明日も試合なんだからちゃんと寝ないとダメだ。二人がベッドを使え」
三者三様の理由でみんな譲らない。長らく揉めた結果ベッド二つをくっつけて三人で寝るという結論に。
「‥‥‥それでなんでこの配置なんだよ?」
俺が真ん中で左にソフィア、右にルーナが寝ることに。
「我は尻尾の関係で端でないと邪魔じゃろ?」
「アタイも端がいい」
「‥‥‥はぁぁ、わかったよ」
程よく酔っていたのもあって二人はあっという間に寝息を立て始めた。一方の俺は目が冴えてしまって‥‥‥。
「‥‥‥ちゃんと眠れるかなぁ」
50
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる