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トーナメント地方予選編
本予選
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寝不足の朝、なんとか準備を整え会場にたどり着いた。ものすごい人だかりだ。
「アタイは観客席で観てるからな。アイツらも明日には来るだろうよ。お前ら二人とも頑張れよ!」
「おー!」
「まかしとけなのじゃ」
ルーナは人混みに紛れて見えなくなった。
本予選が始まるアナウンスが流れる。
「大変お待たせ致しました。これより王国武闘トーナメント本予選を開始致します。第一試合はソフィア選手対ビリー・エイゾラム選手の対戦です。御二方、武舞台へどうぞ!!」
「では行ってくるぞ」
「あぁ、油断するなよ」
ソフィアと変人兄《ビリー》が武舞台に上がる。
「ソフィアー! 頑張れよー!!」
ルーナの声が響いた。観客も大勢いるのによく声が通るものだな。ソフィアを手を振り返す。
「おーう! 決勝までは負けぬよ!!」
変人兄《ビリー》がソフィアに話しかける。
「やはり棄権する気はないのだね」
「真剣勝負こそ武人の誉れであろう? お主はそうではないのか?」
「ワタシは勝負が好きなんじゃない、勝つのが好きなのさ」
「そうか、それは残念じゃったな。では嫌いな方を味わうが良いぞ」
相手は剣を抜いて構えた。ソフィアは腰に手を当ててふんぞりかえっている。これは格下のモンスターと戦う時の構えでもある。
審判のコール待ちだ。
「あー、その前に確認します。双方、『護符』の使用はどうしますか?」
「ワタシはもちろん持っている」
「護符? とはなんじゃ?」
あ、ソフィアに言うの忘れてた。『身代わりの護符』というアイテムがあってこの大会では使用が許される。貴族もまあまあいるので大怪我や死亡しないように作られたペンダントのような魔道具の一種だ。
【身代わりの護符】 致命的なダメージを一度だけ装備者の代わりに肩代わりして砕ける。
この大会においては護符が砕けたら即敗北だ。致命的なダメージを受けたという事だからな。
「そんなものは不要じゃ」
「わかりました。では双方よろしいですね? はじめっ!!!」
ジャーーーン!!
審判のコールと共に銅鑼が鳴る。観客も大盛り上がりだ。
「では、こちらから行くぞっ!」
ビリーが間合いを詰めて鋭く突きを放つ。ビリーの剣は刺突剣に近い形状をしている。
ところがソフィアは全く動じることなく右手の平で突きを止めた。
「ふん、そのような魔力も纏わせてない突きでは我の柔肌にすら刺さらんぞ。遊んどらんでさっさと本気を出すんじゃな?」
「なっ!? ど、どうなっているんだ!? バケモノめ!」
ビリーは後ろに下がり一旦距離を取る。
「ではそのバケモノを性欲処理に使おうとしていたお主はド変態じゃな?」
「う、うるさい!! そこまで言うなら本気でやってやる!」
ビリーが魔力を剣に纏わせた。
「うむ‥‥‥そうじゃ。そうでなくてはわざわざこんな大会に出た意味がないからの‥‥‥、ハァァァッ!!!!」
ソフィアもようやくちゃんと構えて身体に魔力を纏わせた。
「さぁ‥‥‥存分にやろうではないか!」
「うらぁ!! 喰らいやがれっ!!」
ビリーがさらに鋭い突きを無数に放つ。いわゆる【乱れ突き】という技だろう。
しかしソフィアは最小限の動きで連続の突きを避ける。
「そうそう、こういうのを待っておったんじゃよ」
「ぐっ‥‥‥、いつまでも避け続けらると思うなぁぁぁ!!!?」
ビリーの連続突きのペースがさらに増えた。
ソフィアの二の腕、鱗で覆われてない部分を掠めて血が出る。
「くはは!! どうだ!?」
「なんじゃ、こんなかすり傷程度で嬉しいのかの? もうええか‥‥‥」
ソフィアが動きのギアを上げた。
「んなっ!? 奴め、どこに‥‥‥!?」
「後ろじゃ、阿呆」
背中を蹴られたビリーは吹き飛ばされて場外に落ちそうになる。
「あ、危なかった‥‥‥!」
「危ない? いや、お主の負けじゃろ? ほれ」
ソフィアが胸を指し示す。ビリーの胸元に注目が集まる。
ビリーの護符は砕けていた。
「第一試合! ソフィア選手の勝ち!!」
審判からの勝利宣言が下った。
「アタイは観客席で観てるからな。アイツらも明日には来るだろうよ。お前ら二人とも頑張れよ!」
「おー!」
「まかしとけなのじゃ」
ルーナは人混みに紛れて見えなくなった。
本予選が始まるアナウンスが流れる。
「大変お待たせ致しました。これより王国武闘トーナメント本予選を開始致します。第一試合はソフィア選手対ビリー・エイゾラム選手の対戦です。御二方、武舞台へどうぞ!!」
「では行ってくるぞ」
「あぁ、油断するなよ」
ソフィアと変人兄《ビリー》が武舞台に上がる。
「ソフィアー! 頑張れよー!!」
ルーナの声が響いた。観客も大勢いるのによく声が通るものだな。ソフィアを手を振り返す。
「おーう! 決勝までは負けぬよ!!」
変人兄《ビリー》がソフィアに話しかける。
「やはり棄権する気はないのだね」
「真剣勝負こそ武人の誉れであろう? お主はそうではないのか?」
「ワタシは勝負が好きなんじゃない、勝つのが好きなのさ」
「そうか、それは残念じゃったな。では嫌いな方を味わうが良いぞ」
相手は剣を抜いて構えた。ソフィアは腰に手を当ててふんぞりかえっている。これは格下のモンスターと戦う時の構えでもある。
審判のコール待ちだ。
「あー、その前に確認します。双方、『護符』の使用はどうしますか?」
「ワタシはもちろん持っている」
「護符? とはなんじゃ?」
あ、ソフィアに言うの忘れてた。『身代わりの護符』というアイテムがあってこの大会では使用が許される。貴族もまあまあいるので大怪我や死亡しないように作られたペンダントのような魔道具の一種だ。
【身代わりの護符】 致命的なダメージを一度だけ装備者の代わりに肩代わりして砕ける。
この大会においては護符が砕けたら即敗北だ。致命的なダメージを受けたという事だからな。
「そんなものは不要じゃ」
「わかりました。では双方よろしいですね? はじめっ!!!」
ジャーーーン!!
審判のコールと共に銅鑼が鳴る。観客も大盛り上がりだ。
「では、こちらから行くぞっ!」
ビリーが間合いを詰めて鋭く突きを放つ。ビリーの剣は刺突剣に近い形状をしている。
ところがソフィアは全く動じることなく右手の平で突きを止めた。
「ふん、そのような魔力も纏わせてない突きでは我の柔肌にすら刺さらんぞ。遊んどらんでさっさと本気を出すんじゃな?」
「なっ!? ど、どうなっているんだ!? バケモノめ!」
ビリーは後ろに下がり一旦距離を取る。
「ではそのバケモノを性欲処理に使おうとしていたお主はド変態じゃな?」
「う、うるさい!! そこまで言うなら本気でやってやる!」
ビリーが魔力を剣に纏わせた。
「うむ‥‥‥そうじゃ。そうでなくてはわざわざこんな大会に出た意味がないからの‥‥‥、ハァァァッ!!!!」
ソフィアもようやくちゃんと構えて身体に魔力を纏わせた。
「さぁ‥‥‥存分にやろうではないか!」
「うらぁ!! 喰らいやがれっ!!」
ビリーがさらに鋭い突きを無数に放つ。いわゆる【乱れ突き】という技だろう。
しかしソフィアは最小限の動きで連続の突きを避ける。
「そうそう、こういうのを待っておったんじゃよ」
「ぐっ‥‥‥、いつまでも避け続けらると思うなぁぁぁ!!!?」
ビリーの連続突きのペースがさらに増えた。
ソフィアの二の腕、鱗で覆われてない部分を掠めて血が出る。
「くはは!! どうだ!?」
「なんじゃ、こんなかすり傷程度で嬉しいのかの? もうええか‥‥‥」
ソフィアが動きのギアを上げた。
「んなっ!? 奴め、どこに‥‥‥!?」
「後ろじゃ、阿呆」
背中を蹴られたビリーは吹き飛ばされて場外に落ちそうになる。
「あ、危なかった‥‥‥!」
「危ない? いや、お主の負けじゃろ? ほれ」
ソフィアが胸を指し示す。ビリーの胸元に注目が集まる。
ビリーの護符は砕けていた。
「第一試合! ソフィア選手の勝ち!!」
審判からの勝利宣言が下った。
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