転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯

文字の大きさ
50 / 171
王都学院 編

ダンジョン実習③

しおりを挟む

 実習ダンジョン5階。この階にはフロアボスしかいない。事前準備出来る敵の出ない部屋とボス部屋しかない。


「ここまで来たわね。ボスはミノタウロス、強敵よ。しっかり準備して行きましょ」
さすがシャル、俺はボスとか把握してなかった。

「じゃここで休憩してから挑もうよ」
「保存食出すね」

 クリフが保存食を出そうとして止める。
「待て、アレは美味くない。俺が美味いご飯出すよ」

 アイテムボックスから特別に女将に頼んで作ってもらった味噌カツ弁当を出す。こんな事もあろうかと事前に頼んでおいたのだ。
 三人とも固まる。おーい、どーしたー、戻ってこーい。

「ネロはもうなんでもアリね」
 そんな事ないよ、シャル。

「私は理解するの諦めたよ」
 なんて事言うの、マリア。

「僕はだんだん慣れて来たよ」
 ありがとう、クリフ。
 
 ボス部屋の手前で味噌カツ弁当を食べてみんなフル充電出来ただろう。よし、行こう!

 ボス部屋の扉を開ける。
「よくぞここまで来た。俺を倒せばダンジョン実習の単位をくれてやろう!」

 単位!なんと素敵なご褒美!

「ここまでの道のりは辛かっただろうが最後に待ち受ける俺が‥‥」

「ウォーターバレット」
「ぐはぁ‼︎ 」
 消えてしまった、よし、単位取得だ!

と、思ったらまた現れた、急に。

「おい、お前!まだ喋ってる途中でしょうが‼︎」
なんか怒ってる、とりあえず謝ろう。
「あ、すいません。単位と聞いて興奮してしまって」

「実習だから不意打ちはダメだ。ちゃんと話を聞いてからにしてくれ。コレも我の仕事なのだ」
「わかりました」

「では改めて。この実習は30回ある。優秀な者ほど早く単位が得られる。その条件が俺との戦闘だ。我に負けて飛ばされても評価は下がらないから安心しろ。我がやられても問題ないぞ。さっきの様に戻って来られるからな」
 なんか親切な説明だ。先生みたい。

「とりあえず説明は以上だ。何か質問は?」
 俺が手を挙げる。

「はーい、ミノ先生。先生に挑むのは何回でも可能ですか?」
「変な名前で呼ぶな。一日に一回だけだ。最大30回までになるな」

「よし、じゃあやりますか!」
 張り切って俺が言うとミノ先生が困った顔をしている。結構表情が読める物だ。牛なのに。

「お前は後だ、先にそこの三人とやる」
「えっ?俺もパーティーなんですけど?」

「お主は規格外過ぎる。三人とバランスが取れていない。お前達もそう思わんか?」
 そんな事みんなが思うわけないだろう。何を言っているんだ、この牛は。

振り返って見てみると、みんな顔を背ける。
「はい‥‥」
 ⁉︎  シャル⁉︎

「正直なところそうです」
 ⁉︎マリアも? 

「ネロは強過ぎます」
 ⁉︎  クリフ?お前もか?

「ほれ、見た事か。お主は強すぎるのだ、今までもずっとソロでやってきたのだろう。こやつらの成長が追いつくまで待つが良い。さて、三人と戦おうかの?」
 三人が陣形を組み直し構える。戦いが始まり‥‥‥。


 終わった、割とすぐに。
 まずミノ太にシャルの剣、マリアの槍は通用しなかった。迂闊に近づいたシャルもマリアもミノ太の振るった斧で一撃で転移させられた。
 詠唱していたクリフは魔法が間に合わずやはり一撃で転移させられた。

「さてお主は既に我を倒しておるので単位取得だ。我と戦う必要は無い。ほれ、この転移陣より帰るが良い」
「戦ってもいいのか?」

「いや、戦う必要はないと言っておろう」
「いや、やらせろよ。行くぞ」


 行くぞと言ったから不意打ちじゃないよな、八つ当たりさせてもらう。
「ま、待て‥‥」


「うおおお‼︎‼︎」
 ウォーターバレット、ウォーターレーザー、ハイドロボムを間隔を空けずにミノ太に叩き込んだ。やられては戻ってきてやられての繰り返し、ミノ太は泣いていたかも知れないが。

 泣きたいのはこちらだ、強制的にパーティーから脱退させやがって。

 MP①が尽きるまで繰り返した。MP②が残っていたので倒れはしなかった。トボトボと歩き転移陣に乗って帰った。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

【第2章完結】王位を捨てた元王子、冒険者として新たな人生を歩む

凪木桜
ファンタジー
かつて王国の次期国王候補と期待されながらも、自ら王位を捨てた元王子レオン。彼は自由を求め、名もなき冒険者として歩み始める。しかし、貴族社会で培った知識と騎士団で鍛えた剣技は、新たな世界で否応なく彼を際立たせる。ギルドでの成長、仲間との出会い、そして迫り来る王国の影——。過去と向き合いながらも、自らの道を切り開くレオンの冒険譚が今、幕を開ける!

【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜

naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。 しかし、誰も予想していなかった事があった。 「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」 すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。 「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」 ──と、思っていた時期がありましたわ。 orz これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。 おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!

処理中です...