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王都学院 編
ダンジョン実習③
しおりを挟む実習ダンジョン5階。この階にはフロアボスしかいない。事前準備出来る敵の出ない部屋とボス部屋しかない。
「ここまで来たわね。ボスはミノタウロス、強敵よ。しっかり準備して行きましょ」
さすがシャル、俺はボスとか把握してなかった。
「じゃここで休憩してから挑もうよ」
「保存食出すね」
クリフが保存食を出そうとして止める。
「待て、アレは美味くない。俺が美味いご飯出すよ」
アイテムボックスから特別に女将に頼んで作ってもらった味噌カツ弁当を出す。こんな事もあろうかと事前に頼んでおいたのだ。
三人とも固まる。おーい、どーしたー、戻ってこーい。
「ネロはもうなんでもアリね」
そんな事ないよ、シャル。
「私は理解するの諦めたよ」
なんて事言うの、マリア。
「僕はだんだん慣れて来たよ」
ありがとう、クリフ。
ボス部屋の手前で味噌カツ弁当を食べてみんなフル充電出来ただろう。よし、行こう!
ボス部屋の扉を開ける。
「よくぞここまで来た。俺を倒せばダンジョン実習の単位をくれてやろう!」
単位!なんと素敵なご褒美!
「ここまでの道のりは辛かっただろうが最後に待ち受ける俺が‥‥」
「ウォーターバレット」
「ぐはぁ‼︎ 」
消えてしまった、よし、単位取得だ!
と、思ったらまた現れた、急に。
「おい、お前!まだ喋ってる途中でしょうが‼︎」
なんか怒ってる、とりあえず謝ろう。
「あ、すいません。単位と聞いて興奮してしまって」
「実習だから不意打ちはダメだ。ちゃんと話を聞いてからにしてくれ。コレも我の仕事なのだ」
「わかりました」
「では改めて。この実習は30回ある。優秀な者ほど早く単位が得られる。その条件が俺との戦闘だ。我に負けて飛ばされても評価は下がらないから安心しろ。我がやられても問題ないぞ。さっきの様に戻って来られるからな」
なんか親切な説明だ。先生みたい。
「とりあえず説明は以上だ。何か質問は?」
俺が手を挙げる。
「はーい、ミノ先生。先生に挑むのは何回でも可能ですか?」
「変な名前で呼ぶな。一日に一回だけだ。最大30回までになるな」
「よし、じゃあやりますか!」
張り切って俺が言うとミノ先生が困った顔をしている。結構表情が読める物だ。牛なのに。
「お前は後だ、先にそこの三人とやる」
「えっ?俺もパーティーなんですけど?」
「お主は規格外過ぎる。三人とバランスが取れていない。お前達もそう思わんか?」
そんな事みんなが思うわけないだろう。何を言っているんだ、この牛は。
振り返って見てみると、みんな顔を背ける。
「はい‥‥」
⁉︎ シャル⁉︎
「正直なところそうです」
⁉︎マリアも?
「ネロは強過ぎます」
⁉︎ クリフ?お前もか?
「ほれ、見た事か。お主は強すぎるのだ、今までもずっとソロでやってきたのだろう。こやつらの成長が追いつくまで待つが良い。さて、三人と戦おうかの?」
三人が陣形を組み直し構える。戦いが始まり‥‥‥。
終わった、割とすぐに。
まずミノ太にシャルの剣、マリアの槍は通用しなかった。迂闊に近づいたシャルもマリアもミノ太の振るった斧で一撃で転移させられた。
詠唱していたクリフは魔法が間に合わずやはり一撃で転移させられた。
「さてお主は既に我を倒しておるので単位取得だ。我と戦う必要は無い。ほれ、この転移陣より帰るが良い」
「戦ってもいいのか?」
「いや、戦う必要はないと言っておろう」
「いや、やらせろよ。行くぞ」
行くぞと言ったから不意打ちじゃないよな、八つ当たりさせてもらう。
「ま、待て‥‥」
「うおおお‼︎‼︎」
ウォーターバレット、ウォーターレーザー、ハイドロボムを間隔を空けずにミノ太に叩き込んだ。やられては戻ってきてやられての繰り返し、ミノ太は泣いていたかも知れないが。
泣きたいのはこちらだ、強制的にパーティーから脱退させやがって。
MP①が尽きるまで繰り返した。MP②が残っていたので倒れはしなかった。トボトボと歩き転移陣に乗って帰った。
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