56 / 171
王都学院 編
ダンジョン③
しおりを挟むローズとサラと親しくなれたのはパーティー的には良い事だろう。ただ気が緩んでしまうのはよろしくない。
サラのマッピングと警戒のお陰で罠にもかかることもなく順調に進んで来られた。
10階のボスフロアに着いた。通常のダンジョンはフロアボスが10階毎になるそうだ。実習と同様に、手前の部屋で休んでから挑もう。
「なぁ旦那、休憩ならアレやってくれよ」
「休憩だからな、『ポーションミスト』」
「きもちいいニャ~」
「うごきたくなくなってくるぜ~」
二人とも撫でられた猫の様にリラックスモードだ。まぁ猫獣人だしな。試しに少し撫でてみた。
「だめニャ、ネロにはすこしはやいニャ、もうすこししたらおねえさんがおしえてあげるニャ」
お前は何を言っているんだ、何の話だ。
とりあえず休憩時間だからしっかりと休まねば。猫達はほっとこう。
ポーションミスト内に大きめにウォータークッションを敷いて横になる。ポーション作成もミストへの変換もほぼ無意識で出来るようになっている。
寝てしまっても問題ないかも‥‥‥ZZZ
と、本当に寝てしまった、猫達も寝ている。起こさなきゃ。揺さぶる。
「そこはだめニャ、ネロ。かんじちゃうニャ」
「だんな~、そっちのあなじゃないよ?」
二人とも何の夢を見ているんだ。全く!
「起きろ‼︎」
「「ニャ!」」
「安全地帯とはいえ寛ぎ過ぎじゃないか?」
「ネロのアレが悪いニャ」
「おっ!じゃ、あちしが独占だな。旦那、ローズにはもうやらないでいいぜ」
「そんな事言ってないニャ!」
大騒ぎだ、収集がつかない。
「もう、行くぞ」
「待ってニャ」
「旦那~」
さて今日はボスを倒せたら帰ろうか。10階毎にいるボスを倒せれば次回はそこから入場出来るらしい。よし、じゃあボスに挑もうか。
念のために杖とマントも装備しよう、ボスだからな。ローズもサラも経験があるらしいが、ここのボスはキマイラらしい。
顔が三つ、獅子と鷲と狼だ。身体は象、尻尾は蛇、翼まで有る。そんな混ぜこぜ面白動物がボスらしい。
扉を半開きにしてオプション投入、視覚を共有するとまぁよく見える。経験者の二人に聞いてみる、また戦ってみたいか?と。
即、否定された。出来たらもう関わりたくない、でもネロが挑もうとしているから、とそこまで聞いて。
「ローズ、サラ、任せとけ。俺がやる。何かあればフォローしてくれ」
二つのオプションから一方的に砲撃、ウォーターバレット、レーザーを乱発する。とりあえず当たれば効くだろう。オプションはノーダメージ、俺が消そうと思わなければ消えることもない。
つまり現状は安全地帯からの一方的な攻撃、キマイラからすれば攻撃してくる丸い玉に反撃しても何も起こらない。ひたすら攻撃されるだけ。
完全に閉まっていない扉の先の存在に気付いて反撃出来れば、この状況は改善出来たのであろうが。
反応が無くなったので扉を全開放して入って確認する、まだキマイラはかろうじて生きていた。デカイ、怖い。三つの頭の眉間を撃ち抜く。キマイラの巨体がキラキラ消滅して大きめの魔石が残る。
「よし、倒したぞ」
「いや、ウチら何もしてないニャ」
「あちき達、半開きの扉のところにいただけじゃんか」
「いや、魔法に集中出来たのはローズ、サラ、二人のお陰だよ」
「なんかよくわからニャいけど」
「旦那がそう言うならいいか」
二人は納得してくれた。
「じゃ、今日はこれで帰ろう。時間も遅いし」
ボス部屋の後方の転移陣に乗り、ダンジョン前に戻った。
「じゃ、解散だな。ローズまたよろしく頼む、サラ、また良かったら組んでくれ。じゃあな」
5
あなたにおすすめの小説
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる