転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯

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第二部 家庭編

タクラマ村の受難と救いの神

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 ここは美しい水の村、タクラマ。
 私は村長のビーノ。
 このところ村の泉が涸れてしまった。
原因がわからなかった。先日までは。

 モンスターだ。サンドワーム。
 本来なら砂漠にいる巨大ミミズだ。
 サンドワームは地表の水分を乾かしてしまう。
 池や川、泉なども枯らしてしまう。
 何故この村の近くに現れたのか?

 サンドワームの穴を見つけたのは村の自警団。撃退までは、残念ながら力量不足だ。

 討伐するべく冒険者を雇うか?
 冒険者を雇える程この村は裕福ではない。

 村をみんなで離れるか?
 この村を離れて何処に行こうと言うのか?

 村民による答えの出ない議論が、毎日毎夜繰り返される。
 このまま滅ぼされてしまうのか?

 先程一人、旅人が訪れた。
 貧相な体格に、珍しい黒目と黒髪。
 物乞いにしては服は上等だったが。

 まぁ、そんな事はどうでもいい。
 今この村では他人に水をあげる余裕すらないのだ。

 そうこうしている間に、サンドワームが地面に穴を開けて現れた! 
 しかも村の真ん中に!

 コイツは雨が弱点なのだ。
 だから水辺を減らす行動に出るのだ。
 砂漠などに多く生息し、水の豊富な場所には存在しないはずなのに‥‥‥。
 何故この村に?

 サンドワームは人を見つけると襲ってくる。 
 人の肉が大好物なのだ。巨大な口を開けてどれにしようか、品定めでもしているのか?


 ところが、先程まで雲一つなかった空が、急激に雨雲に包まれた。
 サンドワームは慌て出す。
 雨の気配を感じたのだろう。

 程なく大豪雨になった。
 激しく叩きつけるような雨が痛く感じる。
 途端に苦しみ出すサンドワーム。
 しばらく降った大雨で虫の息だった。
これならば自警団でもトドメを刺せる。

 討ち取った。
 村民の大歓声‥‥‥。
 経験のない大雨で涸れていた泉も元に戻っていた。

 もしや先程の青年が‥‥‥?

 気になった私は青年の進んだ方向に向かって走り出した。しばらく走ったところで遠くに彼を見つける。

 一言、話を聞きたい。
 もしそうなら御礼を。
 村を上げて歓迎しても足りないくらいだ。

 声を掛けて呼び止めようとした刹那、青年の足元に雲が集まり、青年を乗せて虹のかかった空へ昇っていった。

 ああ、間違いない。
 彼こそは救いの神だ。
 この話を後世まで伝えよう。
 この村を救ってくれた青年の姿で現れた救いの神の話を‥‥‥。

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