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第二部 家庭編
チーナ帝国の世界樹
しおりを挟む隣国のチーナ帝国領に世界樹はあるらしい。
ただエルフの魔法により結界が張ってあり、一般人では目にすることが出来ない。だから認識はされていないと言う。
「アタシはあそこ行きたくないから、魔術ギルドのギルドマスターに連れて行ってもらって。手紙は書いてあげたわ。はいっ!」
「ありがとうございます。行ってきます!」
日程的に順調に行けば10日くらいだろうか?
家族に出かける旨を伝え、一番近い領までミストドアで移動した。
まぁ、夜はミストドアで帰ってくるいつもの旅なんだけどさ。
そこから船に乗って移動。
定期船は出ているが、それだと何日もかかってしまうので、小型の船を借りた。
「こんな小舟で行くのかや?」
今回のお供は九尾の狐、妖狐の「ヨウコちゃん」だ。
名前をつけたら小さくなった。そして以前の支配欲はすっかり消えたみたいだ。言葉遣いは古い感じだけど通じるから問題ない。
九本ある尻尾も普段は太い一本にまとめている。シャルにもふもふされていつもへにゃーっとしてる。
「まぁ見てろ。俺じゃなきゃ出来ないけどな」
小舟に乗って周りの水を動かすと進む。ここで重要なのは、コンパスと地図で正確に方角を示す事だ。迷ったら全然違う方に行ってしまうからな。
ゆっくり進んでいたけど、方向が定まったのでスピードアップ。水魔法で舟前方の水の抵抗をゼロに。後ろからの水の推進力を上げる。
と凄まじい事になった。まるでジェットコースターだ。
「速い! 速すぎる! 降ろしてくりゃれ! ネロ様!!」
ヨウコちゃんが大騒ぎだ。
まぁまぁ、いいじゃないか。
対岸に無事着いた。
「何故ゆえ‥‥‥かような事を‥‥‥」
「早く着きたいじゃない?」
「着いてから召喚してくれれば、良いではないか! かように恐ろしきものに何故、妾を乗せるのじゃ⁉︎」
「あ、それはそうだったな。すまん」
「ネロ様のアホ! 人でなし!」
(まぁ、水神だから人では無いけどなぁ‥‥‥)
入国審査とかはあるにはあるが、Sランク冒険者は手続き不要らしい。面倒なので密入国した。あんまり帝国自体には用がないからな。
こっそり世界樹の実を取って、さっさと帰ろう。
魔術ギルドのある街の方向へ歩いて進む。ヨウコちゃんは一旦帰って休むって言うので、帰らせた。小舟で海横断はしんどかったよな。
しばらく歩いて、どこかの村に着く。なんか雰囲気がピリピリしてる気がする。少し休憩して、すぐに出発した。
しかし、乾燥してるなぁ。肌がカサつくよ。
農作物も水が欲しそうだ。地面も乾燥してひび割れてる。
ちょっと雨を降らせてあげよう。
スコール!
おお、いい感じだ。お湿りさん欲しいよね。
さっきの村から歓声が聞こえる。
良かった。でも目立つとまずい。移動しよう。
更に歩いていたら唐突に思いついた!
歩かなくても良いじゃん!
雲を作る。乗れる様に。
はい、イメージは完全にアレです。
金か?筋か? そこはどうでもいいか。
雲は水分だから意のままに動かせる。
スピードは100キロくらいかな?
上手く行けば、早く着くぞ!
でも目立つから都の近くではやめた方がいいな。
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(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
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