53 / 90
第3章
19 王都の外へ!
しおりを挟む
王都の門を抜けるには、許可証が必要である。
門の外に捨てられている魔石の素材、くず石の回収はフランに頼んでいたし、王都の外へ行く時は、いつもリアムが一緒だった。
私は宮廷魔術師長の同行者として扱われ、簡単に出ることができたけど、今回は違う。
許可証を申請し、しばらく待つ。
「サーラ様。申し訳ありません。許可は出せません」
警備兵をとりまとめる兵長が現れ、私に許可できないと告げた。
――やっぱり無理でしたか。
「元妃であるサーラ様は、王宮の許可、もしくはルーカス様が許可された時のみ、門から外へ出ることができます。それに、サーラ様が書かれた理由もちょっと……」
理由には竜の騒ぎをおさめるためと書いた。
それも認められない理由のひとつだったらしく、兵長は難しい顔で書類を眺める。
「竜への対応は宮廷魔術師長、宮廷魔道具長がなさってます。サーラ様が行ったところで、なんの役にも立ちません」
邪魔だから行くなという空気が伝わってくる。
警備兵たちは私が強行突破できないように、フランが借りてきた馬車を囲んで、門から出るのを阻む。
「お願いします。竜が騒いでいる原因は、竜の卵が盗まれたからなんです」
「なぜそれをご存じなのですか?」
「竜と話したからです」
兵長は呆れた顔で、私を見る。
「サーラ様。竜をご覧になりたいから、そんなことをおっしゃっているのでしょう」
「違います! 信じてください。竜族が攻めてくるまで、三日だけ猶予をもらいました。三日後の夜明けまでに、卵がどこにあるか探さないといけないんです」
警備兵たちが声をひそめ、話し合うのが聞こえてきた。
「サーラ様は本当に竜と話したのだろうか?」
「そもそも竜と話せる人間などいないだろう。リアム様でさえ、少しわかる程度だというしな」
「リアム様かセアン様がおっしゃるならわかるが、サーラ様は王都の外へ遊びに行きたいだけではないか?」
宮廷魔道具師になったとはいえ、天才と呼ばれる二人と私では、天と地ほどの差があるらしい。
誰も私の言葉を信用してくれず、このままでは、今日一日が門の前で終わってしまう。
「サーラ。こうなったら、警備兵の目を盗んで、門を越えるしかないよ」
フランがそう言ったけど、見つかって捕まったら、厳しく罰せられる。
もし、私が捕まったら王宮へ連れ戻され、一生幽閉。
そして、フランも国外に追放され、私の店も工房も奪われる。
――リスクが大きすぎます。
けれど、このままでは竜族が大暴れして、ヴィフレア王国全土が火の海になるだろう。
――それを考えたら、捕まるのを覚悟して抜け出すしかない?
そう思っていると、馬車の音が聞こえ、警備兵たちが慌てて整列する。
馬車には王家の紋章があり、その馬車に乗っていたのは――
「やあ、サーラ。もめてるね」
笑顔を浮かべたルーカス様が現れた。
よりにもよって、こんな時にルーカス様が現れるなんて、最悪の状況である。
「どうして、ルーカス様がここに?」
「君が外へ行くと近衛騎士団から聞いたからだよ」
ラーシュを護衛する近衛騎士団は、王宮に所属しており、彼らが慌ただしくしているのを見て、ルーカス様が気づいたのだろう。
「詳細は報告されてないから知らないけれど、竜族とのもめ事を解決しに行くんだって?」
ヴィフレア王国の危機だというのに、ルーカス様は他人事のようだった。
でも、もめ事をどうにかしたいというのは、間違いではないから、私はうなずいた。
「そのとおりです。門を通る許可をいただけませんか?」
「うーん。そうだなー」
私になにか条件を出そうというのか、ルーカス様はもったいぶった態度をとる。
「ルーカス様。サーラ元妃は本当に竜語を理解され、話されていたのでしょうか?」
門を通してくれなかった兵長は、私の理由が正当なものであるかどうか、ルーカス様に確認する。
王立魔法学院で落ちこぼれだった過去を知っているルーカス様は、話せないと思っているようで笑っていた。
「サーラは身振り手振りでわかったんじゃないかな? 獣とは相性がいいみたいだしね」
ルーカス様はフランを見て、くすりと笑う。
でも、フランは魔石付きの双剣を持ち、フレアリザードの革の手袋とジャケット、ブーツ。
身長も伸び、体つきもしっかりし、剣の腕は騎士団長テオドール仕込み。
立派な剣士にしか見えない。
ルーカス様が馬鹿にできたのは、そこまでだった。
フランは私の隣に控え、ルーカス様を近づけさせない。
「でも、サーラ。君は僕の元妃で、いずれは王宮に戻ってもらいたいと思っている。そろそろ令嬢らしくしてもらわないと困るな」
ルーカス様は私を王都どころか、王宮の外に出す気すらないのだとわかった。
このままでは、王都の外へ出られない。
なんとかルーカス様に、この危機的状況をわかってもらうしかなかった。
「ルーカス様。誰が竜の卵を盗んだか、すでにおわかりのはず。竜が飛来すれば、いくら魔術師が大勢いようと、王都も無事では済みません」
「六百年前の竜との戦いが再現されるということか」
ルーカス様はまったく驚いていなかった。
王都の危機なのに、なぜ笑えるのか、私には理解できない。
「今の父上が竜と戦えば、きっと死ぬだろうね」
その声が、あまりに冷たくてゾッとした。
「ルーカス様。争いが起きれば多くの人が傷つき、竜族との仲はますます悪くなるだけです。でも、今ならまだ間に合います」
「僕がサーラに協力するメリットはない。そうだ。君が王宮に戻ったら……」
「いい加減にしてください!」
その場にいた警備兵と王宮の御者、ルーカス様は驚き、怒鳴った私を見た。
「私は戦いを起こさないために、王都の外へ行くんです」
ルーカス様がなにを望んでいるのかわからない。
でも、ふざけている場合ではないことだけはたしかだ。
「私に無条件で許可をください」
「君は怒ると怖いな。それも無条件でか……」
ルーカス様は苦笑した。
「いいよ。許可する」
「え?」
一瞬、聞き間違えかと思った。
「どうして驚くのかな? 王都へ戻らないわけじゃないだろう?」
「それはそうですけど……」
まさかルーカス様が、あっさり許可するとは思っていなかった。
それは私だけではなく、警備兵たちも同じで、ざわめいていた。
「僕が乗ってきた馬車を使えばいい。王家の紋章が入った馬車なら、どこでも通れる」
「ルーカス様……」
――ルーカス様が私に協力する日が来るなんて。
やっぱり、いろいろあってもヴィフレア王国の第一王子。
危機感がないように見えたのは、私の気のせいだったのだとわかり、反省した。
「ほら、サーラ。手を出して? 馬車にのせてあげるよ」
「あ、ありがとうございます……」
ルーカス様は私に手を貸し、馬車に乗せる。
そして、私はフランの手を引く。
フランを馬車に乗せるのを見た兵長は、私を激しく非難した。
「サーラ元妃! 獣人を王家の馬車に乗せるのですか!?」
「フランは私の大事な仲間です。それに心強い護衛でもあります。フラン以上に私を竜から守ろうという気持ちが、あなたたちにありますか?」
警備兵たちは反論できず、黙り込んだ。
「私はフランを頼りにしてます」
私の隣でフランは泣きそうな顔をしているのに気づき、微笑んだ。
「フラン。危険なのに、私についてきてくれてありがとうございます」
「おれが一緒に行くのは当たり前だよ。サーラはおれが絶対守るから!」
一番文句を言いそうなルーカス様は、私たちのやり取りを聞いていたからか、フランが馬車に乗ることを咎めなかった。
「サーラに護衛は必要だ。急ぐんだろう?」
「はい!」
ルーカス様は馬車のドアを閉めると、御者に出発の合図を送る。
馬車の窓から、ルーカス様に頭を下げると、笑顔で手を振って見送ってくれた。
――四大公爵家を重視するルーカス様だけど、フォルシアン公爵を止めたいという気持ちはあるみたいですね。
ここに来たということは、騎士団から竜の一件について説明されているはずだった。
馬車が動き出したけれど、まだ窓は開いたままで、車輪の音に混じり、聞こえてきたのは、ルーカス様のつぶやく声だった。
「サーラが王都いるとなにをするかわからないからね。ちょうどよかったよ」
――ちょうどよかった?
許可をくれたルーカス様。
でも、その言い方だと、まるで私が邪魔だから、いないほうがいいと言っているように聞こえた。
「サーラ? なんか忘れ物?」
「いいえ……。大丈夫です。忘れ物はないですよ」
後ろを振り返った私をおかしく思ったのか、フランは同じように遠ざかる王都の門を眺めた。
いつもと同じ風景が広がり、王都は平和そのもの。
――それなのに、どうしてこんな不安になるんでしょうか。
私は竜のことで頭がいっぱいなはずなのに、胸がざわつき、落ち着かなかった。
門の外に捨てられている魔石の素材、くず石の回収はフランに頼んでいたし、王都の外へ行く時は、いつもリアムが一緒だった。
私は宮廷魔術師長の同行者として扱われ、簡単に出ることができたけど、今回は違う。
許可証を申請し、しばらく待つ。
「サーラ様。申し訳ありません。許可は出せません」
警備兵をとりまとめる兵長が現れ、私に許可できないと告げた。
――やっぱり無理でしたか。
「元妃であるサーラ様は、王宮の許可、もしくはルーカス様が許可された時のみ、門から外へ出ることができます。それに、サーラ様が書かれた理由もちょっと……」
理由には竜の騒ぎをおさめるためと書いた。
それも認められない理由のひとつだったらしく、兵長は難しい顔で書類を眺める。
「竜への対応は宮廷魔術師長、宮廷魔道具長がなさってます。サーラ様が行ったところで、なんの役にも立ちません」
邪魔だから行くなという空気が伝わってくる。
警備兵たちは私が強行突破できないように、フランが借りてきた馬車を囲んで、門から出るのを阻む。
「お願いします。竜が騒いでいる原因は、竜の卵が盗まれたからなんです」
「なぜそれをご存じなのですか?」
「竜と話したからです」
兵長は呆れた顔で、私を見る。
「サーラ様。竜をご覧になりたいから、そんなことをおっしゃっているのでしょう」
「違います! 信じてください。竜族が攻めてくるまで、三日だけ猶予をもらいました。三日後の夜明けまでに、卵がどこにあるか探さないといけないんです」
警備兵たちが声をひそめ、話し合うのが聞こえてきた。
「サーラ様は本当に竜と話したのだろうか?」
「そもそも竜と話せる人間などいないだろう。リアム様でさえ、少しわかる程度だというしな」
「リアム様かセアン様がおっしゃるならわかるが、サーラ様は王都の外へ遊びに行きたいだけではないか?」
宮廷魔道具師になったとはいえ、天才と呼ばれる二人と私では、天と地ほどの差があるらしい。
誰も私の言葉を信用してくれず、このままでは、今日一日が門の前で終わってしまう。
「サーラ。こうなったら、警備兵の目を盗んで、門を越えるしかないよ」
フランがそう言ったけど、見つかって捕まったら、厳しく罰せられる。
もし、私が捕まったら王宮へ連れ戻され、一生幽閉。
そして、フランも国外に追放され、私の店も工房も奪われる。
――リスクが大きすぎます。
けれど、このままでは竜族が大暴れして、ヴィフレア王国全土が火の海になるだろう。
――それを考えたら、捕まるのを覚悟して抜け出すしかない?
そう思っていると、馬車の音が聞こえ、警備兵たちが慌てて整列する。
馬車には王家の紋章があり、その馬車に乗っていたのは――
「やあ、サーラ。もめてるね」
笑顔を浮かべたルーカス様が現れた。
よりにもよって、こんな時にルーカス様が現れるなんて、最悪の状況である。
「どうして、ルーカス様がここに?」
「君が外へ行くと近衛騎士団から聞いたからだよ」
ラーシュを護衛する近衛騎士団は、王宮に所属しており、彼らが慌ただしくしているのを見て、ルーカス様が気づいたのだろう。
「詳細は報告されてないから知らないけれど、竜族とのもめ事を解決しに行くんだって?」
ヴィフレア王国の危機だというのに、ルーカス様は他人事のようだった。
でも、もめ事をどうにかしたいというのは、間違いではないから、私はうなずいた。
「そのとおりです。門を通る許可をいただけませんか?」
「うーん。そうだなー」
私になにか条件を出そうというのか、ルーカス様はもったいぶった態度をとる。
「ルーカス様。サーラ元妃は本当に竜語を理解され、話されていたのでしょうか?」
門を通してくれなかった兵長は、私の理由が正当なものであるかどうか、ルーカス様に確認する。
王立魔法学院で落ちこぼれだった過去を知っているルーカス様は、話せないと思っているようで笑っていた。
「サーラは身振り手振りでわかったんじゃないかな? 獣とは相性がいいみたいだしね」
ルーカス様はフランを見て、くすりと笑う。
でも、フランは魔石付きの双剣を持ち、フレアリザードの革の手袋とジャケット、ブーツ。
身長も伸び、体つきもしっかりし、剣の腕は騎士団長テオドール仕込み。
立派な剣士にしか見えない。
ルーカス様が馬鹿にできたのは、そこまでだった。
フランは私の隣に控え、ルーカス様を近づけさせない。
「でも、サーラ。君は僕の元妃で、いずれは王宮に戻ってもらいたいと思っている。そろそろ令嬢らしくしてもらわないと困るな」
ルーカス様は私を王都どころか、王宮の外に出す気すらないのだとわかった。
このままでは、王都の外へ出られない。
なんとかルーカス様に、この危機的状況をわかってもらうしかなかった。
「ルーカス様。誰が竜の卵を盗んだか、すでにおわかりのはず。竜が飛来すれば、いくら魔術師が大勢いようと、王都も無事では済みません」
「六百年前の竜との戦いが再現されるということか」
ルーカス様はまったく驚いていなかった。
王都の危機なのに、なぜ笑えるのか、私には理解できない。
「今の父上が竜と戦えば、きっと死ぬだろうね」
その声が、あまりに冷たくてゾッとした。
「ルーカス様。争いが起きれば多くの人が傷つき、竜族との仲はますます悪くなるだけです。でも、今ならまだ間に合います」
「僕がサーラに協力するメリットはない。そうだ。君が王宮に戻ったら……」
「いい加減にしてください!」
その場にいた警備兵と王宮の御者、ルーカス様は驚き、怒鳴った私を見た。
「私は戦いを起こさないために、王都の外へ行くんです」
ルーカス様がなにを望んでいるのかわからない。
でも、ふざけている場合ではないことだけはたしかだ。
「私に無条件で許可をください」
「君は怒ると怖いな。それも無条件でか……」
ルーカス様は苦笑した。
「いいよ。許可する」
「え?」
一瞬、聞き間違えかと思った。
「どうして驚くのかな? 王都へ戻らないわけじゃないだろう?」
「それはそうですけど……」
まさかルーカス様が、あっさり許可するとは思っていなかった。
それは私だけではなく、警備兵たちも同じで、ざわめいていた。
「僕が乗ってきた馬車を使えばいい。王家の紋章が入った馬車なら、どこでも通れる」
「ルーカス様……」
――ルーカス様が私に協力する日が来るなんて。
やっぱり、いろいろあってもヴィフレア王国の第一王子。
危機感がないように見えたのは、私の気のせいだったのだとわかり、反省した。
「ほら、サーラ。手を出して? 馬車にのせてあげるよ」
「あ、ありがとうございます……」
ルーカス様は私に手を貸し、馬車に乗せる。
そして、私はフランの手を引く。
フランを馬車に乗せるのを見た兵長は、私を激しく非難した。
「サーラ元妃! 獣人を王家の馬車に乗せるのですか!?」
「フランは私の大事な仲間です。それに心強い護衛でもあります。フラン以上に私を竜から守ろうという気持ちが、あなたたちにありますか?」
警備兵たちは反論できず、黙り込んだ。
「私はフランを頼りにしてます」
私の隣でフランは泣きそうな顔をしているのに気づき、微笑んだ。
「フラン。危険なのに、私についてきてくれてありがとうございます」
「おれが一緒に行くのは当たり前だよ。サーラはおれが絶対守るから!」
一番文句を言いそうなルーカス様は、私たちのやり取りを聞いていたからか、フランが馬車に乗ることを咎めなかった。
「サーラに護衛は必要だ。急ぐんだろう?」
「はい!」
ルーカス様は馬車のドアを閉めると、御者に出発の合図を送る。
馬車の窓から、ルーカス様に頭を下げると、笑顔で手を振って見送ってくれた。
――四大公爵家を重視するルーカス様だけど、フォルシアン公爵を止めたいという気持ちはあるみたいですね。
ここに来たということは、騎士団から竜の一件について説明されているはずだった。
馬車が動き出したけれど、まだ窓は開いたままで、車輪の音に混じり、聞こえてきたのは、ルーカス様のつぶやく声だった。
「サーラが王都いるとなにをするかわからないからね。ちょうどよかったよ」
――ちょうどよかった?
許可をくれたルーカス様。
でも、その言い方だと、まるで私が邪魔だから、いないほうがいいと言っているように聞こえた。
「サーラ? なんか忘れ物?」
「いいえ……。大丈夫です。忘れ物はないですよ」
後ろを振り返った私をおかしく思ったのか、フランは同じように遠ざかる王都の門を眺めた。
いつもと同じ風景が広がり、王都は平和そのもの。
――それなのに、どうしてこんな不安になるんでしょうか。
私は竜のことで頭がいっぱいなはずなのに、胸がざわつき、落ち着かなかった。
284
あなたにおすすめの小説
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
死んだ王妃は二度目の人生を楽しみます お飾りの王妃は必要ないのでしょう?
なか
恋愛
「お飾りの王妃らしく、邪魔にならぬようにしておけ」
かつて、愛を誓い合ったこの国の王。アドルフ・グラナートから言われた言葉。
『お飾りの王妃』
彼に振り向いてもらうため、
政務の全てうけおっていた私––カーティアに付けられた烙印だ。
アドルフは側妃を寵愛しており、最早見向きもされなくなった私は使用人達にさえ冷遇された扱いを受けた。
そして二十五の歳。
病気を患ったが、医者にも診てもらえず看病もない。
苦しむ死の間際、私の死をアドルフが望んでいる事を知り、人生に絶望して孤独な死を迎えた。
しかし、私は二十二の歳に記憶を保ったまま戻った。
何故か手に入れた二度目の人生、もはやアドルフに尽くすつもりなどあるはずもない。
だから私は、後悔ない程に自由に生きていく。
もう二度と、誰かのために捧げる人生も……利用される人生もごめんだ。
自由に、好き勝手に……私は生きていきます。
戻ってこいと何度も言ってきますけど、戻る気はありませんから。
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
貴方達から離れたら思った以上に幸せです!
なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」
信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。
私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。
「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」
「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」
「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」
妹と両親が、好き勝手に私を責める。
昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。
まるで、妹の召使のような半生だった。
ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。
彼を愛して、支え続けてきたのに……
「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」
夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。
もう、いいです。
「それなら、私が出て行きます」
……
「「「……え?」」」
予想をしていなかったのか、皆が固まっている。
でも、もう私の考えは変わらない。
撤回はしない、決意は固めた。
私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。
だから皆さん、もう関わらないでくださいね。
◇◇◇◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。