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第4章
40 autumn wedding ~都久山~
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都久山の木々が、鮮やかな赤や黄色に染まる頃――
私と玲我さんの結婚式が都久山のガーデンチャペルで執り行われることになった。
ガーデンチャペルがある都久山の公園は、有近と鷹沢が土地とお金を出し合って作られたもので、現在は都久山で管理されている。
明治の頃、各地で公園が作られたのを見た有近と鷹沢は、都久山の人々の憩いの場として、公園を作ったのだとか。
当時珍しかった西洋風の結婚式を挙げたいという要望があり、ガーデンチャペルを備え、一時はとても人気があったらしい。
ガゼボやアーチは結婚式の日までに使えるよう有近家が修繕し、ふたたび美しい姿を取り戻した。
「秋晴れのいい日ですこと。ねぇ、皆さん。昔を思い出すわね。西洋風の結婚式に憧れていたから、白いウェディングドレスを着た時、とても嬉しかったのを今も覚えてるわ」
「ええ、わたくしも覚えてますよ。わたくしの結婚式の日の料理は、初代の小椋さんが大変苦労して材料を集めてくださってね。物のない時期だったのに、小椋さんが工夫して作った西洋風の料理を見た時は涙が出ましたよ……」
「ここをよくご存知な『オグラ』の夕愛さんだからこそ、この場所を選んだのでしょう。玲我さんは本当に素敵な奥様を迎えたわ」
都久山で結婚式を挙げることを提案したのは、どなたでも参加しやすいようにと思ったからだった。
お年を召した大奥様と呼ばれるような方たちは、億劫になってきたからか人付き合いを控えつつあった。
でも、大奥様と呼ばれる年代の方々は、私が幼い頃から『オグラ』へ通ってくださっていた常連さんである。
――花嫁姿を見ていただきたい。
玲我さんは私の想いを聞いて賛成してくれて、小椋の家も『都久山の皆さんへの挨拶代わりになる』と了承してもらえた。
公園からの眺めも良く、気持ちのいい風が吹き抜けていく――都久山での結婚式を見るために、大勢の人が公園に集まった。
料理はすべて『オグラ』の料理で、出来立てを坂の下から運んでくる。
給仕は『オグラ』と同じく、都久山の坂の下でレストランを開いている店から、ソムリエやギャルソンが派遣され、店名の入った名札をそれぞれつけた。
名札が店の宣伝代わりになる。
「今日は店の顔として参加させていただいております」
「他店に負けられません!」
なにかの大会みたいになっていた。
「お客様をもてなすための結婚式ですね。夕愛さん、本当に素敵です!」
笑茉ちゃんがウェディングドレスを着た私のそばまでやってきて、声を弾ませた。
「料理もすごく好評で、とてもいいお式だって招待客の方々がおっしゃってましたよ!」
「本当? 笑茉ちゃんも今日はありがとう」
今日の笑茉ちゃんは『オグラ』の制服で参加し、この盛大なガーデンパーティーを手伝ってくれている。
「いいえ。夕愛さんの結婚式を手伝えて嬉しいです。それに、みんなが『オグラ』の料理を食べて、楽しそうに笑っている顔を見るのは、なんだかいいなって思いました」
ちらりと笑茉ちゃんは玲我さんのほうを横目で見て、耳元でささやいた。
「完全に王子様ですね」
白いタキシード姿の玲我さんは、まさに王子様。
さっきから老若男女を虜にしている。
そう――イケメン好きな光華も。
「玲我さんの写真を撮りたーい! 『オグラ』でも売れそう!」
「光華……。『オグラ』で売っているのは、食べ物で写真じゃないのよ……」
「わかってるけど、それくらい素敵だって言いたかったの!」
話を聞いていた笑茉ちゃんは呆れた顔をしていた。
「光華さん。サボっていたら、また五十住さんに叱られますよ」
すっかり光華のお目付け役のポジションが定着した五十住さんは、白いコックコートを着て、都久山の奥様たちに料理の説明をしていた。
「本日は秋らしさを出すために、木の実の料理を多く用意しております」
「そうだったのね。焼き菓子になにが入っているのかしらって言っていたのよ」
「この松ぼっくりをイメージしたお菓子も可愛いわ。葉の部分はクッキー生地にチョコレートをコーティングしてあるけれど、甘すぎなくて、少しビターなかんじがいいわ」
「チョコレートはカカオを多めに含むものを使用し、メインのナッツが映えるよう配分を調整しております」
都久山の奥様たちは舌や目が肥えているだけあって、微妙な味の違いにも敏感だ。
五十住さんは奥様たちに、しっかりとした受け答えをして、お菓子作り教室の講師をお願いされていた。
「もうっ! 浮気者~!」
「正式に付き合ってませんよ」
光華は口をとがらせたけど、横から笑茉ちゃんに冷静なツッコミを入れられて反論できず、悔しそうにしていた。
腕がいいのは五十住さんだけではない。
テーブルに並べられたデザート類は秋の森がテーマで、秋色のデザートは色づいた公園の木々の中に溶け込んでいる。
『オグラ』の料理は素晴らしく、今日の日のために叔父さんたちがどれだけ頑張って考えてくれたか、すぐにわかった。
「ウェディングケーキはパパのお手製で、夕愛が大好きなチョコレートケーキよ!」
そう言った光華も、今日は『オグラ』のスタッフの一人として働きたいと申し出て、『オグラ』の制服を着て一生懸命、働いてくれている。
「兄さんなら、こんなケーキを作ったんじゃないかなと思ってね」
「私も飾り部分のところは少し手伝ったのよ」
ケーキを眺めて、胸が一杯になっていた私に叔父さんとおばさんが言った。
大きなチョコレートケーキはスクエア型で、その種類はいくつあるのかわからないくらい多種多様なチョコレートケーキが並んでいる。
オペラ、ガトーショコラ、ショコラテリーヌにザッハトルテ、ガナッシュケーキと、数えきれないくらい種類が豊富だ。
それらを全部、大きなひとつのケーキに見立て、テーブルいっぱいのウェディングケーキにしたのだ。
その周囲にはナッツを散らし、白や赤のチョコレートで作った花が飾られ、緑の葉は抹茶のチョコレートだった。
――お店だってあったのに……。
手の込んだウェディングケーキは、一日で作れるものではなかった。
「叔父さん……おばさん……」
「夕愛ちゃん。花嫁さんが泣いちゃ駄目よ。お化粧もとれてしまうから。嬉しかったら泣かずに笑わなきゃ!」
涙をこらえ、叔父さんとおばさんにお礼を言った。
「ありがとうございます。今まで私を娘のように育ててくれて……本当に感謝してます……」
危うく涙がこぼれそうになり、言葉を切った。
私には泣いてはいけないと言ったのに、叔父さんとおばさんは泣いていた。
「夕愛ちゃんの花嫁姿を見れてよかった」
「とても綺麗よ」
一人になった私を育ててくれた叔父さんとおばさん――私は二人がいなかったら、どうなっていたかわからない。
私にとって、大切な家族。
そして、私には叔父さん家族だけでなく――
「海寿さんよ!」
「まあ! 有近の結婚式に鷹沢が出席するなんて……」
「こんなこと初めてじゃないかしら?」
秘書を連れて現れた海寿さんは、この後、海外での仕事があると聞いている。
招待状は玲我さんの名前で送ったけれど、海寿さんが『出席する』と言った時は、鷹沢の分家や会社関係者たちは驚いたそうだ。
ちょうど代替わりしたからか――
『時代が変わった』
そう受け止めた人が多く、怪しむ人は誰もいなかった。
公の場で、私と海寿さんが親しくするのは、まだ時間がかかる。
海寿さんは私の視線に気づき、こちらを見てにこりと微笑んだ。
そして、私たちのそばにいた有近のお義父様に会釈した。
お義父様も会釈し、海寿さんの目を見てうなずいた。
二人の様子を眺めていた玲我さんは、お義父様に言った。
「父さん。もしかして、俺が話す前から気づいていた?」
「なんのことだ?」
お義父様は知らん顔をして、シャンパンを口にする。
「……まあ、いいけどね」
お義父様はなにも言わなかった。
でも、私は叔父さんから、『フランスで一度だけ鷹沢と有近の当主が二人そろって、食事に来たことがある』と聞いていた。
両家が不仲と知っていた叔父さんは、二人が食事をする姿に驚き、強く印象に残ったらしい。
真実に辿りつけていなかったとしても、なにか思うところがあったのは間違いない。
「玲我。近いうちに社長を退任するつもりでいる」
「退任? なにか失敗でもやらかしたとか?」
「本当にお前は可愛げのない息子だ。父親の体の心配でもしたらどうだ?」
「人間ドックも異常無し。百も二百も生きそうなツヤツヤの顔で言われてもね」
玲我さんの目は冷ややかだった。
お義父様は健康そのものだけど、海宏さんが亡くなった後、仕事に対する情熱が消えたと、玲我さんは言っていた。
張り合いがなくなったのだろうと……
「玲我。来年の春の人事で発表する。これからは鷹沢とうまくやっていくように」
「そのつもりだよ」
玲我さんはわかっていたのか、特に驚かず、あっさり引き受けた。
「夕愛も忙しくなるけど、よろしく。奥さん」
「は、はい。まだ慣れませんけど」
「夕愛が慣れるまで、何度も俺の妻だと言わないといけないな」
「妻……」
――私はあなたの妻になれないはずだった。
灰色の景色に見えた景色が、今日は色鮮やかに見え、雪も降っていないし、私ももう泣いてない。
両親は喜んでくれているだろうか――そう思った時、玲我さんが私の額に突然、キスをした。
「夕愛は俺の妻だろう?」
私の答えを待つ玲我さんに微笑み、その頬にキスを返す。
このキスの後、あなたに告げよう。
『私はあなたの妻になりました』と――
【了】
私と玲我さんの結婚式が都久山のガーデンチャペルで執り行われることになった。
ガーデンチャペルがある都久山の公園は、有近と鷹沢が土地とお金を出し合って作られたもので、現在は都久山で管理されている。
明治の頃、各地で公園が作られたのを見た有近と鷹沢は、都久山の人々の憩いの場として、公園を作ったのだとか。
当時珍しかった西洋風の結婚式を挙げたいという要望があり、ガーデンチャペルを備え、一時はとても人気があったらしい。
ガゼボやアーチは結婚式の日までに使えるよう有近家が修繕し、ふたたび美しい姿を取り戻した。
「秋晴れのいい日ですこと。ねぇ、皆さん。昔を思い出すわね。西洋風の結婚式に憧れていたから、白いウェディングドレスを着た時、とても嬉しかったのを今も覚えてるわ」
「ええ、わたくしも覚えてますよ。わたくしの結婚式の日の料理は、初代の小椋さんが大変苦労して材料を集めてくださってね。物のない時期だったのに、小椋さんが工夫して作った西洋風の料理を見た時は涙が出ましたよ……」
「ここをよくご存知な『オグラ』の夕愛さんだからこそ、この場所を選んだのでしょう。玲我さんは本当に素敵な奥様を迎えたわ」
都久山で結婚式を挙げることを提案したのは、どなたでも参加しやすいようにと思ったからだった。
お年を召した大奥様と呼ばれるような方たちは、億劫になってきたからか人付き合いを控えつつあった。
でも、大奥様と呼ばれる年代の方々は、私が幼い頃から『オグラ』へ通ってくださっていた常連さんである。
――花嫁姿を見ていただきたい。
玲我さんは私の想いを聞いて賛成してくれて、小椋の家も『都久山の皆さんへの挨拶代わりになる』と了承してもらえた。
公園からの眺めも良く、気持ちのいい風が吹き抜けていく――都久山での結婚式を見るために、大勢の人が公園に集まった。
料理はすべて『オグラ』の料理で、出来立てを坂の下から運んでくる。
給仕は『オグラ』と同じく、都久山の坂の下でレストランを開いている店から、ソムリエやギャルソンが派遣され、店名の入った名札をそれぞれつけた。
名札が店の宣伝代わりになる。
「今日は店の顔として参加させていただいております」
「他店に負けられません!」
なにかの大会みたいになっていた。
「お客様をもてなすための結婚式ですね。夕愛さん、本当に素敵です!」
笑茉ちゃんがウェディングドレスを着た私のそばまでやってきて、声を弾ませた。
「料理もすごく好評で、とてもいいお式だって招待客の方々がおっしゃってましたよ!」
「本当? 笑茉ちゃんも今日はありがとう」
今日の笑茉ちゃんは『オグラ』の制服で参加し、この盛大なガーデンパーティーを手伝ってくれている。
「いいえ。夕愛さんの結婚式を手伝えて嬉しいです。それに、みんなが『オグラ』の料理を食べて、楽しそうに笑っている顔を見るのは、なんだかいいなって思いました」
ちらりと笑茉ちゃんは玲我さんのほうを横目で見て、耳元でささやいた。
「完全に王子様ですね」
白いタキシード姿の玲我さんは、まさに王子様。
さっきから老若男女を虜にしている。
そう――イケメン好きな光華も。
「玲我さんの写真を撮りたーい! 『オグラ』でも売れそう!」
「光華……。『オグラ』で売っているのは、食べ物で写真じゃないのよ……」
「わかってるけど、それくらい素敵だって言いたかったの!」
話を聞いていた笑茉ちゃんは呆れた顔をしていた。
「光華さん。サボっていたら、また五十住さんに叱られますよ」
すっかり光華のお目付け役のポジションが定着した五十住さんは、白いコックコートを着て、都久山の奥様たちに料理の説明をしていた。
「本日は秋らしさを出すために、木の実の料理を多く用意しております」
「そうだったのね。焼き菓子になにが入っているのかしらって言っていたのよ」
「この松ぼっくりをイメージしたお菓子も可愛いわ。葉の部分はクッキー生地にチョコレートをコーティングしてあるけれど、甘すぎなくて、少しビターなかんじがいいわ」
「チョコレートはカカオを多めに含むものを使用し、メインのナッツが映えるよう配分を調整しております」
都久山の奥様たちは舌や目が肥えているだけあって、微妙な味の違いにも敏感だ。
五十住さんは奥様たちに、しっかりとした受け答えをして、お菓子作り教室の講師をお願いされていた。
「もうっ! 浮気者~!」
「正式に付き合ってませんよ」
光華は口をとがらせたけど、横から笑茉ちゃんに冷静なツッコミを入れられて反論できず、悔しそうにしていた。
腕がいいのは五十住さんだけではない。
テーブルに並べられたデザート類は秋の森がテーマで、秋色のデザートは色づいた公園の木々の中に溶け込んでいる。
『オグラ』の料理は素晴らしく、今日の日のために叔父さんたちがどれだけ頑張って考えてくれたか、すぐにわかった。
「ウェディングケーキはパパのお手製で、夕愛が大好きなチョコレートケーキよ!」
そう言った光華も、今日は『オグラ』のスタッフの一人として働きたいと申し出て、『オグラ』の制服を着て一生懸命、働いてくれている。
「兄さんなら、こんなケーキを作ったんじゃないかなと思ってね」
「私も飾り部分のところは少し手伝ったのよ」
ケーキを眺めて、胸が一杯になっていた私に叔父さんとおばさんが言った。
大きなチョコレートケーキはスクエア型で、その種類はいくつあるのかわからないくらい多種多様なチョコレートケーキが並んでいる。
オペラ、ガトーショコラ、ショコラテリーヌにザッハトルテ、ガナッシュケーキと、数えきれないくらい種類が豊富だ。
それらを全部、大きなひとつのケーキに見立て、テーブルいっぱいのウェディングケーキにしたのだ。
その周囲にはナッツを散らし、白や赤のチョコレートで作った花が飾られ、緑の葉は抹茶のチョコレートだった。
――お店だってあったのに……。
手の込んだウェディングケーキは、一日で作れるものではなかった。
「叔父さん……おばさん……」
「夕愛ちゃん。花嫁さんが泣いちゃ駄目よ。お化粧もとれてしまうから。嬉しかったら泣かずに笑わなきゃ!」
涙をこらえ、叔父さんとおばさんにお礼を言った。
「ありがとうございます。今まで私を娘のように育ててくれて……本当に感謝してます……」
危うく涙がこぼれそうになり、言葉を切った。
私には泣いてはいけないと言ったのに、叔父さんとおばさんは泣いていた。
「夕愛ちゃんの花嫁姿を見れてよかった」
「とても綺麗よ」
一人になった私を育ててくれた叔父さんとおばさん――私は二人がいなかったら、どうなっていたかわからない。
私にとって、大切な家族。
そして、私には叔父さん家族だけでなく――
「海寿さんよ!」
「まあ! 有近の結婚式に鷹沢が出席するなんて……」
「こんなこと初めてじゃないかしら?」
秘書を連れて現れた海寿さんは、この後、海外での仕事があると聞いている。
招待状は玲我さんの名前で送ったけれど、海寿さんが『出席する』と言った時は、鷹沢の分家や会社関係者たちは驚いたそうだ。
ちょうど代替わりしたからか――
『時代が変わった』
そう受け止めた人が多く、怪しむ人は誰もいなかった。
公の場で、私と海寿さんが親しくするのは、まだ時間がかかる。
海寿さんは私の視線に気づき、こちらを見てにこりと微笑んだ。
そして、私たちのそばにいた有近のお義父様に会釈した。
お義父様も会釈し、海寿さんの目を見てうなずいた。
二人の様子を眺めていた玲我さんは、お義父様に言った。
「父さん。もしかして、俺が話す前から気づいていた?」
「なんのことだ?」
お義父様は知らん顔をして、シャンパンを口にする。
「……まあ、いいけどね」
お義父様はなにも言わなかった。
でも、私は叔父さんから、『フランスで一度だけ鷹沢と有近の当主が二人そろって、食事に来たことがある』と聞いていた。
両家が不仲と知っていた叔父さんは、二人が食事をする姿に驚き、強く印象に残ったらしい。
真実に辿りつけていなかったとしても、なにか思うところがあったのは間違いない。
「玲我。近いうちに社長を退任するつもりでいる」
「退任? なにか失敗でもやらかしたとか?」
「本当にお前は可愛げのない息子だ。父親の体の心配でもしたらどうだ?」
「人間ドックも異常無し。百も二百も生きそうなツヤツヤの顔で言われてもね」
玲我さんの目は冷ややかだった。
お義父様は健康そのものだけど、海宏さんが亡くなった後、仕事に対する情熱が消えたと、玲我さんは言っていた。
張り合いがなくなったのだろうと……
「玲我。来年の春の人事で発表する。これからは鷹沢とうまくやっていくように」
「そのつもりだよ」
玲我さんはわかっていたのか、特に驚かず、あっさり引き受けた。
「夕愛も忙しくなるけど、よろしく。奥さん」
「は、はい。まだ慣れませんけど」
「夕愛が慣れるまで、何度も俺の妻だと言わないといけないな」
「妻……」
――私はあなたの妻になれないはずだった。
灰色の景色に見えた景色が、今日は色鮮やかに見え、雪も降っていないし、私ももう泣いてない。
両親は喜んでくれているだろうか――そう思った時、玲我さんが私の額に突然、キスをした。
「夕愛は俺の妻だろう?」
私の答えを待つ玲我さんに微笑み、その頬にキスを返す。
このキスの後、あなたに告げよう。
『私はあなたの妻になりました』と――
【了】
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