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第28回『悲しみ PTA ホームドラマ』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第28回『悲しみ PTA ホームドラマ』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間5分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=85MIIPp5EBk
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
妙子は自分が頭を抱えながらパソコンとにらめっこしているというのに、雅之がずっと新聞に載っているクロスワードパズルを解いているのが気に入らなかった。
妙子と雅之は夫婦の共同名義で脚本の仕事をしていて、主にテレビドラマの脚本を書いていた。
妙子が今書いている原稿も地方局から2時間ドラマとして依頼されたものだった。
だが画面がいまだにまっしろなのは、プロットどころかまだ話の方向性すら決まっていないからだった。
今週末までに企画として先方が納得するものを出さなければならないので妙子はアイディアを出そうと必死だっただけに、夫のマイペースぶりは余計に腹に据えかねるものがあった。
「そうか、わかったぞ!」
妙子が振り向くと、雅之は「ここにはどらやきが入るんだ」と言って赤ペンでスラスラと新聞に書き込んでいった。
妙子は大きくため息をついた。
「ちょっと。あなたも少しは考えてよ。」
「アイディアがないときに原稿に向かったってしょうがないだろう。」
「クロスワードパズルを解いてたってしょうがないと思うんですけど!」
妙子が丁寧語で文句を言うと、雅之は顔を上げて反論した。
「クロスワードパズルをばかにしてほしくないなあ。」
「私は仕事しろって言ってんの。」
「クロスワードパズルにはね、今が詰め込まれてるの。今話題になってるもの、今関心が持たれているもの、今知っておくべきこと。だからクロスワードパズルをやればアイディアがひらめくってもんなんだよ。」
しかし妙子にはこれが雅之の都合のいい言い訳だとわかっていた。
「で、どらやきからどんなアイディアが思いついたの?」
「確か先方さんのオーダーはホームドラマだったよね。ホームドラマの何系で行こうか? やっぱり僕たちの得意なコメディータッチで行く?」
すぐさま話をそらしたのが言い訳であったことの証拠である。
雅之の行動を読むことができ、また彼を仕事に引き入れることに成功したことに妙子は満足した。
「コメディーか。笑いよね。家族は全員目からビームを出せるとか?」
「突飛すぎるよ。もっとこう、現実の中で右往左往するとか。」
「PTAは? あれ結構面倒臭くてトラブルの元って言うよ。」
妙子はいいアイディアだと思ったが、雅之は渋い顔をしていた。
「うん。取材を重ねて俺たちなりのコメディー要素を入れれば面白いものになるかもしれないけど……。」
「何か問題でもあるの?」一文字でもいいから早く打ち込みたい妙子はキーボードに手を置きながら雅之の説明を催促した。
「子どものいない俺たちがそういうことを面白おかしく書くのは気が引けるなあと思って。」
妙子は自然にキーボードから手が浮いた。
クロスワードパズルを解いているときは間違いなく現実逃避していたが、雅之はいざ仕事にかかるといろいろなことに気を配る、雅之のそういうところを尊敬しているのだと妙子は思い出した。
そんな考えを雅之に悟られたくないと思った妙子は、
「じゃあさ、私たちをモデルにした夫婦の話は? 脚本家夫婦の笑いと悲しみの120分。」
と、活弁士のように言っておどけた。
あきれた雅之はクロスワードパズルに目を移した。
「だとしたら挑戦だな。」
「どういうこと?」
「だって俺たちが得意なのはコメディーだろ? 俺とお前の話ならラブストーリーになっちまう。」
雅之はクロスワードパズルには今が詰め込まれていると言っていたが、妙子は自分の中には雅之の言葉が詰め込まれていると感じた。
~・~・~・~・~
~感想~
PTAで話を作るのは難しそうだなあと思ったので、PTAで話を作るのは難しいと言う夫婦の話にしました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第28回『悲しみ PTA ホームドラマ』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間5分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=85MIIPp5EBk
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~・~・~・~・~
妙子は自分が頭を抱えながらパソコンとにらめっこしているというのに、雅之がずっと新聞に載っているクロスワードパズルを解いているのが気に入らなかった。
妙子と雅之は夫婦の共同名義で脚本の仕事をしていて、主にテレビドラマの脚本を書いていた。
妙子が今書いている原稿も地方局から2時間ドラマとして依頼されたものだった。
だが画面がいまだにまっしろなのは、プロットどころかまだ話の方向性すら決まっていないからだった。
今週末までに企画として先方が納得するものを出さなければならないので妙子はアイディアを出そうと必死だっただけに、夫のマイペースぶりは余計に腹に据えかねるものがあった。
「そうか、わかったぞ!」
妙子が振り向くと、雅之は「ここにはどらやきが入るんだ」と言って赤ペンでスラスラと新聞に書き込んでいった。
妙子は大きくため息をついた。
「ちょっと。あなたも少しは考えてよ。」
「アイディアがないときに原稿に向かったってしょうがないだろう。」
「クロスワードパズルを解いてたってしょうがないと思うんですけど!」
妙子が丁寧語で文句を言うと、雅之は顔を上げて反論した。
「クロスワードパズルをばかにしてほしくないなあ。」
「私は仕事しろって言ってんの。」
「クロスワードパズルにはね、今が詰め込まれてるの。今話題になってるもの、今関心が持たれているもの、今知っておくべきこと。だからクロスワードパズルをやればアイディアがひらめくってもんなんだよ。」
しかし妙子にはこれが雅之の都合のいい言い訳だとわかっていた。
「で、どらやきからどんなアイディアが思いついたの?」
「確か先方さんのオーダーはホームドラマだったよね。ホームドラマの何系で行こうか? やっぱり僕たちの得意なコメディータッチで行く?」
すぐさま話をそらしたのが言い訳であったことの証拠である。
雅之の行動を読むことができ、また彼を仕事に引き入れることに成功したことに妙子は満足した。
「コメディーか。笑いよね。家族は全員目からビームを出せるとか?」
「突飛すぎるよ。もっとこう、現実の中で右往左往するとか。」
「PTAは? あれ結構面倒臭くてトラブルの元って言うよ。」
妙子はいいアイディアだと思ったが、雅之は渋い顔をしていた。
「うん。取材を重ねて俺たちなりのコメディー要素を入れれば面白いものになるかもしれないけど……。」
「何か問題でもあるの?」一文字でもいいから早く打ち込みたい妙子はキーボードに手を置きながら雅之の説明を催促した。
「子どものいない俺たちがそういうことを面白おかしく書くのは気が引けるなあと思って。」
妙子は自然にキーボードから手が浮いた。
クロスワードパズルを解いているときは間違いなく現実逃避していたが、雅之はいざ仕事にかかるといろいろなことに気を配る、雅之のそういうところを尊敬しているのだと妙子は思い出した。
そんな考えを雅之に悟られたくないと思った妙子は、
「じゃあさ、私たちをモデルにした夫婦の話は? 脚本家夫婦の笑いと悲しみの120分。」
と、活弁士のように言っておどけた。
あきれた雅之はクロスワードパズルに目を移した。
「だとしたら挑戦だな。」
「どういうこと?」
「だって俺たちが得意なのはコメディーだろ? 俺とお前の話ならラブストーリーになっちまう。」
雅之はクロスワードパズルには今が詰め込まれていると言っていたが、妙子は自分の中には雅之の言葉が詰め込まれていると感じた。
~・~・~・~・~
~感想~
PTAで話を作るのは難しそうだなあと思ったので、PTAで話を作るのは難しいと言う夫婦の話にしました。
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