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第29回『怒り へそ曲がり 先見の明』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第29回『怒り へそ曲がり 先見の明』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=vfy8JknXXUA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
Qグループと言えば国民なら知らない人なんていないほどの巨大な企業だった。
その傘下の会社は電機から不動産、製薬に保険とあらゆる業界に名を連ねていて、しかもどれもがそれぞれでトップクラスの大企業だった。
ただ一つ、Qトイズというおもちゃ会社だけが毎年のように赤字を計上していた。
この会社は出すおもちゃがことごとくヒットせず、出来上がるのは在庫の山ばかりだった。
ある日、Qグループの会長の元に役員が直訴に来た。
「会長! Qトイズは畳みましょう。」
役員は怒りの拳を振り上げた。
しかし会長は熱いほうじ茶をすするばかりだった。
「まあまあ落ち着いて。君もお茶を飲んだらどうかね。」
会長はそう言ってデスクのわきにある急須に視線を送った。
急須の横には見るからに高級そうな茶筒が置いてあり、会長室いっぱいにほうじ茶の清涼な香りが漂っていた。
「そんなことを言ってる場合ではありません。会長だってご存じでしょう。QトイズはわがQグループの恥です!」
「経営がいつもうまく行くとは限らないのは君だってよくわかってるだろう。」
役員を熱弁を続けた。
「もちろんです。だから不採算の企業は整理するべきだと言っているのです。」
「そんなにもうかってないかね、Qトイズは。」
役員は手にしていたタブレットPCを会長の前に出した。
そこにはQトイズの業績がまとめられた資料が画面いっぱいに表示されていた。
「見てください。彼らが作るおもちゃはどれも全くヒットしてません。」
売れ行きを現す帯グラフはどの月もどのおもちゃも帯というには恥ずかしいほど短くつぶれていて、目標個数を全く達成できていないことは一目瞭然だった。
「投げるとmp3を再生するフリスビーに、ベアリング並みの精度を持った球のけん玉。どれも独創的だねえ。」
会長は茶飲み話のように語ったのが役員をヒートアップさせた。
「良く言えばですよね! 何度もあそこの社長とも話しましたよ、もうちょっと流行りを見て絶対に売れるものを作ったらどうだって。そうしたらなんて言ったと思います? うちは他にないものを作る、ですよ! あいつはただのへそ曲がりですよ!」
会長は湯呑で両手を温めながら役員の顔を見上げた。
「若いねえ。」
役員はQトイズの社長と会ったときの顔を思い浮かべた。
「いえ、けっこう現場が長かったみたいなので、あまり若くは。」
「若いってのは君のことだよ。」
「え?」
「俺にはへそ曲がりと先見の明がある人との区別はつかないよ。」
学生時代から働き始め、1代で関連企業が100社を超え日本の経済界に大きな影響を及ぼすQグループを創始した男が静かに湯呑をデスクに置くと、役員はすごすごと会長室を後にした。
~・~・~・~・~
~感想~
企業もののドラマのような話をイメージしました。
先見の明の一番楽な使い方だと思います。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第29回『怒り へそ曲がり 先見の明』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=vfy8JknXXUA
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~・~・~・~・~
Qグループと言えば国民なら知らない人なんていないほどの巨大な企業だった。
その傘下の会社は電機から不動産、製薬に保険とあらゆる業界に名を連ねていて、しかもどれもがそれぞれでトップクラスの大企業だった。
ただ一つ、Qトイズというおもちゃ会社だけが毎年のように赤字を計上していた。
この会社は出すおもちゃがことごとくヒットせず、出来上がるのは在庫の山ばかりだった。
ある日、Qグループの会長の元に役員が直訴に来た。
「会長! Qトイズは畳みましょう。」
役員は怒りの拳を振り上げた。
しかし会長は熱いほうじ茶をすするばかりだった。
「まあまあ落ち着いて。君もお茶を飲んだらどうかね。」
会長はそう言ってデスクのわきにある急須に視線を送った。
急須の横には見るからに高級そうな茶筒が置いてあり、会長室いっぱいにほうじ茶の清涼な香りが漂っていた。
「そんなことを言ってる場合ではありません。会長だってご存じでしょう。QトイズはわがQグループの恥です!」
「経営がいつもうまく行くとは限らないのは君だってよくわかってるだろう。」
役員を熱弁を続けた。
「もちろんです。だから不採算の企業は整理するべきだと言っているのです。」
「そんなにもうかってないかね、Qトイズは。」
役員は手にしていたタブレットPCを会長の前に出した。
そこにはQトイズの業績がまとめられた資料が画面いっぱいに表示されていた。
「見てください。彼らが作るおもちゃはどれも全くヒットしてません。」
売れ行きを現す帯グラフはどの月もどのおもちゃも帯というには恥ずかしいほど短くつぶれていて、目標個数を全く達成できていないことは一目瞭然だった。
「投げるとmp3を再生するフリスビーに、ベアリング並みの精度を持った球のけん玉。どれも独創的だねえ。」
会長は茶飲み話のように語ったのが役員をヒートアップさせた。
「良く言えばですよね! 何度もあそこの社長とも話しましたよ、もうちょっと流行りを見て絶対に売れるものを作ったらどうだって。そうしたらなんて言ったと思います? うちは他にないものを作る、ですよ! あいつはただのへそ曲がりですよ!」
会長は湯呑で両手を温めながら役員の顔を見上げた。
「若いねえ。」
役員はQトイズの社長と会ったときの顔を思い浮かべた。
「いえ、けっこう現場が長かったみたいなので、あまり若くは。」
「若いってのは君のことだよ。」
「え?」
「俺にはへそ曲がりと先見の明がある人との区別はつかないよ。」
学生時代から働き始め、1代で関連企業が100社を超え日本の経済界に大きな影響を及ぼすQグループを創始した男が静かに湯呑をデスクに置くと、役員はすごすごと会長室を後にした。
~・~・~・~・~
~感想~
企業もののドラマのような話をイメージしました。
先見の明の一番楽な使い方だと思います。
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