55 / 174
第55回『本棚 栄養失調 怪獣映画』
しおりを挟む
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第55回『本棚 栄養失調 怪獣映画』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約56分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=XfoY4yKtUVU
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
本木源次郎は怪獣映画好きでなくとも知らない人はいない映画監督だった。
というのも彼こそが特撮を駆使した日本の怪獣映画の始祖とも言える存在だったからだ。
彼の怪獣映画の第1作が公開されたのは半世紀以上も前になるが、その栄光はくもることなく今も映画史の中で燦然と輝いていた。
引退してからも訪ねてくる若い映画人があとをたたず、特撮映画が公開されるたびに本木の元にはインタビューや批評の依頼が来ることが常だった。
ある日、本木に対談の依頼が舞い込んだ。
相手は現在公開中であり、目下興行収入1位を独走している映画『超絶怪獣ゼスパ』の監督・今井瞬だった。
今井にとっても本木は尊敬すべき巨匠であり、この対談の設定は大変名誉であり、夢のようなことでもあった。
ところがさらに、驚くべきことが起こった。
事前に映画を観た本木から今回の対談はぜひ今井の家でやりたいと言い出してきたのだ。
いつもなら本木の家やどこかのホテルで行われていた。
例を見ない本木の提案に他の監督たちは今井をうらやみ、今井自身も天にも昇るような気持だった。
対談の日が来た。
ゆっくりと歩く本木の姿は年齢というよりも余裕から来ているようにも思えるくらい貫禄があり、今井はただただ恐縮するばかりであった。
本木が部屋を一望すると、対談は始まった。
「本木さんは僕の映画をご覧になってどのように感じられましたか。」
今井は直球の質問をしたが、それは映画が大ヒット中で、さらに評論家からの批評も好評で、何より本木が自分の家に来たいと言ってくれたからこそできたものだった。
「日本に希望を感じた。」
本木はぽつりと言った。
声の小ささに反比例して今井の心はいっぱいになった。
自分が今後の映画界を担う存在であると太鼓判を押されたようなものだったからだ。
「怪獣がな、日本を破壊するのはこの先いつ日本が壊れるかというメタファーなんだ。わしらが初めて撮ったときはまだまだ日本はひょろひょろでいつ倒れてもおかしくなかったからな。明日の日本はどうなってしまうのか、その不安の強さこそが怪獣の破壊力を表していた。」
今井はおやと思った。
「それで希望を感じたということは、僕の映画の怪獣は弱く見えたということですか?」
そんなはずはなかった。
CGを駆使して、関係各所にお願いを重ね、彼の映画で行われたのは怪獣映画史上ナンバーワンとも言える大規模な都市の破壊だったからだ。
超絶怪獣ゼスパはビスケットのようにビルを破壊し、自衛隊の攻撃も蚊のように払いのけた。
「怪獣は何を食って強くなるかわかるか?」
本木の問いに映画監督として答えるべきなのか、怪獣映画マニアとして答えるべきなのか今井は迷った。
怪獣が何を食べるかは作品ごとに、いや怪獣ごとに違う。
ならば本木が求めているのは映画監督としての回答だろうということは今井にもわかった。
だとすればさきほどの本木の発言が答えだと今井は思った。
「不安を食べる、ですか?」
「それはメタファーだと言ったろう。」
今井は頭をかいた。
「怪獣は本を食って強くなるんだよ。怪獣はそれだけでは破壊のためだけのただの巨大生物だ。だから作り手のわしらはいっぱい勉強して、知識を蓄え、世の中について考えて、その課程で練り上げられていったものが怪獣の中に注入されていくんだ。そうして出来上がった怪獣は唯一無二であり、破壊のための信念が宿っている。だから強い。そしてわしらが若いころは本を読むことが勉強する一番の方法だった。」
今井は黙ったまま横目で部屋の隅にある小さな本棚を見た。
映画の理論や怪獣に関する本は彼の事務所に置いてある。
彼がいつでも読めるような、部屋に置いてある本は学生時代に買った小説を含めてわずかだった。
「怪獣は年々栄養失調になっていっていることが銀幕越しにでもわかる。この分だと10年もたたないうちに日本の怪獣はすべて餓死するんじゃないかな。」
~・~・~・~・~
~感想~
お題を見て怪獣を栄養失調にさせるにはどうすればいいかと考えました。
それで本棚と絡めるために、怪獣自身に本を食べさせるわけにもいかないので比喩として本を読まない監督たちという話にしました。
引退した巨匠というのを生活面とかからもちゃんと描けたらよかったのですがご覧の通りの有様です。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第55回『本棚 栄養失調 怪獣映画』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約56分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=XfoY4yKtUVU
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
本木源次郎は怪獣映画好きでなくとも知らない人はいない映画監督だった。
というのも彼こそが特撮を駆使した日本の怪獣映画の始祖とも言える存在だったからだ。
彼の怪獣映画の第1作が公開されたのは半世紀以上も前になるが、その栄光はくもることなく今も映画史の中で燦然と輝いていた。
引退してからも訪ねてくる若い映画人があとをたたず、特撮映画が公開されるたびに本木の元にはインタビューや批評の依頼が来ることが常だった。
ある日、本木に対談の依頼が舞い込んだ。
相手は現在公開中であり、目下興行収入1位を独走している映画『超絶怪獣ゼスパ』の監督・今井瞬だった。
今井にとっても本木は尊敬すべき巨匠であり、この対談の設定は大変名誉であり、夢のようなことでもあった。
ところがさらに、驚くべきことが起こった。
事前に映画を観た本木から今回の対談はぜひ今井の家でやりたいと言い出してきたのだ。
いつもなら本木の家やどこかのホテルで行われていた。
例を見ない本木の提案に他の監督たちは今井をうらやみ、今井自身も天にも昇るような気持だった。
対談の日が来た。
ゆっくりと歩く本木の姿は年齢というよりも余裕から来ているようにも思えるくらい貫禄があり、今井はただただ恐縮するばかりであった。
本木が部屋を一望すると、対談は始まった。
「本木さんは僕の映画をご覧になってどのように感じられましたか。」
今井は直球の質問をしたが、それは映画が大ヒット中で、さらに評論家からの批評も好評で、何より本木が自分の家に来たいと言ってくれたからこそできたものだった。
「日本に希望を感じた。」
本木はぽつりと言った。
声の小ささに反比例して今井の心はいっぱいになった。
自分が今後の映画界を担う存在であると太鼓判を押されたようなものだったからだ。
「怪獣がな、日本を破壊するのはこの先いつ日本が壊れるかというメタファーなんだ。わしらが初めて撮ったときはまだまだ日本はひょろひょろでいつ倒れてもおかしくなかったからな。明日の日本はどうなってしまうのか、その不安の強さこそが怪獣の破壊力を表していた。」
今井はおやと思った。
「それで希望を感じたということは、僕の映画の怪獣は弱く見えたということですか?」
そんなはずはなかった。
CGを駆使して、関係各所にお願いを重ね、彼の映画で行われたのは怪獣映画史上ナンバーワンとも言える大規模な都市の破壊だったからだ。
超絶怪獣ゼスパはビスケットのようにビルを破壊し、自衛隊の攻撃も蚊のように払いのけた。
「怪獣は何を食って強くなるかわかるか?」
本木の問いに映画監督として答えるべきなのか、怪獣映画マニアとして答えるべきなのか今井は迷った。
怪獣が何を食べるかは作品ごとに、いや怪獣ごとに違う。
ならば本木が求めているのは映画監督としての回答だろうということは今井にもわかった。
だとすればさきほどの本木の発言が答えだと今井は思った。
「不安を食べる、ですか?」
「それはメタファーだと言ったろう。」
今井は頭をかいた。
「怪獣は本を食って強くなるんだよ。怪獣はそれだけでは破壊のためだけのただの巨大生物だ。だから作り手のわしらはいっぱい勉強して、知識を蓄え、世の中について考えて、その課程で練り上げられていったものが怪獣の中に注入されていくんだ。そうして出来上がった怪獣は唯一無二であり、破壊のための信念が宿っている。だから強い。そしてわしらが若いころは本を読むことが勉強する一番の方法だった。」
今井は黙ったまま横目で部屋の隅にある小さな本棚を見た。
映画の理論や怪獣に関する本は彼の事務所に置いてある。
彼がいつでも読めるような、部屋に置いてある本は学生時代に買った小説を含めてわずかだった。
「怪獣は年々栄養失調になっていっていることが銀幕越しにでもわかる。この分だと10年もたたないうちに日本の怪獣はすべて餓死するんじゃないかな。」
~・~・~・~・~
~感想~
お題を見て怪獣を栄養失調にさせるにはどうすればいいかと考えました。
それで本棚と絡めるために、怪獣自身に本を食べさせるわけにもいかないので比喩として本を読まない監督たちという話にしました。
引退した巨匠というのを生活面とかからもちゃんと描けたらよかったのですがご覧の通りの有様です。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる