YouTubeのライブ配信にてガチャで決めた3つのお題で三題噺を即興で書いてます。

鉄砲E

文字の大きさ
59 / 174

第59回『紙風船 桃源郷 焼夷弾』

しおりを挟む
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第59回『紙風船 桃源郷 焼夷弾』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約59分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=Cj1SeMsuz1o

↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/

~・~・~・~・~

夜中だというのにアパートの階段を乱暴にのぼってきた足音は丸井の部屋の前で止まり、ドアを激しくノックする音が続いた。
「丸井、丸井っ。いるんだろうっ。」
ドアはこのままでははずれてしまいそうだった。
丸井は明日また隣りに住む豆腐屋の男から文句を言われるのだろうなと思いながら、そっとドアを開けた。

部屋に通された赤城は中央にどかっと座っていらいらしている様子だった。
丸井は水道から水を出すと、コップを赤城に差し出した。
赤城はそれを一気に飲み干すと、一息ついた。
「臆したか、丸井。」
赤城の目は真剣そのものだったのに対して、丸井はそれから目をそらすようにたばこに火をつけた。
「丸井、お前はたばこが吸いたいという理由で戦いから離脱するわけではないんだろう?」
「そんなんじゃないよ。ただ、火炎瓶を作りたくないって言ってるのさ。」
「つまり戦いたくないということだろうっ?」
「だって火炎瓶なんて炎が燃え盛って、あんなの、と同じじゃないか。僕らが非難しているアメリカがベトナムでやってることと同じだ。矛盾してる。」
丸井の吐いた煙はゆっくりとオレンジ色の電燈に向ってのぼっていった。
「俺たちには理想がある!」
赤城が握りこぶしを掲げても、丸井は何も言わずたばこを吸い続けた。
貴様には失望したと言い残して赤城は部屋から去っていった。

次の日も赤城たちは大学で機動隊と衝突していた。
「おい、丸井は今日も来ないのかっ?」
「奴は、もうだめです。」
仲間からの問いに赤城は歯を食いしばりながら答えるほかなかった。
このままでは丸井は粛清されるかもしれないと思った。
だがこうしている間にもバリケードはどんどん押されていった。
くそっ、権力の犬めっ。
政府は大衆の声を聞けっ。
仲間たちは運動が始まってから何度も叫んだ言葉を繰り返したが、その声は悲壮感がただよっていた。
赤城は手元を見るもすでに火炎瓶は投げつくしたあとで、武器と呼べるようなものはもう何もなかった。
俺たちは負けるのか、赤城は覚悟した。
そのとき赤城たちと機動隊の間にぽすりと何かが落ちた。
赤や青や黄色とカラフルなそれはだった。
一つだけではない。
ぽすり、ぽすりと次々と落ちてきた。
赤城ははっと上を見た。
屋上にいたのは丸井であり、彼がを次々に投げ落としているのだった。
「平和への祈りを込めて……。僕にできることはを飛ばすことだけだ。」
丸井は段ボールいっぱいのを何箱分も作っていて、をつかんでは投げ、つかんでは投げ、赤や青が風に乗ってゆっくりと落ちてくるその様子に赤城達も機動隊も声をなくして見とれていた。

ところが丸井が口にくわえていたたばこから灰が手の甲に落ちてしまった。
「あちっ。」
丸井が叫ぶと、たばこはが入った段ボールに飛んでいった。
一瞬にしてに火が燃え移った。
「やべえっ。」
丸井があわてて消そうとするも、火の勢いがすごすぎて丸井は段ボールをひっくり返してしまった。
驚いたのは下にいた機動隊だった。
天から火のついた紙風船が雨あられと落ちてくるのだ。
すぐに辺り一面燃え盛り、機動隊は我を忘れて逃げまどい、その様はまさに地獄絵図だった。
赤城は丸井に向って叫んだ。
「これがお前の夢見たか! 機動隊に向って火のついたをばらまくとは、まったくクレイジーなやつだぜ!」

~・~・~・~・~

~感想~
紙風船と桃源郷でとても美しいイメージが連想されるのですが、それだけにもう一つのお題の焼夷弾がやっかいでした。
そこで紙風船が燃えれば焼夷弾みたいなものだなと思いつき、そのシチュエーションとして学生運動を選びました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...