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第63回『ひとこと ほろ酔い 深海』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第63回『ひとこと ほろ酔い 深海』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=5N7jyLCgTzA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
私たち夫婦は夫の運転する車で高速道路を走っていた。
目的地は夫の実家で、目的はお盆の帰省だ。
夫のご両親にお会いするのは5年ぶりとなる。
時には渋滞に遭い、緑に覆われたいくつもの山を抜けるのは結構なストレスと疲労を伴うが、これも新幹線を利用するよりは安く済むからだ。
車に設置されたナビはひたすら直進を示していて、ナビとしての意味をなしていなかった。
口数が少なくなった私を見て夫は聞いてきた。
「どうしたの? うちに来るの久しぶりだから緊張する?」
「そんなことないわよ。」
夫のご両親は大変いい人で、実家にお邪魔しても私には緊張感やプレッシャーなどはなくまるで生まれ育った家のようにリラックスできた。
今回の帰省に5年もかかったのは私生活が忙しくてまとまった時間が取れなかっただけである。
私は高速道路を走る車の量に目くばせしながら、窓を1センチほど下ろした。
「排気ガスが入ってきちゃうかな。」
「酔ったの?」
「うん、少し。」
「少しか。ならほろ酔いだ。」
夫はほんのひとことで物事を前向きに言い換えることの天才で、私は夫のこの才覚でずいぶん救われた気分になってきたし、きっとこんな人を育てる方だから夫の実家に帰るのも苦ではないのだろう。
帰宅したらビールをたくさん飲ませてあげたくなった。
「寝てた方がいいよ。適当なところで起こすから。」
「そんな、子どもじゃないんだから。別に眠くないし。」
かまぼこを切ってビールを出すだけで一日の疲れが吹っ飛んでしまう夫を想像していたときだけに、私は食い気味に反発してしまった。
「眠らなくてもいいよ。寝るってのは目をつぶってれば流れる景色が目に入らないから、楽になれると思って。」
また出た夫お得意のいいかえだ。
さっき起こすと言ったことを私はちゃんと覚えている。
目をつぶっているだけの人に起こすという表現はおかしい。
「そんなにいい車じゃないけどさ、車のシートは敷布団だと思って。日曜日のお昼ご飯を食べた後にふとんの上にごろんとしている感じで。」
夫は私を本当に寝かせようと思ってシートを敷布団などという甘いキーワードにいいかえてきた。
「寝ないって。せっかくの二人の旅行なんだし。」
「じゃあ一緒に空想旅行しない?」
「なにそれ。」
「文字通り言葉だけで旅行した気分になる遊び。これなら運転してる僕も暇じゃなくなるし。どうせならありえないところに行くのが面白いと思うよ。」
運転している夫が暇じゃなくなる。
このいいかえがワナだった。私はついつい夫のためになると思ってあまり考えずに乗ってしまった。
「それじゃあ今から深海に潜ります。ゆっくりと海の世界を見学しましょう。海の世界は太陽がさえぎられるのでとても暗いです。水で体も重くなります。深く潜るほどどんどん目の前は暗くなり、体は重くなっていきます。」
私は夫の声を耳にしながらはっとした。
夫は空想で旅行すると言いながら、人が眠りに落ちるときの現象を深海に潜っていくときの様子にいいかえて、私を眠らせようとしているのだ。
やはり私の夫はいいかえの天才だ。
だが、張られたワナも気付けばどうということはない。
このまま目を開け夫に向かって空想旅行はやめようと言えばよい話だ。
いつまでも子ども扱いされる私ではないのdzzzzzzzz。
~・~・~・~・~
~感想~
当初は船酔いをほろ酔いといいかえる話を考えていたのですが、船の上の様子がわからないので定番の車にしました。
深海は海洋深層水を飲むとかで使おうかとおもって書いていたのですが、空想の旅行にすればいいかえがまた使えるなと気付きこうなりました。
それにしても改段落がなくて読みづらいです。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第63回『ひとこと ほろ酔い 深海』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=5N7jyLCgTzA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
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~・~・~・~・~
私たち夫婦は夫の運転する車で高速道路を走っていた。
目的地は夫の実家で、目的はお盆の帰省だ。
夫のご両親にお会いするのは5年ぶりとなる。
時には渋滞に遭い、緑に覆われたいくつもの山を抜けるのは結構なストレスと疲労を伴うが、これも新幹線を利用するよりは安く済むからだ。
車に設置されたナビはひたすら直進を示していて、ナビとしての意味をなしていなかった。
口数が少なくなった私を見て夫は聞いてきた。
「どうしたの? うちに来るの久しぶりだから緊張する?」
「そんなことないわよ。」
夫のご両親は大変いい人で、実家にお邪魔しても私には緊張感やプレッシャーなどはなくまるで生まれ育った家のようにリラックスできた。
今回の帰省に5年もかかったのは私生活が忙しくてまとまった時間が取れなかっただけである。
私は高速道路を走る車の量に目くばせしながら、窓を1センチほど下ろした。
「排気ガスが入ってきちゃうかな。」
「酔ったの?」
「うん、少し。」
「少しか。ならほろ酔いだ。」
夫はほんのひとことで物事を前向きに言い換えることの天才で、私は夫のこの才覚でずいぶん救われた気分になってきたし、きっとこんな人を育てる方だから夫の実家に帰るのも苦ではないのだろう。
帰宅したらビールをたくさん飲ませてあげたくなった。
「寝てた方がいいよ。適当なところで起こすから。」
「そんな、子どもじゃないんだから。別に眠くないし。」
かまぼこを切ってビールを出すだけで一日の疲れが吹っ飛んでしまう夫を想像していたときだけに、私は食い気味に反発してしまった。
「眠らなくてもいいよ。寝るってのは目をつぶってれば流れる景色が目に入らないから、楽になれると思って。」
また出た夫お得意のいいかえだ。
さっき起こすと言ったことを私はちゃんと覚えている。
目をつぶっているだけの人に起こすという表現はおかしい。
「そんなにいい車じゃないけどさ、車のシートは敷布団だと思って。日曜日のお昼ご飯を食べた後にふとんの上にごろんとしている感じで。」
夫は私を本当に寝かせようと思ってシートを敷布団などという甘いキーワードにいいかえてきた。
「寝ないって。せっかくの二人の旅行なんだし。」
「じゃあ一緒に空想旅行しない?」
「なにそれ。」
「文字通り言葉だけで旅行した気分になる遊び。これなら運転してる僕も暇じゃなくなるし。どうせならありえないところに行くのが面白いと思うよ。」
運転している夫が暇じゃなくなる。
このいいかえがワナだった。私はついつい夫のためになると思ってあまり考えずに乗ってしまった。
「それじゃあ今から深海に潜ります。ゆっくりと海の世界を見学しましょう。海の世界は太陽がさえぎられるのでとても暗いです。水で体も重くなります。深く潜るほどどんどん目の前は暗くなり、体は重くなっていきます。」
私は夫の声を耳にしながらはっとした。
夫は空想で旅行すると言いながら、人が眠りに落ちるときの現象を深海に潜っていくときの様子にいいかえて、私を眠らせようとしているのだ。
やはり私の夫はいいかえの天才だ。
だが、張られたワナも気付けばどうということはない。
このまま目を開け夫に向かって空想旅行はやめようと言えばよい話だ。
いつまでも子ども扱いされる私ではないのdzzzzzzzz。
~・~・~・~・~
~感想~
当初は船酔いをほろ酔いといいかえる話を考えていたのですが、船の上の様子がわからないので定番の車にしました。
深海は海洋深層水を飲むとかで使おうかとおもって書いていたのですが、空想の旅行にすればいいかえがまた使えるなと気付きこうなりました。
それにしても改段落がなくて読みづらいです。
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