133 / 174
第133回『影が薄い 中小企業 電気ショック』
しおりを挟む
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第133回『影が薄い 中小企業 電気ショック』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間2分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=zoFCVNaZvkE
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
今日僕は大型電気店へ行くようにと上司から命じられた。
わが社が開発した最新の低周波治療器の実演販売をするためだ。
いわゆる電気の力で肩こりなどをほぐすというものだ。
実演販売のために社員が行くのは珍しいかもしれないが、中小企業であるうちの懐事情では外部の人間を雇う余裕はなかった。
それに何よりもこの商品の良さは開発に携わった僕が一番よく知っているはずだ。
なら、あとは上手にアピールしてこの商品を知ってもらうだけだ。
しかし僕はいざ店内に立ってみて愕然とした。
低周波治療器の売り場の一番目立つ場所に置かれているのは、業界最大手のQ社のものだった。
値段は張るが、低周波とは思えない自然な心地よさを実現したものだった。
そしてその隣を陣取っていたのは現在業界で飛ぶ鳥を落とす勢いで斬新な器具を開発しているW社だった。
こっちは体に触れる部分に新素材を採用したものだった。
その新素材の名称が大きく宣伝されていて、人目を引きやすいというのは一目瞭然だ。
そしてそれらを囲むように配置されているのがX社のもの。
X社は新技術などの高い開発力こそないが、廉価な商品を多数ラインナップしていた。
またカラー展開も豊富で、若い人にも手に取りやすいものだった。
そして、その端にあるのがわが社の商品だった。
低周波治療器の売り場と電動マッサージ機の売り場の隙間と言ってもいいかもしれない。
大々的に売り出されている大手の商品に隠れて、実に影が薄かった。
僕の目にも大手の商品の棚がとてもまぶしく映った。
わかってはいたはずだったが、世間への認知度の差がここまでとは思ってもいなかった。
現実を見せられた気分だった。
いや、今まで自分が会社にこもっていて現場から目をそらしていただけなのかもしれない。
ならばなおのこと、頑張ってこの商品を知ってもらうほかない。
せっかくお店のご厚意で実演販売をさせてもらえることになったのだ。
確かにわが社に知名度はない。
商品に人目を引きやすい特徴はないかもしれない。
しかし部品の細部までこだわり入念な調整を重ねたこの商品の良さは、実際に使ってもらえば必ずわかってもらえるはずだ。
僕はそう信じて、声を張り上げてお客さんを呼びかけた。
しかし結果は無残なものだった。
一日頑張ってみてもお客さんは全く興味を示してくれず、手に取るのは大手の商品ばかりだった。
閉店作業に入る中、肩を落としている僕に店員が話しかけてきてくれた。
「今日は残念でしたね。でも初めてとは思えないくらいいい実演販売だったと思いますよ。」
「販売員さんにそう言っていただけると励みになります。でもそれでも売れなかったということは、やはりわが社は影が薄いんですかね。」。
「それが原因なら、あなたに非はありませんよ。」
そう言って店員は僕の肩を叩いてくれた。
優しい言葉に僕の目頭が熱くなると、店員は続けた。
「うちとしてはやっぱり大手のを売りたいんで、大手の商品を照らすライトを増やしていつも以上に華やかにしたんですよ。」
明るく、ブロードウェイのステージのような大手の商品の棚。
そしてそれに隠れた、陽の当たらない路地裏のようなわが社の商品の棚。
僕が振り返ると、売り場の壁にはわが社の商品の形に縁どられた影が黒々と浮かんでいた。
僕は思った。
低周波治療器で培った技術を生かして次は電気ショックを作ろう、と。
そしてその実験の第1号はこの店員にしてやろう、と。
~・~・~・~・~
~感想~
オチを決めて書き始めたのですが、書いている間もずっとそれでいいのかと悩んでいました。
結局直前で変更してしまいました。
しかしそれだとつじつまが合わなくなり、オチを再び強引に変更したので、苦しい話となってしまいました。
電気ショックとはAEDなども含めるのだと知っていたら、また別の話になっていたかもしれません。
話を書きだす前にちゃんと調べるべきでした。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第133回『影が薄い 中小企業 電気ショック』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間2分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=zoFCVNaZvkE
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
今日僕は大型電気店へ行くようにと上司から命じられた。
わが社が開発した最新の低周波治療器の実演販売をするためだ。
いわゆる電気の力で肩こりなどをほぐすというものだ。
実演販売のために社員が行くのは珍しいかもしれないが、中小企業であるうちの懐事情では外部の人間を雇う余裕はなかった。
それに何よりもこの商品の良さは開発に携わった僕が一番よく知っているはずだ。
なら、あとは上手にアピールしてこの商品を知ってもらうだけだ。
しかし僕はいざ店内に立ってみて愕然とした。
低周波治療器の売り場の一番目立つ場所に置かれているのは、業界最大手のQ社のものだった。
値段は張るが、低周波とは思えない自然な心地よさを実現したものだった。
そしてその隣を陣取っていたのは現在業界で飛ぶ鳥を落とす勢いで斬新な器具を開発しているW社だった。
こっちは体に触れる部分に新素材を採用したものだった。
その新素材の名称が大きく宣伝されていて、人目を引きやすいというのは一目瞭然だ。
そしてそれらを囲むように配置されているのがX社のもの。
X社は新技術などの高い開発力こそないが、廉価な商品を多数ラインナップしていた。
またカラー展開も豊富で、若い人にも手に取りやすいものだった。
そして、その端にあるのがわが社の商品だった。
低周波治療器の売り場と電動マッサージ機の売り場の隙間と言ってもいいかもしれない。
大々的に売り出されている大手の商品に隠れて、実に影が薄かった。
僕の目にも大手の商品の棚がとてもまぶしく映った。
わかってはいたはずだったが、世間への認知度の差がここまでとは思ってもいなかった。
現実を見せられた気分だった。
いや、今まで自分が会社にこもっていて現場から目をそらしていただけなのかもしれない。
ならばなおのこと、頑張ってこの商品を知ってもらうほかない。
せっかくお店のご厚意で実演販売をさせてもらえることになったのだ。
確かにわが社に知名度はない。
商品に人目を引きやすい特徴はないかもしれない。
しかし部品の細部までこだわり入念な調整を重ねたこの商品の良さは、実際に使ってもらえば必ずわかってもらえるはずだ。
僕はそう信じて、声を張り上げてお客さんを呼びかけた。
しかし結果は無残なものだった。
一日頑張ってみてもお客さんは全く興味を示してくれず、手に取るのは大手の商品ばかりだった。
閉店作業に入る中、肩を落としている僕に店員が話しかけてきてくれた。
「今日は残念でしたね。でも初めてとは思えないくらいいい実演販売だったと思いますよ。」
「販売員さんにそう言っていただけると励みになります。でもそれでも売れなかったということは、やはりわが社は影が薄いんですかね。」。
「それが原因なら、あなたに非はありませんよ。」
そう言って店員は僕の肩を叩いてくれた。
優しい言葉に僕の目頭が熱くなると、店員は続けた。
「うちとしてはやっぱり大手のを売りたいんで、大手の商品を照らすライトを増やしていつも以上に華やかにしたんですよ。」
明るく、ブロードウェイのステージのような大手の商品の棚。
そしてそれに隠れた、陽の当たらない路地裏のようなわが社の商品の棚。
僕が振り返ると、売り場の壁にはわが社の商品の形に縁どられた影が黒々と浮かんでいた。
僕は思った。
低周波治療器で培った技術を生かして次は電気ショックを作ろう、と。
そしてその実験の第1号はこの店員にしてやろう、と。
~・~・~・~・~
~感想~
オチを決めて書き始めたのですが、書いている間もずっとそれでいいのかと悩んでいました。
結局直前で変更してしまいました。
しかしそれだとつじつまが合わなくなり、オチを再び強引に変更したので、苦しい話となってしまいました。
電気ショックとはAEDなども含めるのだと知っていたら、また別の話になっていたかもしれません。
話を書きだす前にちゃんと調べるべきでした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる