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第132回『生命体 不人気 午後の紅茶』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第132回『生命体 不人気 午後の紅茶』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約54分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=fK-Y2Yh5z78
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
僕はある重要なミッションを受けて、第456223mnetzus惑星に降り立った。
ここは久しぶりに生命体の存在が確証された星だ。
確証と言っても、衛星ステーションからのレーダー観測で科学的に存在が確信されたのであって、その存在を実際に目で見ることはおろか映像で確認した者はいない。
そこで調査員として僕が派遣されたというわけだ。
とても静かな星だった。
空は緑、地平は紫。
僕は宇宙服のヘルメットを脱いだ。
この星の空気が僕のほほをなでる。
風はまったく吹いていないが、見渡しは良かった。
報告書によると、生命体は菌や微生物の類などではなく、ある程度の大きさだと言う。
当然だ。
菌や微生物程度の大きさの生き物がいる星なら今までごまんとあったから、わざわざ政府が僕を派遣するわけがない。
だから目的の生命体はあの岩陰に隠れているのかもしれないし、あそこのくぼみに潜んでいるのかもしれない。
どちらにせよ、その生命体を驚かせるわけにはいかない。
誤って警戒させたり、最悪の場合戦闘になって殺してしまうのを防ぐためだ──我々にはどんな生物にも勝つことのできる光線銃が支給されている。
星に着いたらあちらから動きがあるまで待機せよ、というのが上からの指令だ。
指令通り僕は宇宙船から折り畳み式のテーブルとイスを持ってきて、この星の、特に見晴らしの良い所で広げた。
そしてポットとティーカップ。
僕は腰かけると、茶葉といっしょに熱いお湯を注いだ。
太陽が3つあるのでこの星の正確な時刻はわからないが、僕の仕事のスケジュールから考慮して、ここでゆっくりと午後の紅茶を楽しむこととした。
むろん、新たな生命体の来訪を待ちながら。
なんとなく自分が不思議の国のアリスの住人になったような気がした。
だとしたら、不思議の国の住人はアリスの来訪を待ちわびていたんじゃないかと思った。
僕は落ち着いて紅茶をすすりながら、横目で探ったりもした。
適当に辺りをつけてウインクなどもしてみた。
しかし生命体は一向に現れなかった。
最低でも僕に興味を示して、遠巻きに寄ってきてもいいはずだった。
それが科学的に導かれた結果だった。
時計の針はどんどん回っていき、もう紅茶も空になってしまった。
帰還の時間が来てしまったので、僕は名残惜しそうにテーブルを片付けた。
最後にもう一度広がる地平に振り返ってみたが、やはり生命体らしきものの姿はなかった。
「あばよ。」
そう言い残して僕は宇宙船のハッチを閉めた。
僕は科学を疑い始めていた。
あの星には生命体なんていないんじゃないだろうか、と。
僕の提出した報告書に上も頭をひねっていた。
上は僕の報告書を少し疑ってさえもいた。
しかし僕は自分が間違っていないことは確信していた。
後日、別の人が再度あの星に調査しに行った。
僕はそれは無駄なことだと思った。
調査するなら生命体の存在を判定したコンピューターや計測機器の方なんじゃないかと思ったが、これは上には口に出せなかった。
だが、帰還した彼の報告書は驚くべきものだった。
生命体の存在が確認されたのである。
彼が星に降り立ちしばらく経つと、生命体が姿を見せたのだ。
そればかりか彼に敵意がないとわかると、やがて彼の周りにその生命体が集まり始めたのだと言う。
そんなばかな、と思った。
ひょっとしたら僕が調査していた時は、遥か遠くにいたり、あるいは活動時間ではなかったのだろうか。
3回目の調査は僕と彼を含めて、7人で行うことになった。
僕らは星に降り立つと、テーブルとイスを広げてささやかなお茶会を始めた。
すると彼の報告書と同じように、地平から生命体の姿が見えてきた。
僕らの人数に戸惑いながらも、その生命体は少しずつ僕たちに近づいてきた。
それどころか我々の周りに集まってきたのだ。
そう、彼の報告書に書かれてあったのと全く同じように──。
では、彼が正しく僕が間違っていたのか。
いや、僕も正しかったのだ。
なぜなら集まってきた生命体は他の調査員にはなついているのに、僕の周りには全く集まっていなかったからだ。
どうやら僕はこの星の生命体には不人気のようだ。
「っあー、そーだったー、うちゅーせんのなかにやりのこしたしごとがまだあったんだったー。」
完全に棒読みのセリフを吐きながら、僕はイスから立ち上がって宇宙船へと急いだ。
そしてそっとヘルメットをかぶった。
~・~・~・~・~
~感想~
ネタ自体は1分くらいで思いつきました。
午後の紅茶は商品名を出すわけにもいかないので、紅茶を飲む午後の時間ということで考えました。
オチは決まっていたのだし、語り手をもっと鼻のつくやつっぽく描くべきだったと思っています。
2回目の調査あたりから書くのが面倒になってきて、展開が雑になってきています。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第132回『生命体 不人気 午後の紅茶』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約54分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
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僕はある重要なミッションを受けて、第456223mnetzus惑星に降り立った。
ここは久しぶりに生命体の存在が確証された星だ。
確証と言っても、衛星ステーションからのレーダー観測で科学的に存在が確信されたのであって、その存在を実際に目で見ることはおろか映像で確認した者はいない。
そこで調査員として僕が派遣されたというわけだ。
とても静かな星だった。
空は緑、地平は紫。
僕は宇宙服のヘルメットを脱いだ。
この星の空気が僕のほほをなでる。
風はまったく吹いていないが、見渡しは良かった。
報告書によると、生命体は菌や微生物の類などではなく、ある程度の大きさだと言う。
当然だ。
菌や微生物程度の大きさの生き物がいる星なら今までごまんとあったから、わざわざ政府が僕を派遣するわけがない。
だから目的の生命体はあの岩陰に隠れているのかもしれないし、あそこのくぼみに潜んでいるのかもしれない。
どちらにせよ、その生命体を驚かせるわけにはいかない。
誤って警戒させたり、最悪の場合戦闘になって殺してしまうのを防ぐためだ──我々にはどんな生物にも勝つことのできる光線銃が支給されている。
星に着いたらあちらから動きがあるまで待機せよ、というのが上からの指令だ。
指令通り僕は宇宙船から折り畳み式のテーブルとイスを持ってきて、この星の、特に見晴らしの良い所で広げた。
そしてポットとティーカップ。
僕は腰かけると、茶葉といっしょに熱いお湯を注いだ。
太陽が3つあるのでこの星の正確な時刻はわからないが、僕の仕事のスケジュールから考慮して、ここでゆっくりと午後の紅茶を楽しむこととした。
むろん、新たな生命体の来訪を待ちながら。
なんとなく自分が不思議の国のアリスの住人になったような気がした。
だとしたら、不思議の国の住人はアリスの来訪を待ちわびていたんじゃないかと思った。
僕は落ち着いて紅茶をすすりながら、横目で探ったりもした。
適当に辺りをつけてウインクなどもしてみた。
しかし生命体は一向に現れなかった。
最低でも僕に興味を示して、遠巻きに寄ってきてもいいはずだった。
それが科学的に導かれた結果だった。
時計の針はどんどん回っていき、もう紅茶も空になってしまった。
帰還の時間が来てしまったので、僕は名残惜しそうにテーブルを片付けた。
最後にもう一度広がる地平に振り返ってみたが、やはり生命体らしきものの姿はなかった。
「あばよ。」
そう言い残して僕は宇宙船のハッチを閉めた。
僕は科学を疑い始めていた。
あの星には生命体なんていないんじゃないだろうか、と。
僕の提出した報告書に上も頭をひねっていた。
上は僕の報告書を少し疑ってさえもいた。
しかし僕は自分が間違っていないことは確信していた。
後日、別の人が再度あの星に調査しに行った。
僕はそれは無駄なことだと思った。
調査するなら生命体の存在を判定したコンピューターや計測機器の方なんじゃないかと思ったが、これは上には口に出せなかった。
だが、帰還した彼の報告書は驚くべきものだった。
生命体の存在が確認されたのである。
彼が星に降り立ちしばらく経つと、生命体が姿を見せたのだ。
そればかりか彼に敵意がないとわかると、やがて彼の周りにその生命体が集まり始めたのだと言う。
そんなばかな、と思った。
ひょっとしたら僕が調査していた時は、遥か遠くにいたり、あるいは活動時間ではなかったのだろうか。
3回目の調査は僕と彼を含めて、7人で行うことになった。
僕らは星に降り立つと、テーブルとイスを広げてささやかなお茶会を始めた。
すると彼の報告書と同じように、地平から生命体の姿が見えてきた。
僕らの人数に戸惑いながらも、その生命体は少しずつ僕たちに近づいてきた。
それどころか我々の周りに集まってきたのだ。
そう、彼の報告書に書かれてあったのと全く同じように──。
では、彼が正しく僕が間違っていたのか。
いや、僕も正しかったのだ。
なぜなら集まってきた生命体は他の調査員にはなついているのに、僕の周りには全く集まっていなかったからだ。
どうやら僕はこの星の生命体には不人気のようだ。
「っあー、そーだったー、うちゅーせんのなかにやりのこしたしごとがまだあったんだったー。」
完全に棒読みのセリフを吐きながら、僕はイスから立ち上がって宇宙船へと急いだ。
そしてそっとヘルメットをかぶった。
~・~・~・~・~
~感想~
ネタ自体は1分くらいで思いつきました。
午後の紅茶は商品名を出すわけにもいかないので、紅茶を飲む午後の時間ということで考えました。
オチは決まっていたのだし、語り手をもっと鼻のつくやつっぽく描くべきだったと思っています。
2回目の調査あたりから書くのが面倒になってきて、展開が雑になってきています。
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