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第133回『影が薄い 中小企業 電気ショック』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第133回『影が薄い 中小企業 電気ショック』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間2分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=zoFCVNaZvkE
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
今日僕は大型電気店へ行くようにと上司から命じられた。
わが社が開発した最新の低周波治療器の実演販売をするためだ。
いわゆる電気の力で肩こりなどをほぐすというものだ。
実演販売のために社員が行くのは珍しいかもしれないが、中小企業であるうちの懐事情では外部の人間を雇う余裕はなかった。
それに何よりもこの商品の良さは開発に携わった僕が一番よく知っているはずだ。
なら、あとは上手にアピールしてこの商品を知ってもらうだけだ。
しかし僕はいざ店内に立ってみて愕然とした。
低周波治療器の売り場の一番目立つ場所に置かれているのは、業界最大手のQ社のものだった。
値段は張るが、低周波とは思えない自然な心地よさを実現したものだった。
そしてその隣を陣取っていたのは現在業界で飛ぶ鳥を落とす勢いで斬新な器具を開発しているW社だった。
こっちは体に触れる部分に新素材を採用したものだった。
その新素材の名称が大きく宣伝されていて、人目を引きやすいというのは一目瞭然だ。
そしてそれらを囲むように配置されているのがX社のもの。
X社は新技術などの高い開発力こそないが、廉価な商品を多数ラインナップしていた。
またカラー展開も豊富で、若い人にも手に取りやすいものだった。
そして、その端にあるのがわが社の商品だった。
低周波治療器の売り場と電動マッサージ機の売り場の隙間と言ってもいいかもしれない。
大々的に売り出されている大手の商品に隠れて、実に影が薄かった。
僕の目にも大手の商品の棚がとてもまぶしく映った。
わかってはいたはずだったが、世間への認知度の差がここまでとは思ってもいなかった。
現実を見せられた気分だった。
いや、今まで自分が会社にこもっていて現場から目をそらしていただけなのかもしれない。
ならばなおのこと、頑張ってこの商品を知ってもらうほかない。
せっかくお店のご厚意で実演販売をさせてもらえることになったのだ。
確かにわが社に知名度はない。
商品に人目を引きやすい特徴はないかもしれない。
しかし部品の細部までこだわり入念な調整を重ねたこの商品の良さは、実際に使ってもらえば必ずわかってもらえるはずだ。
僕はそう信じて、声を張り上げてお客さんを呼びかけた。
しかし結果は無残なものだった。
一日頑張ってみてもお客さんは全く興味を示してくれず、手に取るのは大手の商品ばかりだった。
閉店作業に入る中、肩を落としている僕に店員が話しかけてきてくれた。
「今日は残念でしたね。でも初めてとは思えないくらいいい実演販売だったと思いますよ。」
「販売員さんにそう言っていただけると励みになります。でもそれでも売れなかったということは、やはりわが社は影が薄いんですかね。」。
「それが原因なら、あなたに非はありませんよ。」
そう言って店員は僕の肩を叩いてくれた。
優しい言葉に僕の目頭が熱くなると、店員は続けた。
「うちとしてはやっぱり大手のを売りたいんで、大手の商品を照らすライトを増やしていつも以上に華やかにしたんですよ。」
明るく、ブロードウェイのステージのような大手の商品の棚。
そしてそれに隠れた、陽の当たらない路地裏のようなわが社の商品の棚。
僕が振り返ると、売り場の壁にはわが社の商品の形に縁どられた影が黒々と浮かんでいた。
僕は思った。
低周波治療器で培った技術を生かして次は電気ショックを作ろう、と。
そしてその実験の第1号はこの店員にしてやろう、と。
~・~・~・~・~
~感想~
オチを決めて書き始めたのですが、書いている間もずっとそれでいいのかと悩んでいました。
結局直前で変更してしまいました。
しかしそれだとつじつまが合わなくなり、オチを再び強引に変更したので、苦しい話となってしまいました。
電気ショックとはAEDなども含めるのだと知っていたら、また別の話になっていたかもしれません。
話を書きだす前にちゃんと調べるべきでした。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第133回『影が薄い 中小企業 電気ショック』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間2分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=zoFCVNaZvkE
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~・~・~・~・~
今日僕は大型電気店へ行くようにと上司から命じられた。
わが社が開発した最新の低周波治療器の実演販売をするためだ。
いわゆる電気の力で肩こりなどをほぐすというものだ。
実演販売のために社員が行くのは珍しいかもしれないが、中小企業であるうちの懐事情では外部の人間を雇う余裕はなかった。
それに何よりもこの商品の良さは開発に携わった僕が一番よく知っているはずだ。
なら、あとは上手にアピールしてこの商品を知ってもらうだけだ。
しかし僕はいざ店内に立ってみて愕然とした。
低周波治療器の売り場の一番目立つ場所に置かれているのは、業界最大手のQ社のものだった。
値段は張るが、低周波とは思えない自然な心地よさを実現したものだった。
そしてその隣を陣取っていたのは現在業界で飛ぶ鳥を落とす勢いで斬新な器具を開発しているW社だった。
こっちは体に触れる部分に新素材を採用したものだった。
その新素材の名称が大きく宣伝されていて、人目を引きやすいというのは一目瞭然だ。
そしてそれらを囲むように配置されているのがX社のもの。
X社は新技術などの高い開発力こそないが、廉価な商品を多数ラインナップしていた。
またカラー展開も豊富で、若い人にも手に取りやすいものだった。
そして、その端にあるのがわが社の商品だった。
低周波治療器の売り場と電動マッサージ機の売り場の隙間と言ってもいいかもしれない。
大々的に売り出されている大手の商品に隠れて、実に影が薄かった。
僕の目にも大手の商品の棚がとてもまぶしく映った。
わかってはいたはずだったが、世間への認知度の差がここまでとは思ってもいなかった。
現実を見せられた気分だった。
いや、今まで自分が会社にこもっていて現場から目をそらしていただけなのかもしれない。
ならばなおのこと、頑張ってこの商品を知ってもらうほかない。
せっかくお店のご厚意で実演販売をさせてもらえることになったのだ。
確かにわが社に知名度はない。
商品に人目を引きやすい特徴はないかもしれない。
しかし部品の細部までこだわり入念な調整を重ねたこの商品の良さは、実際に使ってもらえば必ずわかってもらえるはずだ。
僕はそう信じて、声を張り上げてお客さんを呼びかけた。
しかし結果は無残なものだった。
一日頑張ってみてもお客さんは全く興味を示してくれず、手に取るのは大手の商品ばかりだった。
閉店作業に入る中、肩を落としている僕に店員が話しかけてきてくれた。
「今日は残念でしたね。でも初めてとは思えないくらいいい実演販売だったと思いますよ。」
「販売員さんにそう言っていただけると励みになります。でもそれでも売れなかったということは、やはりわが社は影が薄いんですかね。」。
「それが原因なら、あなたに非はありませんよ。」
そう言って店員は僕の肩を叩いてくれた。
優しい言葉に僕の目頭が熱くなると、店員は続けた。
「うちとしてはやっぱり大手のを売りたいんで、大手の商品を照らすライトを増やしていつも以上に華やかにしたんですよ。」
明るく、ブロードウェイのステージのような大手の商品の棚。
そしてそれに隠れた、陽の当たらない路地裏のようなわが社の商品の棚。
僕が振り返ると、売り場の壁にはわが社の商品の形に縁どられた影が黒々と浮かんでいた。
僕は思った。
低周波治療器で培った技術を生かして次は電気ショックを作ろう、と。
そしてその実験の第1号はこの店員にしてやろう、と。
~・~・~・~・~
~感想~
オチを決めて書き始めたのですが、書いている間もずっとそれでいいのかと悩んでいました。
結局直前で変更してしまいました。
しかしそれだとつじつまが合わなくなり、オチを再び強引に変更したので、苦しい話となってしまいました。
電気ショックとはAEDなども含めるのだと知っていたら、また別の話になっていたかもしれません。
話を書きだす前にちゃんと調べるべきでした。
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