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第131回『特撮 カンフー 転落』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第131回『特撮 カンフー 転落』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約56分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=DaiGS0Atg8g
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「このシーンはどうやって撮ろうか?」
一同腕を組んで頭をひねった。
僕らは大学の映研。
今カンフー映画を撮影している真っ最中だ。
題材をカンフーにしたのは、役者の一人がカンフーをやってそうな顔だからだ。
実際に彼はカンフーをやったことなどなかった。
ノリで決めただけあって、撮影は苦労の連続だった。
脚本はカンフー映画が好きな人にシナリオ担当の人と合同で作ってもらうことにした。
現代の日本で、大学生が撮影許可を取れる場所でのシナリオという、厳しい制限付きだった。
そもそも主役は顔がカンフーやってそうというだけで、体の方はたるんでいた。
これではとても格闘技をやっているとは思えないということで、彼には筋トレを命じた。
人間というのは不思議なものだ。
困難が多ければ多いほど生き生きとしてくるからだ。
映画はノリでスタートするべきではないと主張していた部員も、次々と起こるトラブルの解決法を考えているうちにどんどんと前のめりになっていった。
文芸作品を志望している役者もがんばってくれた。
おかげでカンフー映画としていいものができつつあった。
特にアクションシーン。
役者たちの努力によって、まるで本当に戦っているような迫力のある画となった。
そして今僕らは一つの問題に直面している。
主役がビルの屋上から転落するシーンだ。
やはり細かいカットをつなぎ合わせるべきだろうか。
しかしそれだとせっかくのスリル満点の展開に水を差すようだった。
「脚本を変えるか?」
「こんないい脚本なのに。それだとカットをつないだ方がましなくらいだよ。」
「じゃあこの脚本を上回るくらい面白い展開を考えてさ。」
「例えば?」
「……。」
部員たちの考えはまとまらなかった。
このような議論は今まで何度もあったが、作品がいいものになりつつあるだけにみんなストレスが溜まっているようだった。
ここで求められるのは監督である僕の判断だ。
「脚本はこのままで行こう。」
部員みんなが僕の方を向いた。
「じゃあ落ちるとこはカットをつなぎ合わせるんですか?」
少し眉間にしわを寄せている部員もいた。
それだと流れが断ち切られると批判していた部員だ。
「ここは特撮で行く。」
部員たちは驚いていた。
それもそのはずだ。
僕らが今まで撮ってきた映画は青春映画やサスペンス映画などであって、特撮映画など撮ったこともないからだ。
その手の映画が好きな部員が目を輝かせつつも、遠慮がちに挙手をした。
「でも、こんなのどうやって撮るんですか?」
「それをみんなで考えよう。今までだって数々の問題をみんなで考えて突破してきたじゃないか。」
これにはいくつもの課題があるのは誰の目にも明らかだった。
知識や経験のない僕らにできるのか。
できたとして、より良い映像が撮れるのか。
時間や予算は?
みんなの顔に不安が浮かんでいた。
「これはカンフー映画だけど、脚本は謎が謎を呼ぶサスペンスたっぷりの展開で面白い。役者陣も人物の背景まで匂わせてくれるような滋味深い演技をしてくれている。こんなに多くの観客を満足させてくれそうな映画は大学生じゃそうそう作れないよ。だったら特撮の方面も欲張っちゃおうぜ。」
僕の言葉でみんなのやる気に再び火がついた。
それからの撮影はあっという間だった。
ビルから落ちるシーンは、みんなで考え抜いて無事撮影することに成功した。
流れを断ち切らないし、迫力も申し分ない。
他にも次から次へとトラブルは起きたが、2か月後僕らは無事に映画を完成させることが出来た。
学祭での公開に先だって、YouTubeで映画の宣伝をアップした。
5分の映像の中に作品の魅力をたっぷりと詰め込んだ。
もちろん苦心して作ったあの特撮シーンも入れた。
大きな話題になるに違いない。
部員の誰もがそう思った。
そしてアップして数日で本当に大きな話題になった。
高いビルから転落する映像をアップする大学生の迷惑系ユーチューバー現る、と。
後日YouTube側から動画は削除された。
僕らの作品は闇の中へと転落した。
~・~・~・~・~
~感想~
脚本家が部員の成長を促すためにわざと難しいシーンを作ったというオチも考えたのですが、結局悪ふざけのオチにしてしまいました。
それはそうと学生の映研はYouTubeで作品を公開しているのでしょうか?
それともやはりフィルムで映写して公開しているのでしょうか?
あと迷惑系ユーチューバーが即削除されるのかも知りません。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第131回『特撮 カンフー 転落』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約56分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=DaiGS0Atg8g
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「このシーンはどうやって撮ろうか?」
一同腕を組んで頭をひねった。
僕らは大学の映研。
今カンフー映画を撮影している真っ最中だ。
題材をカンフーにしたのは、役者の一人がカンフーをやってそうな顔だからだ。
実際に彼はカンフーをやったことなどなかった。
ノリで決めただけあって、撮影は苦労の連続だった。
脚本はカンフー映画が好きな人にシナリオ担当の人と合同で作ってもらうことにした。
現代の日本で、大学生が撮影許可を取れる場所でのシナリオという、厳しい制限付きだった。
そもそも主役は顔がカンフーやってそうというだけで、体の方はたるんでいた。
これではとても格闘技をやっているとは思えないということで、彼には筋トレを命じた。
人間というのは不思議なものだ。
困難が多ければ多いほど生き生きとしてくるからだ。
映画はノリでスタートするべきではないと主張していた部員も、次々と起こるトラブルの解決法を考えているうちにどんどんと前のめりになっていった。
文芸作品を志望している役者もがんばってくれた。
おかげでカンフー映画としていいものができつつあった。
特にアクションシーン。
役者たちの努力によって、まるで本当に戦っているような迫力のある画となった。
そして今僕らは一つの問題に直面している。
主役がビルの屋上から転落するシーンだ。
やはり細かいカットをつなぎ合わせるべきだろうか。
しかしそれだとせっかくのスリル満点の展開に水を差すようだった。
「脚本を変えるか?」
「こんないい脚本なのに。それだとカットをつないだ方がましなくらいだよ。」
「じゃあこの脚本を上回るくらい面白い展開を考えてさ。」
「例えば?」
「……。」
部員たちの考えはまとまらなかった。
このような議論は今まで何度もあったが、作品がいいものになりつつあるだけにみんなストレスが溜まっているようだった。
ここで求められるのは監督である僕の判断だ。
「脚本はこのままで行こう。」
部員みんなが僕の方を向いた。
「じゃあ落ちるとこはカットをつなぎ合わせるんですか?」
少し眉間にしわを寄せている部員もいた。
それだと流れが断ち切られると批判していた部員だ。
「ここは特撮で行く。」
部員たちは驚いていた。
それもそのはずだ。
僕らが今まで撮ってきた映画は青春映画やサスペンス映画などであって、特撮映画など撮ったこともないからだ。
その手の映画が好きな部員が目を輝かせつつも、遠慮がちに挙手をした。
「でも、こんなのどうやって撮るんですか?」
「それをみんなで考えよう。今までだって数々の問題をみんなで考えて突破してきたじゃないか。」
これにはいくつもの課題があるのは誰の目にも明らかだった。
知識や経験のない僕らにできるのか。
できたとして、より良い映像が撮れるのか。
時間や予算は?
みんなの顔に不安が浮かんでいた。
「これはカンフー映画だけど、脚本は謎が謎を呼ぶサスペンスたっぷりの展開で面白い。役者陣も人物の背景まで匂わせてくれるような滋味深い演技をしてくれている。こんなに多くの観客を満足させてくれそうな映画は大学生じゃそうそう作れないよ。だったら特撮の方面も欲張っちゃおうぜ。」
僕の言葉でみんなのやる気に再び火がついた。
それからの撮影はあっという間だった。
ビルから落ちるシーンは、みんなで考え抜いて無事撮影することに成功した。
流れを断ち切らないし、迫力も申し分ない。
他にも次から次へとトラブルは起きたが、2か月後僕らは無事に映画を完成させることが出来た。
学祭での公開に先だって、YouTubeで映画の宣伝をアップした。
5分の映像の中に作品の魅力をたっぷりと詰め込んだ。
もちろん苦心して作ったあの特撮シーンも入れた。
大きな話題になるに違いない。
部員の誰もがそう思った。
そしてアップして数日で本当に大きな話題になった。
高いビルから転落する映像をアップする大学生の迷惑系ユーチューバー現る、と。
後日YouTube側から動画は削除された。
僕らの作品は闇の中へと転落した。
~・~・~・~・~
~感想~
脚本家が部員の成長を促すためにわざと難しいシーンを作ったというオチも考えたのですが、結局悪ふざけのオチにしてしまいました。
それはそうと学生の映研はYouTubeで作品を公開しているのでしょうか?
それともやはりフィルムで映写して公開しているのでしょうか?
あと迷惑系ユーチューバーが即削除されるのかも知りません。
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