飼われる側って案外良いらしい。

なつ

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2.救い?

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知らないところだ。
意識が浮上した途端、この世のものとは思えない程のもふもふを感じた。

とうとう僕は死んだか

ならここは天国か、と瞳を閉じたまま考える。地獄ならこの触り心地の良い何かは己を貫く槍や棘であるはずだから。
天国(仮)は全身に残る痛み以外何も持っていない紫ヶ崎を包み込むように暖かく、幾分か呼吸がしやすくなるような、落ち着く香りが漂っていて…

あー…天国って無臭じゃないのか。ちょっと意外。…って、そうじゃなくて。

そのまま天国(仮)を堪能していると、ふと己以外が発しているであろう音が聞こえてきた。

「──で、…は、……と思われ…」
「いつ……は、目を……?」

こいつらも死んで天国に来たのか…?まあそれはどうでもいいか

紫ヶ崎は他の人間のことはさておき、天国とはどんなものか見てみようじゃないかとゆっくりと瞼を持ち上げてみた。
すると視界の端に檻のようなものが映る。

「はぁ……?」

思わず出た声は酷く掠れていて小さい。しかし声の主は確りとその音を聞き取ったようだ。バタバタと忙しない足音が此方へやってくる。そのままバタン!と大きな音を立て紫ヶ崎が居る部屋の扉を開けた。

「紫ヶ崎君!!!!!」

「うるさ…っ」

現れたのは2人の男。喧しい方は知らない顔、もう片方は知ってる顔だ。
あまりの声量に頭がキーンとした紫ヶ崎は眉根を寄せながら、ゆっくり頭ごと2人の方へ視線をやる。

「タルア、声量を考えてください。彼は病人兼怪我人なんですから」

こいつは…せみゅーる、だったか…?

人間とは少し違うやや尖った耳を抑える男は、社内で注目の的となっているセミュール=サンダウンだった。
そんなセミュールは今、タルアと呼ばれた男と親しげに話している。

あー…すっごいキラキラエフェクトが見える…たるあっていう人、一定時間見てたら塵になりそう。

「───と、紫ヶ崎君を置いてけぼりにしていたね。俺はタルア、タルア=ミース」

檻の中に敷き詰められた毛布に沈んだまま困惑状態な紫ヶ崎を差し置いて、2人が会話を続けること10分程。未だ呆然としている紫ヶ崎へ目を合わせると、タルアは微笑みながら自己紹介をした。

「は、はあ…」

で。ここはどこなんだよ

まあまあ良いタイミングでこの世を去ることができた、と思ったらどうやらそうではないと分かった紫ヶ崎は全身の痛みや気だるさもありかなり不機嫌だ。

「ああそっか。諸々説明してなかったよね」

タルアは、困った様子の紫ヶ崎にここまでの経緯を話してくれた。
紫ヶ崎が駅からそう遠くない場所で倒れたこと。それを見た2人が家へ運び看病したこと。

そして倒れてから3日目の今日、ようやく目を覚ましたこと。
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