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2.救い?
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は……?みっ…か、め…?
なんで…なんで、起こしてくれなかったんだ!
立ち上がろうとするも力が入らず足が縺れ尻もちを着く。それでも、と再度檻から出ようとすれば「ダメだ」と両肩を抑えられた。
「離せッ、僕は仕事に…い゛っ…うぅ…」
力一杯その腕を振り払おうと身を捩る。タルアは涼しい顔でそれを流し、必死なのは紫ヶ崎だけだ。
やがてタルアの作り物めいた美しい顔立ちと高すぎる背丈から、セミュールと同じSwisであることに気づいた紫ヶ崎は、暴れるのを辞めた。
へたりと毛布の上に座り込む。結局檻からは1歩も出られなかった。
「少なく見積っても2、いや3ヶ月か…?本当は半年ほど休んで頂きたいんだ」
「は、なんでそんな勝手……」
ゆるされるわけないだろ。
「なんでなんて君がいちばん良く分かってるんじゃないのかな」
険しい顔でそういう風に言われると、紫ヶ崎は言葉に詰まってしまった。しかしそんなことで馬鹿みたいに休めない。どうにかして彼を黙らせるため何か言わねば、と口をもごもごさせる。
「決まりだね。本当はこの流れで彼を…ああいや、それは後でいいかな。目が覚めたから先に診てもらわないとね」
みる…診る?
勝手な行動への怒りと仕事に行けない焦りとが綯い交ぜになったまま、紫ヶ崎に背を向けどこかへ電話をかけるタルアの背中を睨みつける。
「──ああ、例の子が目を覚ましてね。至急俺の家へ向かって欲しいな。…うん?そんな事はしてないよ、ただ寝かせてただけ。俺がそんなことするように見える?」
そうして暫く言葉を交わして、最後に「全く酷いよね、少し前まであんなに懐いてたのに…兎に角頼んだよ」と一言残し電話を切った。
そして此方へ向き直るとふわりとそれはそれは柔らかな笑みを浮かべる。
「彼なら10分で来るよ」
「人遣いの荒さがSwis界1酷いという噂は本物でしたか」
セミュールは口元を引き攣らせた。
恐らくこの感じだとそれは本当で、今から此処に10分で誰かが来るのは確かなのだろう。それはもう止められない。しかし紫ヶ崎だってこれ以上彼らを自由にさせる気はない。
「…もうこれ以上、勝手なことしないで下さい。タルアさんは初対面だし、セミュールさんだってほぼ他人でしょう。こんなことされたって迷惑です」
目を覚まして30分程度だろうか。幾分か落ち着きを取り戻した紫ヶ崎が極めて冷淡な声で言う。
またダメだと言われるのだろうか、と恐る恐るタルアの様子を伺う。すると、タルアはキラキラと瞳を輝かせていた。
「名前で呼ばれた!!!!!!!!」
………ほんとう、この人は何なのだろうか。
紫ヶ崎はタルアの頭に響く大声と、今後への不安で頭を抱えた。
なんで…なんで、起こしてくれなかったんだ!
立ち上がろうとするも力が入らず足が縺れ尻もちを着く。それでも、と再度檻から出ようとすれば「ダメだ」と両肩を抑えられた。
「離せッ、僕は仕事に…い゛っ…うぅ…」
力一杯その腕を振り払おうと身を捩る。タルアは涼しい顔でそれを流し、必死なのは紫ヶ崎だけだ。
やがてタルアの作り物めいた美しい顔立ちと高すぎる背丈から、セミュールと同じSwisであることに気づいた紫ヶ崎は、暴れるのを辞めた。
へたりと毛布の上に座り込む。結局檻からは1歩も出られなかった。
「少なく見積っても2、いや3ヶ月か…?本当は半年ほど休んで頂きたいんだ」
「は、なんでそんな勝手……」
ゆるされるわけないだろ。
「なんでなんて君がいちばん良く分かってるんじゃないのかな」
険しい顔でそういう風に言われると、紫ヶ崎は言葉に詰まってしまった。しかしそんなことで馬鹿みたいに休めない。どうにかして彼を黙らせるため何か言わねば、と口をもごもごさせる。
「決まりだね。本当はこの流れで彼を…ああいや、それは後でいいかな。目が覚めたから先に診てもらわないとね」
みる…診る?
勝手な行動への怒りと仕事に行けない焦りとが綯い交ぜになったまま、紫ヶ崎に背を向けどこかへ電話をかけるタルアの背中を睨みつける。
「──ああ、例の子が目を覚ましてね。至急俺の家へ向かって欲しいな。…うん?そんな事はしてないよ、ただ寝かせてただけ。俺がそんなことするように見える?」
そうして暫く言葉を交わして、最後に「全く酷いよね、少し前まであんなに懐いてたのに…兎に角頼んだよ」と一言残し電話を切った。
そして此方へ向き直るとふわりとそれはそれは柔らかな笑みを浮かべる。
「彼なら10分で来るよ」
「人遣いの荒さがSwis界1酷いという噂は本物でしたか」
セミュールは口元を引き攣らせた。
恐らくこの感じだとそれは本当で、今から此処に10分で誰かが来るのは確かなのだろう。それはもう止められない。しかし紫ヶ崎だってこれ以上彼らを自由にさせる気はない。
「…もうこれ以上、勝手なことしないで下さい。タルアさんは初対面だし、セミュールさんだってほぼ他人でしょう。こんなことされたって迷惑です」
目を覚まして30分程度だろうか。幾分か落ち着きを取り戻した紫ヶ崎が極めて冷淡な声で言う。
またダメだと言われるのだろうか、と恐る恐るタルアの様子を伺う。すると、タルアはキラキラと瞳を輝かせていた。
「名前で呼ばれた!!!!!!!!」
………ほんとう、この人は何なのだろうか。
紫ヶ崎はタルアの頭に響く大声と、今後への不安で頭を抱えた。
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