飼われる側って案外良いらしい。

なつ

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2.救い?

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通知音は鳴り止まない。きっとこれは全て、須磨からのメッセージを知らせるものだろう。

「何をどう送ったらこんなに通知が…」

「ん~…彼って所謂"オカンキシツ"だから、心配性なんだよね」

あ、少しだけ持ってて欲しいな、とスマホを渡された。また新しく通知が来たことにより画面が一瞬明るくなる。そこにはやはり須磨の文字が連なっていた。

うわ…怖……

そして更に追い討ちをかけるようにスマホが震えた。今度は電話だ。

「これ、どうするんですか」

紫ヶ崎の手の中で震えるそれはただの着信中のスマホなのに、何故か異様に圧を感じる。

「んー………放っておこうか」

そう爽やかな笑みを添えて言われてしまい、紫ヶ崎は目的地に着くまで震え続ける他人のスマホを所持する羽目になった。
そんな中ふと、手の中のスマホを見て疑問を抱いた。

「……僕のスマホ盗りました?」

この男の部屋で目を覚ましてから妙に静かだとは思っていたが、鳴り続けるタルアのスマホを見て漸く思い出した。

上司の鬼電や鬼メッセージが無い。

「酷い言い方をするね。少しうるさ過ぎるからマナーモードにして俺が肌身離さず持ってるだけだよ」

大分やだな、それ。

「え?気持ちわる…んん、こほん。返して貰えません?僕のなので」

代わりに貴方にはこっちをどうぞ、と未だに着信中のスマホを差し出す。丁度信号は赤だ、数秒ハンドルから手を離しても問題ないだろう。

「咳払いしても大分手遅れだからね?…仕方ないな、流石に人の所持品奪ったままだと良くないからね」

やれやれと首を横に振り、溜息をひとつ。それから紫ヶ崎のスマホを渡し、己のスマホを受け取ったタルアは、 スーツのポケットに突っ込むとまた前を向く。
紫ヶ崎は短く礼を言うと、ロックを解除する。並んだ通知を見て紫ヶ崎まで溜息が出そうになった。

ああ…いつもより"遅かった"から

「──さあ、着いたよ。危ないから気をつけてね、すぐ戻ってくるんだよ?」

「何がです?僕は犬でも子供でも無いんですってば」

返信という名の言い訳を考えていると、どうやらタルア宅から銀行は近かったらしい。顔には出さないように、されどやや急いで車から降り銀行へ駆け込む。
銀行ATMにて画面の指示に従いいつも通りの額を振り込む。
大量のメッセージには丁寧な謝罪と、振り込んだ旨の返信をした。怪しいところから何かをネタに脅されているだとかそういった理由はない。恐らく普通の人からすれば従う理由はひとつもない。

"誰があんたを育ててあげたのか、わかってるでしょうね?"

程なくして返ってきたメッセージは、紫ヶ崎の心にまた膿を残すのだ。
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