リスタート 〜嫌いな隣人に構われています〜

黒崎サトウ

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つながりを求めた(13)

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 数時間前にも入ったが、風呂から出て部屋に戻ると、英司が不機嫌そうな顔をして待っていた。

 ベッドに置かれたローションなどを見て妙な生々しさを覚えた。英司が部屋から持ってきたらしい。

「あの、出ました」

「……まじで手伝わせてくれなかったな」

 恨めしそうに見てくるが、忘れてないか、俺の尻なんだけど……

 男同士でするには、色々準備が必要である。

 千秋は本物の経験がないだけで、過去に指なら入れたことがあった。それを言うと英司は心底驚いていたが、だから準備を一人でしようとすると、ものすごく嫌がられた。

 自分がやってあげたいだの、初めてはどうのこうのだの。いやだから、入れるのは初めてじゃないっつの。そうツッコミを入れたわけだが。どうやるかも昔調べたことがあるし、大丈夫だ。

 その後、思ったよりしつこく食い下がる英司をなんとか振り切って、千秋は風呂で一人準備したというわけだ。

 不満げな英司を無視して、ベッドに座っている英司の隣に座る。

「あの、今度は柳瀬さんがやっていいんで……」

 自然と熱を含んだ口調で言ってやると、途端に雰囲気を変えた英司が、千秋の腰を引き寄せた。

 そのギラギラとした目を見ると、ゾクゾクする。

「んっ……」

 すぐにまた口付けをなされると、今度は余裕なさげに舌が入り込んできて、口内を荒らし始めた。

「はぁ…っ、ん……」

「……はぁ……次は、絶対俺がやるからな……」

 キスの合間にそんなことを言ってきて、執念すごすぎだろ……とぼんやりする頭で思った。

 激しく絡む舌がときどき水音を鳴らして、その音にかあっとのぼせ上がりそうになる。

「っは……」

「千秋、横にするぞ」

 唇が離れると、口早にそう言われ、ぽすんとベッドに倒された。さっきと同じ上から見下ろされる姿勢になり、心臓がバクバクと鳴り始める。

 あ……俺、今から本当にするんだ、柳瀬さんと。

 そう思うと、改めて緊張も恥ずかしさも嬉しさも一気に現実味が湧いてきて、どういう顔をすればいいのかわからなくなってしまう。

「あーもう……なんつーかわいい顔してんの」

「は、はあ……?いいから、早くしてくださいよ……」

「はいはい」

 相変わらずの憎まれ口を軽く流しながら、英司は千秋の服を脱がしていく。

 ズボンをするんと脱がされると、今度はTシャツに手をかける。

「まって!」

「なんだよ」

「ぜ、全部脱がすんですか……?」

 明るい空間でそれは厳しいというか、というかそもそも上は脱ぐ必要はなくないか、見ても楽しいものなんてないし。

「俺は全部見たいの」

 そう言われて思わず息を飲むと、その隙にTシャツもスポンと脱がされてしまった。

 くそ、俺、好きにされっぱなしだ……。

 下着まで全て取り除かれてしまうと、俺はさらされる体を隠すように腕を前に掛けた。

 いたたまれない、こんな明るいところで。恥ずかしい、もうやだ、そう思うのに嬉しそうに微笑む英司を見ると、どうしても先に進みたくなる。

「ん……」

 一度軽く唇にキスされると、ぎゅうと抱きしめられる。それだけで気持ちよくて、心地よくて、じわじわと満たされる。これ、やっぱり好きだ……。

 英司が完璧に服を着たままなので、自分と同じように脱いでくれと言ったら、お前だけ何も纏わないのが興奮するんだと言われた。変態だ。

 それでもシャツ一枚、体温が伝わってあたたかい。

「あ……」

 ゆるりと抱き抱えられたまま、首筋、胸、腹と唇が落とされていく。

 それだけで身体がいちいちピクピクしてしまって、英司から与えられる刺激全てに集中している。

 しかし、全身くまなくキスする気なのかとじれったくなって、英司を呼んだ。

「どうした?」

 ふくらはぎにキスしていたのを中断して、どこか痛いところでもあったのか、とでも心配する顔でまた距離が近くなる。

 英司の優しい手が頬を撫でる。最初は英司の方が欲しがっていたというのに、自分もたいがいである。

「もうそれいいから、進みたいっ……」

「……こら、追い討ちをかけるな。初めてなんだから、ゆっくりな」

「じゃあ、ゆっくり、先に進む」

「……ったくお前……」

 苦しげに顔を歪めると、英司は再び胸にキスを落として、少しつんとした尖りに優しく吸い付いた。

「んやっ……そ、それ」

「気持ちいいんだろ?」

「きもちいいって、いうかっ」

 以前、「ご飯の礼に言うことを一つ聞く」という詰めの甘すぎる提案をした時、最後に乳首を軽く摘まれ、初めての感覚にすごい反応をしてしまったことを思い出した。

 くすぐったいというか、ビリビリするというか、とにかく他の箇所とは明らかに違う。

 英司に尖りの先をちろちろと舐めながら、片側は指できゅっきゅと摘まれる。

「ひっ、う……」

 なんかっ、変だこれ、ずっとやってたらおかしくなる……!

 さすがにやばいと思い始めたところで、唇と手が離れ解放された。

「っはぁ、はぁ」

「はぁ……ここだけでそんなんになっちゃうんだ、お前」

 口を拭い、興奮しながら英司は千秋の顔にいくつかキスを落とす。

 きっと俺は今、顔を上気させ、だらしない顔をしているに違いない。

「これは、未知の感覚だからであって……っ」

「未知の感覚ね。でもここはこんなんになってる」

 英司が目をやった方を見ると、自身のそこが完璧に反りたっていた。

 く……体は素直ってか……これだから男は……


 でもおれ、こんなところ触られただけで……。

 ガーンと若干ショックを受けたが、英司は構うことなく次の行動に出た。

「あっ……!」

 すっかり大きくさせた千秋のそこを優しく包むと、遠慮なく上下し始める。

「はぁ……あっ……つ、つよいっ……」

「強い?」

 いつも自分でするのとは違って、英司が激しく扱いてくるので、すぐにピークが訪れてしまいそうだった。

 意地悪そうにわざと聞いてくる英司が、頬にキスを落としてくる。その手を止める気はなさそうだ。

「も、もうだめ、だめだってっ……はぁ……あっ……!……あ……?」

 しばらくして、ついに達しようとしたとき、唐突に英司の手の動きがぴたりと止まった。欲望を出すことのできなかった自身のものは、ぴくぴくともどかしげにしているだけだ。
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