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8 騎士一族と黒鉄編
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翌日。
「隊長、すんごく元気ですねぇ」
グレイはもの凄く元気だった。
ニグラートからグレイといっしょにやってきた人たちから話を聞いても、同じ事を言っている。
ニグラートでは死にそうになっていたのに、もの凄く元気になったと。
グレイが元気なのは良いことだ。
何せ、絶対無敵の討伐隊長。
元気がないよりも、元気があった方が何倍も良い。
良くないのは、グレイが元気な理由をあれこれ憶測する騎士たちと、その内容だ。
「お嬢と仲良くしたんじゃないですか、羨ましいなぁ」
元々、仲は良いから。
「隊長が元気で機嫌いいのが一番だろ。でも羨ましいよな」
仲が良いってだけで、羨ましがらないで欲しいわ。
私はムスッとした顔で、ちょこんと、グレイの隣に座っている。
「に比べて、お嬢は元気なさそうですね」
「隊長に可愛がられ過ぎたんじゃね?」
ジロッ
私はムスッとした顔で、余計な発言をする人を睨みつけてみた。
「お嬢も体力ありそうだけどな」
「隊長ほどじゃないだろうさ」
でも。グレイほどの圧にはなっていないようだ。普通に会話が続く。なんか、負けた気分。
そんな会話があちこちで繰り広げられているので、会議室はガヤガヤとしていた。
ちなみに、そんな会話を耳にして機嫌が悪いのは私だけ。グレイは妙に元気で気分もよさそう。
あーあ、さっさと三部の試合の作戦会議を始めればいいのに。
ところが、ここで私の最大の味方が登場した。
「コラァァァァ。そこ、卑猥なこと、言ってるんじゃないわよ!」
ダーーーーーーーン
と、勢いよく、机に手のひらを叩きつけたのはフィリアだ。
「別に卑猥なことなんてなぁ?」
「そうですよねぇ?」
さらにザワザワする騎士たちを、フィリアは容赦なく責め立てる。
「隊長がお嬢とエッチしてたとか、隊長がお嬢をハメすぎたとか、言ってたじゃない!」
ぶへっ!
思わず机に突っ伏す私。
シーーーーーーーーン
秒で静まり返る会議室。
「ロード先輩、そこまで具体的に言ってませんて」
慌てたバルトレット卿が突っ込むけど、零れたミルクはコップに戻ることはない。ミルクが零れる前に注意してくれよ。
「男女のあれこれは、具体的に指摘した方がいいのよ!」
嘘付け!
「フィ、リ、アァァァァ!」
私は腹の底から声を絞り出した。
とたんに心配げな顔を私に向けてくる。
「お嬢、身体は大丈夫ですか? あそこ、痛くありません?」
が、声かけの内容がおかしい!
あそこってどこよ!
しかも、なんの心配よ!
「あのねぇぇぇぇぇぇ、誤解を招くこと、言わないでくれる?!」
ドスの利いた私の声に、ビビり始めるフィリア。オドオドしながらも、またもや、余計な話を口にする。
「だって。お嬢。隊長に、寝室に連れ込まれて朝までやりっぱなしだったって」
「誰情報よ?!」
「セラフィアス様ですが?」
「セラフィアスゥゥゥ!」
くるっと私は背後を振り返った。
私の後ろにあるソファーには、私の杖がだらだらとお菓子を食べ、グレイの魔剣がのびのびと寝そべっている。
セラフィアスは今まさに、お菓子を口に放り込もうとしたところ。
セラフィアスか。フィリアに誤情報を流したのは。
ばっと、大勢の視線が集中すると、セラフィアスは手にしたお菓子を諦めて、ふんぞり返った。
「僕は聞かれたから答えただけだぞ? 主が寝室に連れ込まれて、極悪魔剣士と朝まで仲良くしてたって」
「あのねぇぇぇぇ。自室で、フェルム侯爵のあれこれとか、グレイにいろいろ問い詰められて喋ってただけでしょ!」
興奮する私の隣から、グレイが冷静に指摘をしてくる。
「シアの自室ってことは、寝室でもあるな」
「まぁ、寝室も含めて自室だけど」
「フェルム侯爵や他のフェルム一族の話が長すぎて、夜中まで話し込んだんだよな」
「まぁ、それでいっしょに寝ちゃったんだよね」
寝落ち、とも言う。
グレイがそこまで言うと、続いてセラフィアスが指摘してきた。
「ケンカはしなかっただろ?」
「まぁ、しなかったけど」
寝ちゃったからね。
「ケンカしない、つまり、仲良くしてたってことだな」
「まぁ、言われてみればそうなるけど」
「ほら」
どうだ、と言わんばかりの顔で私を見るセラフィアス。いやいやいや、どうだじゃないだろうに!
「いや、言い方! 絶対、誤解される!」
私は両手を振って、セラフィアスの発言を訂正しようと必死になった。
私の慌てた顔とセラフィアスのドヤ顔になんらかの説得力があったようで、
「なんだぁ、隊長、お嬢を食べたりしなかったのねぇ」
「なんだ、何にもなかったのかよ」
「なんだ、隊長。相変わらず、奥手だよな」
と、無事に誤解は解消されたのだった。
相変わらず、フィリアの発言が際どいけど。
「お嬢ももう大丈夫な年齢なのになぁ」
「どういう大丈夫よ!」
聞き捨てならない発言も少なくなかったけど。
パンパンパンパン
大騒ぎとなった会議室に、手を打つ音が響いた。
「騒いでないで、作戦会議を始めますよ」
ようやくリザルトがやってきたらしい。
つかつかと歩いて、グレイの前までやってきたリザルトは、軽くグレイに頭を下げてから、自分の席に着いた。
「いよいよ三部です。最後は派手にやらかしましょうか」
不安を覚えるようなリザルトの発言で、最後の作戦会議は始まったのだった。
「隊長、すんごく元気ですねぇ」
グレイはもの凄く元気だった。
ニグラートからグレイといっしょにやってきた人たちから話を聞いても、同じ事を言っている。
ニグラートでは死にそうになっていたのに、もの凄く元気になったと。
グレイが元気なのは良いことだ。
何せ、絶対無敵の討伐隊長。
元気がないよりも、元気があった方が何倍も良い。
良くないのは、グレイが元気な理由をあれこれ憶測する騎士たちと、その内容だ。
「お嬢と仲良くしたんじゃないですか、羨ましいなぁ」
元々、仲は良いから。
「隊長が元気で機嫌いいのが一番だろ。でも羨ましいよな」
仲が良いってだけで、羨ましがらないで欲しいわ。
私はムスッとした顔で、ちょこんと、グレイの隣に座っている。
「に比べて、お嬢は元気なさそうですね」
「隊長に可愛がられ過ぎたんじゃね?」
ジロッ
私はムスッとした顔で、余計な発言をする人を睨みつけてみた。
「お嬢も体力ありそうだけどな」
「隊長ほどじゃないだろうさ」
でも。グレイほどの圧にはなっていないようだ。普通に会話が続く。なんか、負けた気分。
そんな会話があちこちで繰り広げられているので、会議室はガヤガヤとしていた。
ちなみに、そんな会話を耳にして機嫌が悪いのは私だけ。グレイは妙に元気で気分もよさそう。
あーあ、さっさと三部の試合の作戦会議を始めればいいのに。
ところが、ここで私の最大の味方が登場した。
「コラァァァァ。そこ、卑猥なこと、言ってるんじゃないわよ!」
ダーーーーーーーン
と、勢いよく、机に手のひらを叩きつけたのはフィリアだ。
「別に卑猥なことなんてなぁ?」
「そうですよねぇ?」
さらにザワザワする騎士たちを、フィリアは容赦なく責め立てる。
「隊長がお嬢とエッチしてたとか、隊長がお嬢をハメすぎたとか、言ってたじゃない!」
ぶへっ!
思わず机に突っ伏す私。
シーーーーーーーーン
秒で静まり返る会議室。
「ロード先輩、そこまで具体的に言ってませんて」
慌てたバルトレット卿が突っ込むけど、零れたミルクはコップに戻ることはない。ミルクが零れる前に注意してくれよ。
「男女のあれこれは、具体的に指摘した方がいいのよ!」
嘘付け!
「フィ、リ、アァァァァ!」
私は腹の底から声を絞り出した。
とたんに心配げな顔を私に向けてくる。
「お嬢、身体は大丈夫ですか? あそこ、痛くありません?」
が、声かけの内容がおかしい!
あそこってどこよ!
しかも、なんの心配よ!
「あのねぇぇぇぇぇぇ、誤解を招くこと、言わないでくれる?!」
ドスの利いた私の声に、ビビり始めるフィリア。オドオドしながらも、またもや、余計な話を口にする。
「だって。お嬢。隊長に、寝室に連れ込まれて朝までやりっぱなしだったって」
「誰情報よ?!」
「セラフィアス様ですが?」
「セラフィアスゥゥゥ!」
くるっと私は背後を振り返った。
私の後ろにあるソファーには、私の杖がだらだらとお菓子を食べ、グレイの魔剣がのびのびと寝そべっている。
セラフィアスは今まさに、お菓子を口に放り込もうとしたところ。
セラフィアスか。フィリアに誤情報を流したのは。
ばっと、大勢の視線が集中すると、セラフィアスは手にしたお菓子を諦めて、ふんぞり返った。
「僕は聞かれたから答えただけだぞ? 主が寝室に連れ込まれて、極悪魔剣士と朝まで仲良くしてたって」
「あのねぇぇぇぇ。自室で、フェルム侯爵のあれこれとか、グレイにいろいろ問い詰められて喋ってただけでしょ!」
興奮する私の隣から、グレイが冷静に指摘をしてくる。
「シアの自室ってことは、寝室でもあるな」
「まぁ、寝室も含めて自室だけど」
「フェルム侯爵や他のフェルム一族の話が長すぎて、夜中まで話し込んだんだよな」
「まぁ、それでいっしょに寝ちゃったんだよね」
寝落ち、とも言う。
グレイがそこまで言うと、続いてセラフィアスが指摘してきた。
「ケンカはしなかっただろ?」
「まぁ、しなかったけど」
寝ちゃったからね。
「ケンカしない、つまり、仲良くしてたってことだな」
「まぁ、言われてみればそうなるけど」
「ほら」
どうだ、と言わんばかりの顔で私を見るセラフィアス。いやいやいや、どうだじゃないだろうに!
「いや、言い方! 絶対、誤解される!」
私は両手を振って、セラフィアスの発言を訂正しようと必死になった。
私の慌てた顔とセラフィアスのドヤ顔になんらかの説得力があったようで、
「なんだぁ、隊長、お嬢を食べたりしなかったのねぇ」
「なんだ、何にもなかったのかよ」
「なんだ、隊長。相変わらず、奥手だよな」
と、無事に誤解は解消されたのだった。
相変わらず、フィリアの発言が際どいけど。
「お嬢ももう大丈夫な年齢なのになぁ」
「どういう大丈夫よ!」
聞き捨てならない発言も少なくなかったけど。
パンパンパンパン
大騒ぎとなった会議室に、手を打つ音が響いた。
「騒いでないで、作戦会議を始めますよ」
ようやくリザルトがやってきたらしい。
つかつかと歩いて、グレイの前までやってきたリザルトは、軽くグレイに頭を下げてから、自分の席に着いた。
「いよいよ三部です。最後は派手にやらかしましょうか」
不安を覚えるようなリザルトの発言で、最後の作戦会議は始まったのだった。
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