分析能力で旅をする ~転生した理由を探すためにレインは世界を回る

しき

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第四章

第40話『デルタ帝国ヨプト街』

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関所にて一夜を過ごすと直ぐに朝になり、ざわざわとした雑声ざっせいの中で目を覚ました。いつの間にか眠っていたらしい。建物の入り口を見ても日が出ているようには見えず、しかし明るくなっていた。

寝惚け眼を擦りゆっくりと上体を起こす。目覚めはそこそこだ。宿屋のベッドから起きたときに比べて身体の調子は良くないが、自身で組み立てたテントよりはマシであった。

隣を見るとリンネがサンドイッチを食べていた。そういえば私は昨日何も食べずに眠ってしまったのか。道理でお腹が空いている。

「おはよう」

私がリンネに声をかけても、彼女はちらとこちらに目を向けるだけで、何の返事もしなかった。この無愛想っぷりこそ彼女らしいが、返事がないのは寂しくも感じる。まだ反応がもらえるだけいいのかもしれない。

私も何か食べるか。

施設内には食料品が売られているスペースがあった。しかし、昨日は差して目に留めなかったが、よく見ると似たような売店が二つ並んでいる。いや、似ているというか、まったく同じである。

何が違うのかと注意深く観てみると、右側は騎士の人たちが列を成しており、並べられた軽食を軽く眺めては勝手に取っていっている。一方で左側は私のような冒険者が、小銀貨を差し出して食料品を購入している。察するに常駐騎士かそうでないかで区分けされているのだろう。

タダで貰える騎士たちに羨ましさを抱きつつ、背に腹は代えられないので、私も小銀貨6枚を出してサンドイッチ二つとガラス容器に入った水を購入した。たったこれだけで小銀貨6枚も消費しなければならないなんて、街中なら完全にぼったくりだ。



朝食と移動の準備を済ませ、馬車に乗り込んだ。馬車はとっくに移動の準備ができている様子で、乗車客、今回で言うと私とリンネが揃ったら出発するとのことだった。ヴェレン街で既に賃金を支払っているからか、そこは良心的だった。尤も、この関所で特別時間を要したいことなんてありもしないわけだけど。

馬車が出発してからは、また車輪がガタンガタンと振動する音がするばかりで一切の会話はない。折角だから何か話そうかと思ったのに、当のリンネは眠ってしまっていたのだ。昨日は私よりも早く身体を横にしていたのに、あんまり眠れなかったのかな?

それにしてもリンネの眠る顔は初めて見た。馬車の中だから寝心地はいいとは言えなさそうだけど、静かに寝息を立てていた。こう見ると私となんら変わらない、年相応の顔に見える。

…あぁ、でも、彼女は私よりも年上なんだっけ。こんなこといったらまた睨まれそうだなぁ。



そして、数時間の移動を経て、遂にデルタ帝国初めての街にたどり着いた。

馬車から降りた瞬間に、塩っぱい空気が顔に触れた。西の太陽はまだ顔を見せていて、蒸し暑い。夕方になりそうだというのに、行き交う人の群れは減りそうにない。これがデルタ帝国ヨプト街か。

ところで着いたはいいものの、どこになにがあるのかさっぱりわからない。とりあえずギルドと宿屋の場所だけでも把握したい。するとリンネが先行して歩いていったので、それについていくことにした。

「リンネはここに来たことあるの?」

「一度だけな」

言葉少なに会話しつつ、周りをキョロキョロと見渡す。すれ違う人の服装は多種多様ではあったが、半袖の涼しそうな人か、私のように遮熱性の高そうな生地で身を纏っている人が多い。

…それと上下焦げ茶色の服装の人も所々にいる。その人たちは決まって何かしらの物を両手で持っており、決まって誰かに追従している。見るだけで分かる。この国で公的に認められている【奴隷制度】のそのものである。

ただ私のイメージでは、ボロボロの布切れで休み無く働かされている、というものだったが、その様子は全く垣間見えない。奴隷の顔は焼けてはいるが、傷だらけというわけでもないし、極端に痩せ細っているような人も殆どいない。この世界の奴隷制度は案外ひどい制度ではないのか…?



宿屋についた。その隣には見慣れたギルドの建物がある。この時間帯だと依頼を受けている冒険者は少ないだろう。ギルドの中へ入っていく人たちは、依頼を完了した冒険者たちに違いない。

今回の移動は仕事ではないから、寄るのは明日になってからで問題ない。

受付にて宿泊費を払い、鍵を受け取る。今回はどのくらい居座るのか分からないけれど、とりあえず三ヶ月ほどにした。つまり銀貨9枚。これくらいの期間を目処に調査をして、足りなければ追加で一ヶ月ずつ増やす感じだ。

廊下にてリンネと別れ、自分の宿泊する部屋へと入る。別れ際に言葉を交わしたわけではない。本当に知らぬ人のように、彼女は部屋へと入っていった。

先に受付を済ませていたリンネは、宿泊費として銀貨3枚を支払っていた。一ヶ月の宿泊ということになる。そうしたらまた別の所に行くのだろうか。彼女のことだから、間違いなく前触れもなく居なくなる。挨拶ぐらいしたいんだけどなぁ。

…機会が合えばくらいでいっか。リンネも執着されるの好きじゃなさそうだし。

そう切り替えて、私は今日一日を終えるために、食堂、浴室へと順々に移動して、最後にベッドと掛け布団の間に入った。
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