悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

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2章

8話

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 私達は聖堂にある広い食堂にやって来て、食事をとっていた。

 私の隣にはカレンが座り、正面のレックス殿下と対面して、隣にはロイがいる。

「あのゲオルグとかいう者は、リリアンを狙っていたな……気をつける必要がありそうだ」

「聖堂内で一番偉いゲオルグ様を呼び捨ては止めておいた方がいいよ。リリアンさんも拒んだし、大丈夫だと思うけどね」

 ゲオルグの行動に敵意を持っているレックス殿下を、ロイが宥めていた。

 私が拒んだことを思い出したのか、レックス殿下は冷静になって。

「それもそうだな……リリアン、試練を受けられないのは残念だと思うが今でも十分強い、気にすることはないだろう」

「ゲオルグ様が聖堂で働いて欲しいって言ってたぐらいだからね……ロウデス教と戦いになったとしても、試練を受けた僕が力になればいいだけさ」

「話を聞く限り、試練はそこまで危険ではなさそうです」

 カレンがそう言うのは、ゲームのイベントで知っているからでしょう。
 聖堂での試練――ゲームだと、回復魔法をあまり使いこなせなかったカレンが、急成長するイベントだ。
 回復魔法は常人だと使えるようにするには十年はかかるから仕方がないと思うけど、試練を経てカレンは回復魔法が使えるようになっていく。
 
 夏休み、ロイとの出来事では……ロイの呪いを治すという明確な目的があるから、主役のカレンはとてつもなく強くなっていた。

 試練によって強化された力によって、ロウデス教の力を得た悪役令嬢リリアンを倒すことにも成功するほどだ。
 ……聖堂の試練は受けたかったけど、闇魔力が扱えるせいと言われたら仕方がない。
 食事を終えた私達は、聖堂側が用意してくれた部屋に向かうことにしていた。

   ◇◆◇

 聖堂内にある宿泊用の部屋で、私達はその部屋に泊まれることとなっている。
 レックス殿下はロイと一緒の部屋で、私はカレンと同じ部屋だ。

 私とカレンは、レックス殿下とロイと別れて、部屋の中に入っていく。
 部屋は二つのベッドが並んでいる寝室と、テーブルと椅子のあるリビングが備わった立派な部屋だった。

 椅子に座り、カレンと対面して――私は今日の出来事、そしてこれからの出来事について聞こうとしている。

 カレンからこの聖堂内で起こるイベントについて聞いていたけど、そこまで詳しく聞いていなかった。
 ゲームと違う部分が多すぎるから、私とカレンは参考にならなそうだと考えていたからだ。

 聖堂に来るのはカレンとロイだけで、リリアンとレックス殿下は来たことがない。
 そして私は病で弱っているロイを放っておくことができず、回復魔法で病を完治させている。
 そう考えながら、私はカレンに今日の出来事について話す。

「初日だからか、ゲーム通りのイベントが発生していましたね」

「ロイの病が治っていたからゲームと違うかと思ったけど、そこまで大きな変化がなかったのは意外だわ」

 カレンの言う通りで、今日は何度も、私はゲームの内容を思い出すことができていた。

 その中でも一番驚いた点を、私はカレンに話す。

「ゲオルグ様があそこまで派手な見た目をしていることには、驚きました」

 どうやらカレンも同意見のようで、何度も頷きながら。

「あたしも。あの見た目には驚くしかないわよ……そもそも名前も大賢者だけで、ゲオルグなんて名前はなかったらね。アスファの紹介は明日になりそうかな」

 アスファの紹介と聞いて、私は思い返しながら呟く。
 ゲオルグが言っていた紹介したい人というのは、普通ならアスファと名乗る美少年だ。

「アスファ……確か、聖堂を案内してくれる人でしたよね?」

「そう。一つ年下の美少年で、ゲーム通りなら私の護衛兼案内役だけど……どうなるのかわからないわね」

 聖堂は安全だけど、学んで魔法を試している間は、失敗した時の備えとして護衛の人がつくこととなっている。

「あくまで聖堂内での事故に備えてだから、聖堂の外に出る時は同行しないけどね」

「護衛なのに、聖堂の中だけなんですか?」

「そうみたいね……ゲームだとロイと二人でこの大陸の王都を見て回るイベントがあるし、ロイと二人きりさせたいゲームの都合だと思うけど、詳しくは説明されていなかったわ」

 聖堂内での事故は責任があるけど、聖堂の外にある王都で何かあっても自己責任ということなのだろうか?

 それでもロイの病が治るかもしれないから、ロイの両親やロイが納得して、聖堂のある大陸に向かったのかもしれない。
 そうなると確かに、ゲームと違ってアスファを紹介されても、どうなるのかがわからない。

 今はまだ、私がやらかしたこと以外はゲーム通り進んでいるけど……ロイの病が治っているのは、ゲームと大きく違う。
 変化が起きるとすれば、明日以降になりそうで――私は少し、不安になっていた。
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