悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

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2章

29話

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 アスファは今まで、レックス殿下のことを避けていた。

 理由がわからなかったけど、今はレックス殿下が私と釣り合わないと言っている。
 そしてレックス殿下は、アスファを睨みながら尋ねる。

「……やけに敵視していたが、リリアンに相応しくないと思っていたのか?」

 どうやらレックス殿下は、私と同じ考えのようだ。
 アスファは困惑しながらも、冷静になって話す。

「聖堂でのリリアン様の活躍から、客観的な意見を言っただけです。それと……敵視していたのではなく、他国の王子と関わりたくなかっただけです」

「そうなのか?」

「はい。それでも言いたいことがありまして――レックス様、貴方が午前中に剣技を習っている騎士の方々は、レックス様が私と同等の力実力があると褒めていました。それが私には信じられない」

 今までアスファは、レックス殿下が他国の王子と聞き関わりたくなかったらしい。
 確かに……今まで普通に王子と関わっている人ばかりだったけど、平民の立場なら関与したくない気もする。
 話を聞いたレックス殿下が、アスファを眺めて。

「俺が騎士達から褒められたのは隣国の王子だから煽てておこうというだけで、アスファとしては対等なのが納得できないということか」

「その通りです。王子という守られる立場の人間が、生きるため必死に騎士を目指した私と同等と言われても信じられませんよ」

 そういえば……今まで避けていたアスファがレックス殿下を敵視していたのは、訓練場に向かってからの気がする。

 レックス殿下に剣を教えてくれた騎士達がアスファと関わっているのは間違いないから、知っている人の発言に苛立っているのでしょう。
 そして――騎士達に年が変わらない隣国の王子と同等と言われたことが、アスファにとってはとてつもなく屈辱だったらしい。

「そうか……リリアンのことは、異性として見ていないのだな」

 いきなりそんなことを質問するレックス殿下に対して、アスファは驚きながら頷く。

「えっ? 素敵な女性だと思いますけど……婚約者がいますし、異性として見ませんよ」

 どうやらレックス殿下にとって重要なのは、アスファが私を異性として見ているかどうかだったらしい。

「発言からわかっていたが、聞いておきたかった。そして、お前が俺を敵視している理由も理解した」

 話を聞いて理由がわかったから、納得している様子だ。

 いいえ……アスファが私に対して恋愛感情がないのなら、年下の少年が絡んでいるだけとでも思っているのでしょう。
 本心を打ち明けたアスファは、レックスを眺めて。

「リリアン様の魔法の凄さはこの目で見ましたけど、私は貴方の実力を見ていません。本当に私と同等だというのなら、私と決闘することで証明してください」

 私の魔法を見てから、レックス殿下は相応しくないと考えているのはアスファの本心らしい。
 宣言したアスファを眺めて、レックス殿下は強く頷く。

「俺も、リリアンに相応しくないと言われるのは不愉快だ……いいだろう!」

 レックス殿下としては、私に相応しくないと言われたことが気に障ったのは間違いない。 
 ここ最近のレックス殿下は、ダドリックが消えたことで張り合える相手がいなかったのもあるのでしょう。

 こうして――レックス殿下とアスファは、これから決闘を行うことになっていた。
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