悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

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2章

38話

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 聖堂に来て十三日目となり――明日で、この大陸とお別れだ。

 楽しい日々はあっという間に過ぎて、明日にはアークス国に戻ることとなる。

 そして――食堂で皆と集まり、昼食をとっていた時のことだ。
 大賢者ゲオルグがやって来て、私を眺めて話す。

「リリアンさん。君と二人で話したいことがあるのだが……いいだろうか?」

「えっ!?」

 試練以降ゲオルグはロウデス教を調べていたから会ってなかったけど、二人で話したいこと?
 大賢者からそんなことを言われて私は驚いていると、隣に座っていたレックス殿下がゲオルグを睨む。

「ゲオルグ様。またリリアンを聖堂で暮らさないか誘うつもりですか?」

「レックス君……落ち着きなよ」

 ロイが冷や汗をかいているのは、レックス殿下が敵意を剥き出しにしているからだ。
 それでもゲオルグは気にする様子もなく、レックス殿下を眺める。

「そんなことはしないさ。ある魔法について、話したいことがある」

「ゲオルグ様が、魔法について話したいことですか!」

 大賢者が魔法について話したいことと言われると、気になるしかない。

 ゲオルグの発言を聞いて、どれほどの魔法なのか私は物凄く期待してしまう。
 そんな私を眺めて、レックス殿下がゲオルグに尋ねる。

「魔法か……興味があるから、俺も同行していいですか?」

「理解できない人が聞いても困惑することになるだろう。それほどまでの魔法なので……私とリリアンさんの二人で、邪魔が一切ない状態で話しておきたい」

「ぐぅっ……確かに邪魔になりそうだな」

 昔ネーゼと私が魔法について話をしていると、何も解らなかったレックス殿下は困惑していた。
 そんな出来事を思い返しているようで、レックス殿下は納得しながら呟く。

 明日帰るし今日はゆっくりしようと考えていたから、ゲオルグと話すのは問題ない。
 どんな魔法の話が聞けるのか楽しみにしていて――私は、驚愕することとなっていた。

   ◇◆◇

 私はゲオルグと共に、聖堂の応接室にやって来ていた。
 ここは他言無用の話をする部屋で、絶対に音が外に出ないらしい。

「珍しい魔法といったが、リリアンさんが期待している話とは違うはずだ」

 椅子に座り、テーブル越しにゲオルグと対面していると……そんなことを言われてしまう。

「そう、ですか?」

 大賢者が私にだけ理解できいるほどの珍しい魔法と聞いて、かなり期待していた。
 どうやらレックス殿下、ロイ、カレンには聞かれたくない話のようで、理由がわからない。

 そして――ゲオルグが私を眺めて告げる。

「リリアンさん……まるで君は、未来が見えているようだ」

「えっ!?」

 ――未来が見える。
 そんなことを言われたのは初めてで、私は動揺するしかなかい。

「魔力は無限の可能性を秘めている……試して明らかに不可能なものもあるが、未来が見えるのは有り得るかもしれない」

「そういう、ものですか?」

「リリアンさんの膨大な魔力から未来が見えていそうだと思って聞いてみたが、その反応から何も知らないようだな。あまり気にしないで欲しい」

 どうやらゲオルグは、可能性がありそうだから聞いてみただけのようだ。
 未来が見える魔法というのは、今まで聞いたことがなく珍しいけど……信じる人は少ないはず。

 それでも私が否定できないのは、私自身が転生者で、未来が見えているようなものだからだ。

「あの、ゲオルグ様は……未来を見ることができるのですか?」

 無限の可能性があると言ったけど、不可能と言ったのは試して解ったはず。
 それなら……未来が見えると言ったのは、ゲオルグが可能にしたからかもしれない。

 そう考え興味本位で尋ねると、ゲオルグが頷く。

「ほんの少しだけだ。バダムがロウデス教団員ということは一切わからなかった……敵の力が強大過ぎるせいだろう」

 ゲオルグの発言に、私は息を呑む。 
  二学期に起こるゲームの出来事も同じ理由でわからないと思うけど、今後の出来事を聞いておきたい。

「……これから、何が起こるのですか?」

「それは……アークス国を中心に、隣国のこの国にも危機が迫ることがわかるのだが、力が膨大すぎるせいで対処の仕方すらわからない」

 それは邪神ロウデスの復活、それによる力がとてつもないせいだ。

 もしかしたらゲオルグは、私が何か知っていないか聞いておきたかったのかもしれない。
 ゲオルグは他言しないと思うけど……ゲオルグからロウデス教に知られてしまう可能性があるから私は何も言えない。

 魔力は無限の可能性を秘めていて……ゲオルグは、私は未来が見えているのではないかと推測した。
 実際は違うけど――私の正体に気付きかけた人が現れたことに、驚くしかない。

 大賢者ゲオルグは、この世界で魔法に最も詳しい人だと思う。
 その人が魔力は無限の可能性があり、なんでもできると言った。

 ――この世界に転生したのも、この世界の魔力によるものなのだろうか?

 地球でゲームとしてこの世界の物語ができたことすら、この世界の魔力――

 ――そこまで考えて、キリがなさそうだと止めた。

 私は、この世界で生きている……それが全てだ。
 転生した理由は一生わからないと思うけど――私はゲームの知識を駆使して、この世界を守ろう。
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