悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

文字の大きさ
58 / 109
2章

39話

しおりを挟む
 その後――夜になって部屋に戻り、私はゲオルグから聞いた話をカレンに伝える。

 私の話を聞いたカレンは、驚きながらも納得した様子で呟く。

「大賢者にもなると未来を見ることができて、二学期以降の未来は一切見えない。か……」

「ゲオルグが言うには、この国にも危機が迫るようです」

 アークス国だけ被害が出ると思っていたけど、他国も危機的状況になることは知らなかった。

「邪神が復活する準備に隣国も被害を受けるはずだから、聖堂側の協力は得られそうにないわね」

 カレンがそう言ったのは、ゲームでは聖堂の人達が誰も助けに来ることがないからだ。

 ゲームだとロイの夏休みイベント限定の人達だから、二学期になると現れない程度の考えだった。

 実際はカレンの言う通り、アークス国周辺の国もロウデス教の被害を受けるのでしょう。
 もしかしたら……隣国の人達が、あまりゲームには出てこない理由なのかもしれない。
 そんなことを考えながら、私はカレンに今後について尋ねる。

「カレン。ゲームだと、二学期が一番重要でしたよね?」

「そうよ。二学期は期末試験がないかわりに学園祭のようなものがあって……そこで全ての決着がつき、攻略キャラに応じて月日が飛びエンディングになるの」

 一学期は中間と期末で二回あった試験だけど……二学期と三学期は、試験が一度しかない。
 中間試験が二学期にあって、学年末試験と呼ばれるものが三学期にあるだけみたいだけど、ゲームで学年末試験は省略される。

「二学期に起こるイベントはどのキャラも似たようなもので、解決方法が変わるだけ。悪事の規模が大きくなっていくのは不安だわ」

 重要なイベントが多かった二学期の出来事は、私も結構覚えているつもりだ。 
 それでも絶対にカレンの方が詳しいから、わからないことがあればカレンに聞こう。

「カレン。二学期もよろしくお願いします」

「あたしの方こそ……試練で魔力は向上したし、リリアンの力になってみせるわ」

 やる気に満ちたカレンの発言を聞き、私は安堵していた。

   ◇◆◇

 カレンと話を終えて、私は部屋を出ていた。

 聖堂で最後の日だから屋上の景色を眺めたくなり、私は階段を昇る。
 屋上に到着して――景色を眺めていると、後ろから声が聞こえた。

「――リリアン、景色を見ていたのか」

 レックス殿下の声が聞こえて、歩いて隣までやって来る。
 それだけで不安が軽くなっていると実感しながら、私は頷いて返答した。 

「はい。明日からアークス国に戻りますし……最後に、この景色を眺めておきたくなりました」

「俺も最後だから聖堂を見学したくてな。色々見て回ったらリリアンの姿を見つけて、屋上に来た」

 どうやら同じ考えだったようで、私とレックス殿下は微笑み合う。

 ゲームの出来事が終わるまで、私は国外追放を言い渡される場面が記憶から離れない。
 それは二学期に起こる出来事で――その時が迫っている。

 今のレックス殿下なら大丈夫だと思うしかないけど、時が来ないと不安を取り除くことができない。

「魔法学園に入学してから、リリアンの不安は増しているようだ」

「……そうですね」

 レックス殿下は私のことを常に見ているから、私が不安なのを察している。
 私の為に傍にいて助けてくれて――私は、レックス殿下のことが好きになっていた。

 想いを伝える前に――この世界の危機を対処したい。

「ロウデス教さえ対処できれば、不安はなくなります」

「そうだな。俺もリリアンを危険な目に合わせた奴等は許せない。必ず倒してみせよう!」

「はい……私も、レックス殿下と同じ気持ちです」

 私はそう言い、レックス殿下と夜空を眺める。

 レックス殿下に想いを伝えるのは――破滅の時を乗り越えて、ロウデス教を倒してからだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。