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2章
39話
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その後――夜になって部屋に戻り、私はゲオルグから聞いた話をカレンに伝える。
私の話を聞いたカレンは、驚きながらも納得した様子で呟く。
「大賢者にもなると未来を見ることができて、二学期以降の未来は一切見えない。か……」
「ゲオルグが言うには、この国にも危機が迫るようです」
アークス国だけ被害が出ると思っていたけど、他国も危機的状況になることは知らなかった。
「邪神が復活する準備に隣国も被害を受けるはずだから、聖堂側の協力は得られそうにないわね」
カレンがそう言ったのは、ゲームでは聖堂の人達が誰も助けに来ることがないからだ。
ゲームだとロイの夏休みイベント限定の人達だから、二学期になると現れない程度の考えだった。
実際はカレンの言う通り、アークス国周辺の国もロウデス教の被害を受けるのでしょう。
もしかしたら……隣国の人達が、あまりゲームには出てこない理由なのかもしれない。
そんなことを考えながら、私はカレンに今後について尋ねる。
「カレン。ゲームだと、二学期が一番重要でしたよね?」
「そうよ。二学期は期末試験がないかわりに学園祭のようなものがあって……そこで全ての決着がつき、攻略キャラに応じて月日が飛びエンディングになるの」
一学期は中間と期末で二回あった試験だけど……二学期と三学期は、試験が一度しかない。
中間試験が二学期にあって、学年末試験と呼ばれるものが三学期にあるだけみたいだけど、ゲームで学年末試験は省略される。
「二学期に起こるイベントはどのキャラも似たようなもので、解決方法が変わるだけ。悪事の規模が大きくなっていくのは不安だわ」
重要なイベントが多かった二学期の出来事は、私も結構覚えているつもりだ。
それでも絶対にカレンの方が詳しいから、わからないことがあればカレンに聞こう。
「カレン。二学期もよろしくお願いします」
「あたしの方こそ……試練で魔力は向上したし、リリアンの力になってみせるわ」
やる気に満ちたカレンの発言を聞き、私は安堵していた。
◇◆◇
カレンと話を終えて、私は部屋を出ていた。
聖堂で最後の日だから屋上の景色を眺めたくなり、私は階段を昇る。
屋上に到着して――景色を眺めていると、後ろから声が聞こえた。
「――リリアン、景色を見ていたのか」
レックス殿下の声が聞こえて、歩いて隣までやって来る。
それだけで不安が軽くなっていると実感しながら、私は頷いて返答した。
「はい。明日からアークス国に戻りますし……最後に、この景色を眺めておきたくなりました」
「俺も最後だから聖堂を見学したくてな。色々見て回ったらリリアンの姿を見つけて、屋上に来た」
どうやら同じ考えだったようで、私とレックス殿下は微笑み合う。
ゲームの出来事が終わるまで、私は国外追放を言い渡される場面が記憶から離れない。
それは二学期に起こる出来事で――その時が迫っている。
今のレックス殿下なら大丈夫だと思うしかないけど、時が来ないと不安を取り除くことができない。
「魔法学園に入学してから、リリアンの不安は増しているようだ」
「……そうですね」
レックス殿下は私のことを常に見ているから、私が不安なのを察している。
私の為に傍にいて助けてくれて――私は、レックス殿下のことが好きになっていた。
想いを伝える前に――この世界の危機を対処したい。
「ロウデス教さえ対処できれば、不安はなくなります」
「そうだな。俺もリリアンを危険な目に合わせた奴等は許せない。必ず倒してみせよう!」
「はい……私も、レックス殿下と同じ気持ちです」
私はそう言い、レックス殿下と夜空を眺める。
レックス殿下に想いを伝えるのは――破滅の時を乗り越えて、ロウデス教を倒してからだ。
私の話を聞いたカレンは、驚きながらも納得した様子で呟く。
「大賢者にもなると未来を見ることができて、二学期以降の未来は一切見えない。か……」
「ゲオルグが言うには、この国にも危機が迫るようです」
アークス国だけ被害が出ると思っていたけど、他国も危機的状況になることは知らなかった。
「邪神が復活する準備に隣国も被害を受けるはずだから、聖堂側の協力は得られそうにないわね」
カレンがそう言ったのは、ゲームでは聖堂の人達が誰も助けに来ることがないからだ。
ゲームだとロイの夏休みイベント限定の人達だから、二学期になると現れない程度の考えだった。
実際はカレンの言う通り、アークス国周辺の国もロウデス教の被害を受けるのでしょう。
もしかしたら……隣国の人達が、あまりゲームには出てこない理由なのかもしれない。
そんなことを考えながら、私はカレンに今後について尋ねる。
「カレン。ゲームだと、二学期が一番重要でしたよね?」
「そうよ。二学期は期末試験がないかわりに学園祭のようなものがあって……そこで全ての決着がつき、攻略キャラに応じて月日が飛びエンディングになるの」
一学期は中間と期末で二回あった試験だけど……二学期と三学期は、試験が一度しかない。
中間試験が二学期にあって、学年末試験と呼ばれるものが三学期にあるだけみたいだけど、ゲームで学年末試験は省略される。
「二学期に起こるイベントはどのキャラも似たようなもので、解決方法が変わるだけ。悪事の規模が大きくなっていくのは不安だわ」
重要なイベントが多かった二学期の出来事は、私も結構覚えているつもりだ。
それでも絶対にカレンの方が詳しいから、わからないことがあればカレンに聞こう。
「カレン。二学期もよろしくお願いします」
「あたしの方こそ……試練で魔力は向上したし、リリアンの力になってみせるわ」
やる気に満ちたカレンの発言を聞き、私は安堵していた。
◇◆◇
カレンと話を終えて、私は部屋を出ていた。
聖堂で最後の日だから屋上の景色を眺めたくなり、私は階段を昇る。
屋上に到着して――景色を眺めていると、後ろから声が聞こえた。
「――リリアン、景色を見ていたのか」
レックス殿下の声が聞こえて、歩いて隣までやって来る。
それだけで不安が軽くなっていると実感しながら、私は頷いて返答した。
「はい。明日からアークス国に戻りますし……最後に、この景色を眺めておきたくなりました」
「俺も最後だから聖堂を見学したくてな。色々見て回ったらリリアンの姿を見つけて、屋上に来た」
どうやら同じ考えだったようで、私とレックス殿下は微笑み合う。
ゲームの出来事が終わるまで、私は国外追放を言い渡される場面が記憶から離れない。
それは二学期に起こる出来事で――その時が迫っている。
今のレックス殿下なら大丈夫だと思うしかないけど、時が来ないと不安を取り除くことができない。
「魔法学園に入学してから、リリアンの不安は増しているようだ」
「……そうですね」
レックス殿下は私のことを常に見ているから、私が不安なのを察している。
私の為に傍にいて助けてくれて――私は、レックス殿下のことが好きになっていた。
想いを伝える前に――この世界の危機を対処したい。
「ロウデス教さえ対処できれば、不安はなくなります」
「そうだな。俺もリリアンを危険な目に合わせた奴等は許せない。必ず倒してみせよう!」
「はい……私も、レックス殿下と同じ気持ちです」
私はそう言い、レックス殿下と夜空を眺める。
レックス殿下に想いを伝えるのは――破滅の時を乗り越えて、ロウデス教を倒してからだ。
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