悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

文字の大きさ
87 / 109
2章

68話

しおりを挟む
 更に一週間がが経過して、魔道具の設置を手伝ったりしていた。
 事前にトラブルの原因となる取り替えられた魔道具も対処できて、アクシデントは起きていない。
 それよりも二週間後――ゲームなら国外追放を言い渡されて破滅する前夜祭が迫り、不安になるしかない。
 午後の魔法披露の準備中、今日は手伝わずに展示品の準備をしていた。

「リリアン。不安そうだが展示品が巧くいかないのか?」

「完成しています。闘牛ですしもう一頭とコロシアムを作り、戦わせているような感じにします」

「そ、そうか……リリアンは流石だな」

 今までは即座に賛同していたレックス殿下だけど、私の発言に今回は引いているようだ。
 それ程までにとんでもないことで、私もちょっとやり過ぎた感じもある。
 この結果が出る頃はゲームとは関係なくなるし、やらかしとは思わないから構わない。
 そう考えていると――教室に上級生がやって来て、私は嫌な予感がしていた。

「魔道具が暴走して大変です。救助に来てください!」

 今までは私とカレンが先に対処することで大体処理できたと思っていたけど、今日取り替えられたのかもしれない。
 ゲームでの出来事が起きてしまい、私とレックス殿下、カレン、ラギルは教室の外に出る。
 強い雨の音と雷の音で位置がわかったけど、ここまで大惨事になっていたのか。
 気を散らせないため、教室内の扉が閉まっていると防音の魔法が使われている。
 それが裏目に出て、呼び出しが来るまで私達は異常事態に気付けなかった。

   ◇◆◇

 暴走している魔法具は風と水の二つだけで、私達の力で簡単に対処できていた。
 その後、午後の披露会準備の授業も終えて――放課後になっている。

 風を出し雨を降らす魔道具の暴走による暴風雨を、私達は魔法で止めていた。
 魔道具の切り替えとは違い、今回は魔道具が暴走して誰も止められなくなってしまう。
 今回はゲーム知識もあって、カレンと手分けをして候補の場所を事前に調べていたから、問題なかった。
 今日の出来事をロイとルートにも説明して、レックス殿下が自信満々に話す。

「暴走したが、すぐ動き対処できて被害はない……流石はリリアンだ!」

「最悪の事態を想像して動いた偶然ですよ。被害が無くてよかったです」

 レックス殿下を納得させる理由を思い浮かべる方が大変な気がしたけど、偶然にしておこう。
 
「そうだな。それにしても……やはり、ダドリックが近くにいたか」

 そう言ってレックス殿下が、窓を睨む。
 目線の先には……魔道具で建物の補強作業をしていたダドリックの姿があった。
 今日の事件の時にもダドリックが近くにいて、レックス殿下は明らかに苛立っている。
 席を立って私を眺め、レックス殿下が尋ねる。
 
「どうせはぐらかされると思うが……俺はダドリックと話をしておきたい。リリアン、着いてきてくれるか」

「はい。一緒に行きます」

 レックス殿下は何を言われても激昂しそうだから、抑えるため言われなくても行くつもりだった。
 ダドリックは再びアクシデントを引き起こす魔道具の近くにいて、一番怪しい。
 レックス殿下と話をしている時に、ダドリックが動揺しないか見ておきたかった。
 何人かの生徒と話をしていたけど、内容を聞いていない私は尋ねる。

「あの、レックス殿下は何を尋ねていたのですか?」

「ダドリックの行動について聞いていた……他クラスの反応も見ておきたかったからな」

 二組の教室に来た時はエドガーも来たけど、ダドリックの名前を聞いて嫌な顔をしていた。
 あまり関わろうとはしないようで、レックス殿下は他の生徒に聞いている。
 その後――私達はダドリックの元に到着して、レックス殿下が前に出た。

「レックス王子、何のようですか?」

 発言は普通だけど、ダドリックがレックス殿下を睨んでいる。
 レックス殿下も敵意を向けつつ、尋ねていた。

「今日も魔道具による事件が起き、貴様が近くにいた……どういうつもりだ?」 

「偶然だろ。そもそもオレは、シーマ様の許可なしに魔法が使えないんだぜ」

「ロウデス教は魔道具に長けている。抜け道があるのなら、その発言は意味をなさないな」

 レックス殿下は、ダドリックがまだロウデス教側なのではないかと疑っている。

「……チッ。それならオレを監視でもすればいいじゃねぇか」

「なっっ!? 協力者と学生では行動が違い過ぎる! 常に監視することなど、できるわけがないだろう!!」

 ダドリックの発言に、レックス殿下が取り乱している。
 明らかに何か隠していそうなのが、私は気になっていた。

   ◇◆◇

 話を終えてダドリックの元を去ってから、私はレックス殿下に尋ねる。

「あの、どうして先ほどはあそこまで驚いていたのですか?」

「……リリアン。気付いていたのか」

「露骨でしたから。多分ダドリックも様子がおかしいと気付いてますよ」

 私の発言を聞いて、レックス殿下は肩をすくめながら話してくれる。

「そうか……実を言うと、俺は王子の立場を利用して、一部の生徒にダドリックを監視させていた」

「そんなことをしていたのですか」

 レックス殿下の発言に、私は驚く。
 そんなことゲームのレックス殿下はしたことがなくて、私の為に行動してくれていた。

「ああ。奴の口から監視すればいいと言った辺り……監視されても問題ない方法をとっていそうだ」

 どうやらレックス殿下は、生徒に頼んで監視させていたようだ。
 まさかダドリック本人から監視しろと言われるとは思わなかったから、大きく動揺していたらしい。
 レックス殿下の言う通り、発言的にダドリックは監視されても問題ないのかもしれない。
 ダドリックに見透かされているような気がして、私達は警戒するしかなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。