悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

文字の大きさ
99 / 109
2章

80話

しおりを挟む
 私はダドリックの枷に魔力を流し、負荷をかけて魔法具を破壊する。
 魔法具を怖そうとしたらダドリックは命を失うと推測できていたけど、作動した瞬間なら壊せると考えていた。

 シーマの言う通り、失敗したら私の体内の魔力が逆流して命を落している。
 それでも成功するとレックス殿下が確信して、応援してくれたこともあって問題なく成功していた。
 そして――手枷が壊れたダドリックが、唖然としながら私に話す。

「なっっ……おい、これが知られたら問題になるかもしれねぇぞ!?」

「その時はその時です。私は今、ダドリックが無事ならそれで構いません」

「疑って悪かったな。お前の行動が罪だというのなら、俺とリリアンがお前を庇おう」

 そう言ってレックス殿下が前に出て、シーマに剣を向ける。
 私も杖を構えると……剣を鞘から抜いたダドリックが、レックス殿下の隣に立った。

「二人共お人好し過ぎる――お似合いだぜ」

 ダドリックが杖を取り出して、剣と交差させた構えをシーマに向ける。
 そんな姿を見て、レックス殿下が口角を上げた。

「力になってくれたことには感謝するが、俺はお前が嫌いだ」

「オレも嫌いだ。だが、オレを利用した連中を潰せるのなら、レックスの力だって利用する」

「俺もリリアンを守るためならダドリック、貴様と協力しよう!」

「……相変わらずだな」

 ダドリックは苦笑しながら、眼前の敵を睨む。
 シーマは魔道具や足下の魔方陣に籠めていた魔力を、自分の体内に戻したようだ。
 これでブラックドラゴンの群れは正気を取り戻し、グリムラ魔法学園の被害を抑えることができている。
 恐らく操られていない飼われているブラックドラゴンは止まらないけど、数は激減したはずだ。

「ロウデス教、こいつらさえいなければ――オレは今でも、レックスと競い合っていたかもな」

「とにかく今は、目の前の敵だ!」

 そう言って――レックス殿下とダドリックが、シーマに接近した。
 シーマは杖を振るい、地面から木のツタを発生させて鞭として振り回す。
 膨大な魔力の籠った一撃で、直撃すれば魔力の衝撃で大抵の人は全身が粉々になるほどの威力だ。

「賢者でかつ、ロウデス教の力を得ただけはある」

「それでも……オレとレックス、リリアンの敵ではない!」

 私が杖の先端から暴風を飛ばし、レックス殿下とダドリックが左右に散る。
 木のツタを破壊しつつシーマが回避すると、すぐさま挟撃の形になって剣を振るう。
 あの後、ダドリックもレックス殿下に負けたことが許せず、自らを更に鍛えたと言っていた。
 
 シーマは土魔法を駆使して、植物を操ることに特化された賢者と呼ばれる魔法士だった。
 ロウデス教から力を得たこともあり、相当強いけど……私の魔法、そしてレックス殿下とダドリックの身体能力が高い。
 私達は徐々にシーマを追い詰めていき――私は、ロウデス教の真の目的を知ることとなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。