好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家

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第11話 生活拠点を拡張したぜ!

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「じゃじゃーん! 家をデカくしたぜ!」

「もはやちょっとしたお屋敷じゃないですか」

 リフォームされた家を見てシロナが驚く。
 今までは二階建てのよくある一軒家だったが、今回のリフォームで二階部分を無くして一階を横に広くしてみた。
 これで二メートルほどの大きさがある零華も室内に入ることができる。

『そこへさらに我が結界を貼る!』

 半透明のガラスのような物質がマイホームごと周囲一帯を取り囲んだと思ったら、空気中に溶けて見えなくなった。

『これで我ら以外の魔物が不法侵入してくることはない』

「……ってことは、ここにいれば私たちの安全が完全保障されるってコト!?」

「きゅう!?」

 シロナとコンちゃんが泣いて喜んだ。
 それはもう大号泣レベルで。

「ここは桃源郷ですよ、コンちゃん!」

「こん……! こぉん……!」

「どこへ逃げても敵しかいない生活からようやく解放されるんだ……!」

「多重債務者みてぇな人生だな」

 生活拠点の拡張はこれにて終了だ。
 俺は新マイホームのとある部屋にシロナを案内した。

「ここは?」

 シロナが首をかしげる。
 とりあえず客席に座らせておいた。

「今からファッションショーを始める!」

「唐突ですね!? わざわざそのためにこの部屋新設したんですか」

「さあ、カモン!」

 ラジカセをポチっとな。
 ミュージックに合わせて龍之介が登場した。
 レッドカーペットの敷かれたランウェイを歩き、ステージに登壇する。

「一番手は龍之介だ! 武士をイメージした和風コーデに身を包み、腰には伝家の日本刀! 審査員のシロナさん、得点は!?」

「え!? あっ、はい! 審査員のシロナですっ! そうですね……ファッションの持つ雰囲気と龍之介のイメージが完全にマッチしておりますので、十点!」

 いきなり最高得点だー!
 これには龍之介もご満悦な様子。
 フッと静かに笑う。

「続いてスタイリッシュ横島~! 純白のタキシードを優雅に着こなし登場だー!」

 キザな動きで登壇した横島は、魔法で華やかに演出しながらポージングした。

「非常に様になっていますね。タキシードの主張に負けていないのがいいと思います。十点!」

「三番手はゴリマックス! トリオ兄弟の末っ子はなんとオフスタイルだー!? 一張羅のタンクトップ姿で登場です!」

「前二人がクセの強い濃いキャラしてますからね~。着飾らないオフスタイルのゴリマックスは親しみやすそうなのが高得点です。十点!」

 第一回ファッションショーの出場者は次で最後だ。
 横島が光魔法で入り口にスポットライトを当てた。

「トリを飾るのはこの人です!」

 フリルつきの白いワンピースを着た、銀髪ロングの美少女が現れた。

「どちら様!? なぎさ、この娘はいったい……?」

『我だ』

「え?」

『だから我だ』

「人化した零華だぞ」

「ふぁあ!?」

 零華はその場でくるりと回る。
 人間状態に慣れていないからか、バランスを崩してすっ転んだ。
 起き上がった零華は狼の姿に戻る。

『やっぱこっちのが落ち着くわ!』

「……ちょっと衝撃すぎたので十点」

「というわけで、第一回ファッションショーは終了です! 全員優勝! 解散!」

「あ、ようやく終わるんですね、この茶番。ところで、みんなの服ってなぎさが作ったんですか?」

 大正解!
 みんなのキャラに合う服装を考えてみたんだが、予想以上に似合ってたな。

「羨ましいです! 私もお洒落したいです~!」

「きゅ~!」

『人化した我どうだった? 可愛かったろ!』

 シロナだけじゃなく、コンちゃんもお洒落したいそうだ。
 俺は二人に似合う服を考えてみる。

「シロナにはこれだ! 魔女コスチューム!」

「わ~、いいですねこれ!」

「お~、可愛いじゃん!」

「こん!」

「えへへ、これ気にいっちゃいました!」

『あのー……もうちょっと我に触れてもいいんだよ?』

 シロナは全体的に白いからな。
 黒い魔女服との対比がいい感じだ。
 とんがり帽子も似合っている。

「コンちゃんにはこれだ!」

 サングラスに黒服、黒ネクタイ!
 ちょっぴりワルそうな感じに仕上げてみた。

「普段のコンちゃんとは正反対の服装ですが、ギャップがあっていいですね!」

「ギャップ萌えを狙ってみた!」

「萌え萌えですよ~、これは」

「きゅへへ」

『我についての言及が少ないけど、コンちゃんが可愛いからまあええか』

 ファッションを一通り楽しんだ俺たちは風呂に入ることにした。
 ちなみに、リフォームの際に風呂場も拡張してジャグジー風呂とサウナを追加しておいたぜ!

「さーて、それじゃあ零華をガッツリ洗うか!」

「ですね!」

『え?』

 零華はきょとんとした。

 ……大変言いにくいことなんだが。
 これまで触れなかったのだが、俺はお前に言わなければならないことがある。

「女の子に言いたくはないんだけどさ、零華。……正直お前ちょっと臭いぞ。よく見たら毛もところどころ薄汚れてるし」

『がーん!? 我って薄汚れた臭い女の子だったの……!?』

「大丈夫ですよ! これから私となぎさできれいにしてあげるので元気出してください!」

『本ッッッ当に頼む! 我をきれいなフェンリルにしてくれぇ!』

 零華に泣きつかれた。
 おう、俺とシロナに任せとけ!

 シロナと二人がかりで零華をシャワーする。
 犬用シャンプーでごしごし洗っていると、背中の毛の中からなぜか魚の死骸が出てきた。
 ……臭いの原因これじゃね?

「なんで毛の中にこんなものが……」

『昨日川で水浴びした時に巻き込んじゃったのかもしれんな』

「間違って掃除機で吸い込んじゃったみたいなノリで言うな。毛の中に魚が巻き込まれるってどんな動きしてたんですか……」

『神獣魚雷で川下りしてた』

「奇遇だな! 実は今日俺も人間魚雷してたんだぜ!」

『マジで!? 我たち気が合うな~!』

「これが類は友を呼ぶってやつですか……」

 そうこうしているうちに洗い終わる。
 泡を完全に流すと、中から艶ピカの零華が現れた。
 だいぶ様変わりしたなぁ。
 コンちゃんに負けず劣らずのもふもふ具合だ。

『うおー! 一番風呂は我がいただいたぁー!』

 零華はハイテンションで露天風呂に飛び込む。
 俺も急いで洗い終えると、負けじとダイブした。

 湯船で泳ぎながら待つこと十分ほど。
 コンちゃんを抱えたシロナがやってきた。

「ようやく来たか。喰らえ! フェンリルぐるぐるしっぽ攻撃!」

『ゼアアアアアアアア!!!』

「ぎゃー!?」

 零華がしっぽをぐるぐるさせた風圧で濁流レベルの水鉄砲を放つ。
 コンちゃんは素早く逃げたので、シロナだけが直撃を喰らうことになった。

「『ぎゃはははははは!』」

「よくもやってくれましたね! 水魔法──アクアウェーブ!」

「『ぶがごぼぽぽぽぶぉぶがっ!?』」

「ざまあみろです!」

 零華の濁流水鉄砲よりも強力な水魔法でやり返されてしまった。
 危ね~、犬〇家みたいになっちまうところだったぜ。

『ここは賑やかで楽しいな! 我、なぎさのペットになってよかった!』

「じゃあさ、今度みんなで旅行しようぜ!」

「唐突ですね」

「このメンツなら絶対ワイワイできて楽しいだろ!」

「ハイテンションで盛り上がっているのが容易に想像できます」

「きゅう~」

 コンちゃんも乗り気なようだ。
 よっしゃ、今度旅行するか!

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