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24 銀眼の姫
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第七王子を呼び出す直前に、姫の寝室に刺客が現れたらしい。
姫は無事だったが、御殿医や警護の者が数名殺された。
刺客とは姫に心を寄せているあの男のことか?
どうにも違和感がある。
あの男は破天荒だが、真っ直ぐで独自の規律を持っているように感じる。
御殿医のように武器を持っていない者をむやみに惨殺したりしないのではないか。
私が寝室に駆けつけた時、姫は放心状態のまま床に座り込んでいた。
刀をきつく握りしめたまま。
男の私が姫の手から刀を離すのに相当苦労したほどだった。
時折、姫がぶつぶつと呟いている。
〝シチ〟〝シチ〟が……
〝シチ〟──?
この部屋に残るあの匂いが鼻を突く。
以前より強く。
御殿医にはわからないようだが、第七王子と姫から感じた、あの禍々しい匂いだ。
〝シチ〟と第七王子の影が重なり合う。
毒か。
姫に盛ったのか。
そして〝シチ〟とは、第七王子、お前なのか……?
姫が小刻みに震えている。
私は姫をしばらく抱きしめていた。
か細く冷え切った体だった。
何日もまともな食事を取れていないのだ。
ただでさえ華奢なのに、いたわしくて私の目に涙がにじんだ。
助けてあげたい。
愛しい人よ。
姫が安心して過ごせる世界を私が創る。
私が王となって、姫を正室にしよう。
双子が産まれても、もう心配はない。
怖がらなくていいのだよ。
おびえなくていいのだよ。
双子が不吉だという馬鹿げた王族の規律を私が変えてやるから。
美しい銀眼の姫よ。
昔あの丘で会った双子の一人が姫であると、私は随分前に気づいていたよ。
姫は無事だったが、御殿医や警護の者が数名殺された。
刺客とは姫に心を寄せているあの男のことか?
どうにも違和感がある。
あの男は破天荒だが、真っ直ぐで独自の規律を持っているように感じる。
御殿医のように武器を持っていない者をむやみに惨殺したりしないのではないか。
私が寝室に駆けつけた時、姫は放心状態のまま床に座り込んでいた。
刀をきつく握りしめたまま。
男の私が姫の手から刀を離すのに相当苦労したほどだった。
時折、姫がぶつぶつと呟いている。
〝シチ〟〝シチ〟が……
〝シチ〟──?
この部屋に残るあの匂いが鼻を突く。
以前より強く。
御殿医にはわからないようだが、第七王子と姫から感じた、あの禍々しい匂いだ。
〝シチ〟と第七王子の影が重なり合う。
毒か。
姫に盛ったのか。
そして〝シチ〟とは、第七王子、お前なのか……?
姫が小刻みに震えている。
私は姫をしばらく抱きしめていた。
か細く冷え切った体だった。
何日もまともな食事を取れていないのだ。
ただでさえ華奢なのに、いたわしくて私の目に涙がにじんだ。
助けてあげたい。
愛しい人よ。
姫が安心して過ごせる世界を私が創る。
私が王となって、姫を正室にしよう。
双子が産まれても、もう心配はない。
怖がらなくていいのだよ。
おびえなくていいのだよ。
双子が不吉だという馬鹿げた王族の規律を私が変えてやるから。
美しい銀眼の姫よ。
昔あの丘で会った双子の一人が姫であると、私は随分前に気づいていたよ。
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