23 / 39
23 かたき
しおりを挟む
刺客の隙をついて、ちょっとだけ姫に会ってみたんだけど、どうしたんだろう。
姫は僕を見た途端、大きな叫び声をあげて切り付けてきた。
危なかった。
腕は鈍ってなかったね。
姫、頭が混乱してる?
余計なこと思い出しちゃったみたいだね。
薬が強すぎたかな。
あの刺客が来て残念だったけど、相変わらず綺麗だったよ。
その目が好きなんだ。
光を集めたような、銀色の。
もう少しの辛抱だよ。
将来、僕の正室にしてあげるね。
そういえば、ここ数日、爺の姿が見えないな。
作りたいものがあると言ってた。
研究熱心だね。
本当は爺にも手伝って欲しかったけど。
待っててね、姫。
今、準備してるんだ。
〝シチ〟が来た。
姫の叫び声で寝室に駆けつけると、〝シチ〟と姫は刃をまじえていた。
ここ数日、姫は混濁状態が続いていたはずだが、本能が危機を察知したのだろうか?
さすが姫だな。
あらためて惚れるよ。
姫の周りで御殿医と警護兵が数名、絶命していた。
〝シチ〟の仕業だな。
俺は人の役に立っている人間を簡単に殺す輩は嫌いだ。
〝シチ〟は俺が追い払ったが、えらい厄介者に好かれてしまったようだな、姫。
姫に恋するまともな人間は俺だけじゃないか。
少年がきた。
少年の名前は覚えていない。
昔そばにいた気がする。
でも味方ではない。
遠くに行かなければならない。
あの子のいない遠くに。
父上、私を連れていって。
あの子の手の届かない遠くへ。
あの日のように──
頭は働かない。
でも体が勝手に動く。
父上が残してくれた技。
習得するまで何度も鍛えてくれた技。
私がぐずってもぐずっても、父上は諦めずに……
父上はもういないけど、父上が残してくれた技が私を支えてくれている。
────父上がもういないと、どうして私は知っている????
頭が痛い!
痛い!
痛い!
血を吐いた父上の顔がよぎる。
私は苦しくてうずくまる。
あの時、倒れた父上を見下ろしていたのは ──
焦点が合い始める。
輪郭がくっきりと浮かび上がる。
よくも……
よくも父上を……
少年。
目の前にいるこの少年が。
父上の仇!!
死ね!!
〝シチ〟!!!!
姫は僕を見た途端、大きな叫び声をあげて切り付けてきた。
危なかった。
腕は鈍ってなかったね。
姫、頭が混乱してる?
余計なこと思い出しちゃったみたいだね。
薬が強すぎたかな。
あの刺客が来て残念だったけど、相変わらず綺麗だったよ。
その目が好きなんだ。
光を集めたような、銀色の。
もう少しの辛抱だよ。
将来、僕の正室にしてあげるね。
そういえば、ここ数日、爺の姿が見えないな。
作りたいものがあると言ってた。
研究熱心だね。
本当は爺にも手伝って欲しかったけど。
待っててね、姫。
今、準備してるんだ。
〝シチ〟が来た。
姫の叫び声で寝室に駆けつけると、〝シチ〟と姫は刃をまじえていた。
ここ数日、姫は混濁状態が続いていたはずだが、本能が危機を察知したのだろうか?
さすが姫だな。
あらためて惚れるよ。
姫の周りで御殿医と警護兵が数名、絶命していた。
〝シチ〟の仕業だな。
俺は人の役に立っている人間を簡単に殺す輩は嫌いだ。
〝シチ〟は俺が追い払ったが、えらい厄介者に好かれてしまったようだな、姫。
姫に恋するまともな人間は俺だけじゃないか。
少年がきた。
少年の名前は覚えていない。
昔そばにいた気がする。
でも味方ではない。
遠くに行かなければならない。
あの子のいない遠くに。
父上、私を連れていって。
あの子の手の届かない遠くへ。
あの日のように──
頭は働かない。
でも体が勝手に動く。
父上が残してくれた技。
習得するまで何度も鍛えてくれた技。
私がぐずってもぐずっても、父上は諦めずに……
父上はもういないけど、父上が残してくれた技が私を支えてくれている。
────父上がもういないと、どうして私は知っている????
頭が痛い!
痛い!
痛い!
血を吐いた父上の顔がよぎる。
私は苦しくてうずくまる。
あの時、倒れた父上を見下ろしていたのは ──
焦点が合い始める。
輪郭がくっきりと浮かび上がる。
よくも……
よくも父上を……
少年。
目の前にいるこの少年が。
父上の仇!!
死ね!!
〝シチ〟!!!!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
55
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる