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7 出産
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お腹の子は順調に育っていった。つわりは苦しかったがそれが終わると持病もなく健康なエルザには意外と平気だった。
だんだんお腹が大きくなり「今赤ちゃんがお腹を蹴りましたわ」と伝えると両親は「そうか、そうか、お腹を蹴ったか!」と目尻を下げて喜んだ。
臨月になったころ姉の子用にさまざま準備していたベビー服やベビーベットが部屋に用意された。
「処分しようと何度もしたのだけど、どうしてもできなかったの」
ポーラがふと寂しそうにベビー服を手にした。
「エルザが赤ちゃんに使ってくれたら嬉しいわ」
「お母様、ありがたく使わせていただきます」
「そう」
姉夫婦の死以来あまり笑顔を見せなかった母がふわりと笑んだ。エルザはお腹の子が両親に笑顔を取り戻してくれたような気がして産まれたらこの屋敷にいられるかわからないけれどこの子を大切にしようと決めていた。
ついに出産の日が来た。陣痛がきたのは真夜中だった。空は暗く嵐でエルザはこの信じられないほど激しい痛みとともに地獄に連れて行かれてしまうのではと泣いた。
侯爵が国一番の腕の産婆と医師を呼んでくれたため難産であったが無事出産を終えることができた。
おぎゃあ おぎゃあ
朝日と共に赤子の産声が屋敷に響き渡った。嵐が去ったあとの空は洗われたように美しくまるで産まれてきた命を世界が祝福しているようだった。
隣で寝ずに待っていた父と母が部屋に飛び込んできた。
「おお……」
「なんてかわいいの……」
男の子だった。陽光のような輝くブロンドに夜空を思わせる紺色の瞳。エルザとグレイの良いところばかりを集めたような目の覚めるほど美しい子だった。
両親は涙ぐみながら赤子を抱いた。その子はライアンと名付けられ両親は初孫を目に入れても痛くないほど可愛がった。産んだ後は屋敷を追い出されるのではないかと思っていたエバンジェリンは安堵した。
「ライアンを後継にしてはどうか」
「それはいい考えですわ!エルザの血を引いているのだし、その条件で来てくれる方がいるならエルザに婿を取ればいいですものね」
よちよち歩きで胸に飛び込んでくる天使のように愛くるしいライアンを両親はもう手離せなくなっていた。エルザの心配をよそに侯爵夫妻はまずエルザを後継にしその後ライアンに跡を継がせる考えだった。
グレイに手酷い裏切りを受けたエルザはまた誰かと結婚することなど考えられなかったがグレイとの子を可愛がってくれる両親に感謝していた。
「おかあさま」
3才になったライアンがとことことエルザの足元に歩いてくる。乳母が微笑みながら追いかけてきた。
「ライアン様は本当にエルザ様のことが大好きですわね」
「ぼく、おかあさまとけっこんするの」
幼児らしいセリフをライアンは形のよい薔薇色の唇からこぼした。
「まあ、ライアン。お母様も嬉しいわ」
エルザはライアンを抱き上げ頬擦りした。ライアンの少しウェーブがかった美しいブロンドと透き通った桃色の頬はエルザ譲りだった。まだ18のエルザと並ぶと親子というよりまるで姉と弟のようだった。
幸福な日々だった。ライアンの紺色の瞳は時折グレイを思い起こさせエルザにふと心の痛みをもたらすことがあったが可愛い息子と過ごす毎日がエルザの傷を徐々に癒してくれた。
両親は婿を探し続けていたがエルザはもし婿が見つからなくてもいい、むしろこのままライアンとずっと一緒に暮らせるのなら婿なんていらないと心底思っていた。
そんな平穏は突如破られた。ある日グレイが見知らぬ令嬢を連れ侯爵家にやって来た。
だんだんお腹が大きくなり「今赤ちゃんがお腹を蹴りましたわ」と伝えると両親は「そうか、そうか、お腹を蹴ったか!」と目尻を下げて喜んだ。
臨月になったころ姉の子用にさまざま準備していたベビー服やベビーベットが部屋に用意された。
「処分しようと何度もしたのだけど、どうしてもできなかったの」
ポーラがふと寂しそうにベビー服を手にした。
「エルザが赤ちゃんに使ってくれたら嬉しいわ」
「お母様、ありがたく使わせていただきます」
「そう」
姉夫婦の死以来あまり笑顔を見せなかった母がふわりと笑んだ。エルザはお腹の子が両親に笑顔を取り戻してくれたような気がして産まれたらこの屋敷にいられるかわからないけれどこの子を大切にしようと決めていた。
ついに出産の日が来た。陣痛がきたのは真夜中だった。空は暗く嵐でエルザはこの信じられないほど激しい痛みとともに地獄に連れて行かれてしまうのではと泣いた。
侯爵が国一番の腕の産婆と医師を呼んでくれたため難産であったが無事出産を終えることができた。
おぎゃあ おぎゃあ
朝日と共に赤子の産声が屋敷に響き渡った。嵐が去ったあとの空は洗われたように美しくまるで産まれてきた命を世界が祝福しているようだった。
隣で寝ずに待っていた父と母が部屋に飛び込んできた。
「おお……」
「なんてかわいいの……」
男の子だった。陽光のような輝くブロンドに夜空を思わせる紺色の瞳。エルザとグレイの良いところばかりを集めたような目の覚めるほど美しい子だった。
両親は涙ぐみながら赤子を抱いた。その子はライアンと名付けられ両親は初孫を目に入れても痛くないほど可愛がった。産んだ後は屋敷を追い出されるのではないかと思っていたエバンジェリンは安堵した。
「ライアンを後継にしてはどうか」
「それはいい考えですわ!エルザの血を引いているのだし、その条件で来てくれる方がいるならエルザに婿を取ればいいですものね」
よちよち歩きで胸に飛び込んでくる天使のように愛くるしいライアンを両親はもう手離せなくなっていた。エルザの心配をよそに侯爵夫妻はまずエルザを後継にしその後ライアンに跡を継がせる考えだった。
グレイに手酷い裏切りを受けたエルザはまた誰かと結婚することなど考えられなかったがグレイとの子を可愛がってくれる両親に感謝していた。
「おかあさま」
3才になったライアンがとことことエルザの足元に歩いてくる。乳母が微笑みながら追いかけてきた。
「ライアン様は本当にエルザ様のことが大好きですわね」
「ぼく、おかあさまとけっこんするの」
幼児らしいセリフをライアンは形のよい薔薇色の唇からこぼした。
「まあ、ライアン。お母様も嬉しいわ」
エルザはライアンを抱き上げ頬擦りした。ライアンの少しウェーブがかった美しいブロンドと透き通った桃色の頬はエルザ譲りだった。まだ18のエルザと並ぶと親子というよりまるで姉と弟のようだった。
幸福な日々だった。ライアンの紺色の瞳は時折グレイを思い起こさせエルザにふと心の痛みをもたらすことがあったが可愛い息子と過ごす毎日がエルザの傷を徐々に癒してくれた。
両親は婿を探し続けていたがエルザはもし婿が見つからなくてもいい、むしろこのままライアンとずっと一緒に暮らせるのなら婿なんていらないと心底思っていた。
そんな平穏は突如破られた。ある日グレイが見知らぬ令嬢を連れ侯爵家にやって来た。
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